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街かど宿屋のドラゴンさん  作者: 抹茶さめ
2話
73/93

20泊目

 



 日差しが顔に当たって徐々に目が覚める、外からは小鳥のさえずりが聞こえてきた。


「ん! ふあああああ......」


 ゆっくりと起き上がって隙間が空いているカーテンを開ける、うん。今日も良い天気、いつものように顔を洗って歯を磨いてから髪を整えてからメフィア魔術学園の制服に着替えた。


 スミカさんが自分の事をドラゴンだって言ってきたあの日から今日で約一週間が経った。あの日はもう遅いからってスミカさんが話を切り上げちゃったんだけど、次の日に改めて聞いたら。


『信じてもらえないと思うけどそうだよ。証拠を見せてあげたいんだけどねー、今は『龍人化』って言う技って言うかスキル? を使ってるからこんな感じなんだよ。解除しちゃうと宿壊しちゃうから機会があったら見せてあげる』


 って笑いながら言ってた。


 ドラゴン、世界中のどの種族、魔物より遙か昔から世界に行き続けている魔物で主な生息地域は『龍渓谷』って呼ばれる場所、実際に見た人は一人も居なくてそこからたまにドラゴンが現れるからそう呼ばれてるだけ、近くにある帝国は行くことを禁じているとか、そりゃそうだよね。怒らせたら大変なことになりそうだし。


 何でそんな事を知ってるのかーっていうと、全部メフィア魔術学園の雑学で教わったんだよね。入学が決まったって聞いたのもあのお風呂を入っている時で、私がマナ枯渇で寝込んでいるときに制服まで届けてくれたみたい。服の大きさがぴったりなのが不思議......


 そう思って居たら部屋の扉がノックされて私が返事をするとスミカさんがひょっこり顔を出した。


「おはようーティナ起きた? あ、起きてた」

「おはようございます? どうかしたんですかスミカさ―――うわああ! 時間やばい!」


 ふと時計を見ると結構ぎりぎりの時間になってた。あれ!? いつも通り起きたはずなのに?!


「やっぱり起きられなかったか、ごめんねー昨日遅くまで手伝ってもらっちゃったから」

「す、すみません!」

「いいよいいよ、朝食食べてたら間に合わないと思ったからパンに色々挟んどいたから学園に行く途中で食べてね。あとお弁当」

「あう、ご迷惑おかけします......」


 スミカさんが綺麗に包まれたお弁当を手渡してくれた。私はそれを受け取って学園指定の鞄にしまってから紙袋を受け取って、スミカさんと一緒に一階に降りて受付があるホールにでた。


「辛かったら休んでもいいよ? 身体壊されたら困るし」

「大分慣れてきたので大丈夫です! じゃあ行ってきます!」

「はい、いってらっしゃい」


 優しく笑いながら手を振るスミカさんに私も笑いながら手を振って宿から外に出た。


 スミカさんお手製のサンドをかじりながら小走りで学園を目指す。いつ食べてもおいしい......どうやったらこんな風に味が出せるんだろう? 食べ終わってソースが付いた指を舐めた。おー、今日も市場は凄いなー。


「おや? なんだいなんだい! ティナちゃん遅刻かい?」


 そう話しかけられて立ち止まるといつも野菜とか果物を買わしてもらっているお店のおばちゃんが商品を並べていた。


「おはようございます! ちょっと寝過ごしちゃって!」

「はっはっは! そうかい! 元気ならいいのさ! ほら、あげるよ」


 おばちゃんが並べていた果物を一個手にとって私に渡してきた。え、これって今の時期は結構高い奴だよ?


「え! いいですよ、高いでしょう?!」

「いいのいいの! 持っていきなって!」


 ぐいっと押しつけられるように返そうとした手を押された。力つよ!?


「じゃ、じゃあもらいます! ありがとうございます! 行ってきます!」

「あいあい! いってらっしゃい!」


 ニカっと笑うおばちゃんにお礼を言って私はまた走り出す。


「ティナちゃん、おはよう!」

「おはようございまーす!」

「おう? ティナちゃん今日も可愛いね-!」

「ありがとうございまーす!」

「安よ安いよ! 新鮮な魔物の肉が―――お! ティナちゃんじゃねーか! おはよう!」

「おはようございます!」


 走りながら挨拶を返していく、竜風亭で働き出して一週間もしてないのにお肉屋さんに魚屋さん、香辛料や薬草を扱っているお店の人に顔を覚えられちゃった。


 市場を抜けて、さらに居住地を抜けるとメフィア魔術学園の大きな鉄門が見えた。ギギギっと大きな音を立てながらしまり始めていた。うわ! やばい!


 遅刻すると半日授業が潰れちゃうくらい怒られちゃうんだよね?! 確かサーシャちゃんが言ってた!


「うわああ! 待ってくださいいいいいい!」


 ぐっと足に力を込めて走る速度を上げる、そして門が閉まるギリギリを通過して急ブレーキをかけた。


 ガコンッ!っと大きな音がして門が閉じる。


「はぁはぁ、あ、危なかった......」

「......ティナ遅い」


 両膝に両手を当てて肩を上下させていたら声をかけられた。


「起こしてよ!? サーシャちゃん!」


 武術学園の制服に身を包んだサーシャちゃんが眠たそうな目で私を見ていた。


「......三回叩いても起きなかった」


 そう言いながら背を向けて歩き出すサーシャちゃん、そのせいでおでこが痛かったんだね?!






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