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街かど宿屋のドラゴンさん  作者: 抹茶さめ
2話
78/93

23泊目

 


 メフィア魔術学園の食堂で私達三人はお昼ご飯を食べていた。今日は揚げたお肉をスミカさん特製のソースをかけてパンに挟んだ『かつさんど』って言う酒場でも人気があるやつで私も大好きなんだけど......SSランク冒険者様が作ってくれた物を食べてると思うと味がしない。


「......いつも満面の笑みでご飯食べてるティナちゃんがしょんぼりしてる」

「お腹でも痛いのか?」

「え? あ、大丈夫。ちょっと考え事してて......えっと、あのさ、リースちゃん、サラさん」

「なーに?」

「何だ?」

「スミカさ―――様ってどんな人?」


 私が訪ねると二人は顔を見合わせて首をかしげてから、何かを思い出して納得したように頷いた。


「そっかそっか、ティナちゃんはこの王国の産まれじゃないもんね」

「自然と馴染んでいたから忘れてたねぇ」

「あ、あははは......」

「じゃーいい機会だから教えてあげるね!」


 カチャッと眼鏡の位置を直したリースちゃんがぴっとフォークを立てた。


「スミカ様はアインス王国で色々な事を広めてくれたの、今私達が居るこの街、中央都市に上下水道を普及させたり、王城がある王都から中央都市までの道を綺麗に整備したのもスミカ様、街に兵士を巡回させるようにスミカ様が王様に言ってくれたおかげで犯罪も減ったわね、王都と中央都市を守る『大結界』にも携わった聞いた事があるわ」

「今の騎士団や兵士の育成、装備もスミカ様の知識が取り入れられてるって聞いたし、アインス金貨の金の含有率が高いのもスミカ様が国内に数多くの鉱脈が有ることを調べてくれたおかげだしねぇ、後はポーション?」

「ポーション?」


 あの怪我とか疲労を治す薬だっけ?


「ああ、農民でも簡単に作れる素材から今まであったポーションの治癒効果を数倍越える物を作ったんだ」

「す、数倍!?」

「そのおかげで農民は素材となる薬草と農作物を売ればいい稼ぎになるし、平民でもポーションの作製を行っている場所に勤めることで賃金を手に出来る、国民から王国は少しの税を取り貴族に渡す、それを決められた期間で使いきるように命令されるんだ」

「なんで?」

「金を溜め込む奴が居るからだよ、それをされると金が回らないから王国内の経済が悪くなる、まぁ一定の貯金ぐらいは許されているけどねぇ」

「そ、それを全部スミカ様が?」

「「そう」」


 物凄い有名人というか、国の基盤作っちゃってる!? 


「それだけじゃ無いわよ! スミカ様が有名になったのは十年くらい前。ある戦争があったの、何百万ものオークの軍勢がこの中央都市を目指して進軍してきたのよ、他国に救援を求める時間も無くて、騎士団と兵士を掻き集めて戦ったのよ!」


 オークって頑丈で力も強くて、少しだけ頭が良い魔物だよね? それが何百万?! カチャリとフォークとナイフをお皿に置いたサラさんが口元を拭いてから水を飲んだ。一つ一つの動作が凄い綺麗、やっぱり貴族様だなー。そう思ってるとサラさんが腕を組んだ。


「アインス王国防衛軍約十万、戦う前から敗北の空気が流れてたってお父様から聴いたなぁ」

「だけどそこに現れたのがスミカ様よ!」


 ガタッと椅子から立ち上がって私に向かって身を乗り出してきたリースちゃん。


「私もお爺様から聴いた話なんだけど、スミカ様が指を鳴らしたら空から無数の剣が降り注いで来て数十万のオークを瞬殺、見たことも聴いた事もない魔法でさらに数十万のオークが蒸発してついでに山が吹き飛んだらしいわ!」

「えええええ!?」


 ついでで山を吹き飛ばすってどういうこと?!


「呆然とその光景を見ていた防衛軍なんだけど、一気に士気が高まったらしくて、数百万居たオークの軍勢を見事に殲滅したそうよ」

「うえええええ?! 何それ?!」

「しかも二日で!」

「二日?!」


 スミカさんも凄いけどこの国もヤバイんだけど?!


「半分以上はスミカ様が討ち取ったらしいわよ?」

「は、はははは......そ、そうなんだーす、凄いな-!」


 も、もう笑うことしか出来ない、乾いた笑いが口から漏れ出た時、食堂の入り口が騒がしくなった。私達三人がその騒ぎに首を傾げながら出入り口を見ると、そこに居たのは―――


「あれ? サーシャちゃん? むぐぅ!?」

「「!!」」


 白いふわふわした髪で眠たそうな目付きの獣人の少女の名前を呼んだらいきなりサラさんとリースちゃんが同時に私の口を手で塞いできた。


「(ばっか! スミカ様の娘様をちゃん付けで呼ぶなんて死にたいの?!)」

「ほぇ?!」

「(サーシャ様の周りを良く見てみな)」


 小声でサラさんに言われて口を塞がれたままチラリとサーシャちゃんを見ると、サーシャちゃんと同じ武術学園制服を着た長身で栗毛に青い瞳の人間の女性が一人、サーシャちゃんと同じ背丈で灰色の髪に尖った犬の耳が生えた紅い瞳の少年が一人、狼族かな? その少年と同じ紅い瞳に同じ灰色の髪の毛を左右で縛っている女の子が一人居た。


 何あれ......



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