対象は無害?
「んー? あの子ってホントに大罪人なの? 全っ然そんな感じに見えない! それにあの人の所で厄介になってるし、なんかボクって偽の情報掴まされた?」
町が一望出来る時計塔のてっぺんでサクラ色の髪の子がメフィア魔術学園に慌てながら入っていくのを見ながら首を傾げた。
ここ一週間、あの人にバレないようにこっそり監視してたんだけど、大抵の罪人はどこか警戒した雰囲気と負のオーラを背負ってる。『断罪する瞳』のおかげでそれがわかるんだけど。サクラ髪の子からはそれがまったく感じ取れなかった。
「っち、おかしいと思ったんだよ。前金でアインス金貨百枚、成功報酬でさらに百枚っておいしいなとは思ったけど」
外套のフードごと頭を掻いていると。
『だから言った。しっかり裏を取れと』
「はいはい、ボクがわるーございました」
背中から背負っている剣、『英剣クラウソラス』の声が聞こえた。
『お前はいつもそうだ、動く前に情報を整理しろと何回あの御方に注意された?』
「考えるより先に身体が動いちゃうんだよねー」
『少しは考えろ、ヒビキ』
「はいはいっと」
フードから少し出ている自分の黒い前髪を弄りながら依頼してきた男を思い出していた。
「あの男、どう思う?」
『公国付近で我々に接触してきた男だな?』
「そうそう、眼帯に黒い鎧の人」
『level60は超えていたぞ? なかなかの手練れだ。それに称号に『獣滅殺』が付いていた』
「は? 獣人にダメージ五倍の称号じゃん、何人殺したんだソイツ」
『約百人以上だな、王などの称号を付けている者を殺せば三人で取れる』
「っち、アイツの方が罪人じゃん」
『ただ単に戦争で百人殺しただけかもしれん、それに罪を隠す事も出来るスキルも存在している』
「はぁ......」
ボクはゆっくりと立ち上がった。
「もう少し監視しよう。それで何も無かったら公国に行って適当に殺したって言えばいんじゃない?」
『証拠はどうする?』
「髪の毛とかで良いでしょ?」
『無理があるだろ、耳か尻尾を持ってこいと言われたはずだぞ?』
おいしい話には裏があるって事か、なーんか臭うんだよね、今回の依頼。
「そこはうまく―――ん?」
『どうした?』
ふと視界を街の裏に回したときに『断罪する瞳』に反応があった。
「罪人はっけーん、暇つぶしにやりますかねー」
『やれやれ、終わったら手入れしてくれよ?』
「わかってるって」
ボクは時計塔から『飛行』のスキルを使って飛び上がると今にも女の人を犯そうとしている男めがけて急降下した。
「クズには鉄槌を」
そう呟きながら。




