16泊目
精霊魔法使いはその名の通り、精霊達の力を借りて魔法を使う魔法使いの事、普通の魔法使いは火、水、風、雷、土、無の六属性の中から一つを選んで詠唱して発動するんだ。
例えば火属性魔法の派生、炎属性魔法を使いながら正反対の水属性魔法は使えない、詠唱するだけで相殺されちゃうから。
でも、雷属性魔法を使いなが水属性魔法は使えたりする。同時詠唱は凄く難しくて並大抵の魔法使いは出来ない、そう考えるとノエ女王様は天才ってことだね、うん。
だけど、精霊魔法は六属性の精霊達に力を借りるから火と水属性が同時に使えたり、凄い人なら三つの属性を同時に操るとか。凄い便利に見えるけど、長所があれば短所もある。
まず、詠唱中は動けない、詠唱呪文を歌うように唱えなきゃいけない、呪文がやたらと長い、精霊さんの機嫌が悪いと不発する、一回使うと凄く疲れる。
あれ? 短所多くない?
ま、まあいいや! 今目の前に居るのは火の精霊の『サラマンダー』、少しイラッとしちゃったから『精霊召喚』っていうのをやってみた。実は初めて成功したんだけどね
扱いが凄く難しくて、使える人も全然いないとか。
「ふーん、『精霊召喚』ねぇ、それもサラマンダー......よし、あれでいこーと」
ノエ女王様がサラマンダーを見ながら顎に手を当てながらいうと、何か思い付いたのかローブも内側から青い液体が入った長細いガラス瓶を取り出し、蓋を開けて一気に中身を飲み干してガラス瓶を横に放り捨てた。
パリンっとガラス瓶が粉々になった。お行儀悪い!
「ポイ捨てしちゃいけないって教わらなかった? サラちゃん! 『フレイムーアロー』!」
『グウ!』
サラマンダーのサラちゃんが元気よく鳴くと十本の燃え盛る矢がサラちゃんの回りに現れて、それが同時に放たれた。
「『我願うは豊かな水なり、幾重にも重なり、重なり、襲い掛かる炎を防ぎたまえ』、『アクアウォール』『我が命ずるは雷鳴轟く鋭い槍、すべてを貫け』『ライトニングランス』」
ノエ女王様の魔法、水で出来た壁にフレイムアローが簡単には防がれちゃった。しかもた多重詠唱?! やばい!
水の壁を突き破るようにライトニングスピアより倍の大きさの槍が飛び出してきた。
『グゥ!?』
「っく!」
サラちゃんが驚いたように鳴きながらジャンプして避ける、私も体を捻りながら避ける、だけど。
「『狙い、外さず、付きまとえ』」
「え!?」
避けたはずの雷の槍が空中まで飛び上がると向きを変えて襲いかかってきた。
「サラちゃん! 雷の槍に向かって『フレイムランス』!」
『グウ!』
ノエ女王様の雷の槍より少し小さいけど、炎で出来た槍が現れて発射されると雷の槍とぶつかってきた爆音と煙が上がった。
「『ライトニングスピアーズ』」
「くぅ!?」
いつの間に詠唱してたの?! ノエ女王様の声が聞こえた。間髪いれずに次の攻撃が襲ってきた。
三本を避ける、二本はサラちゃんが体を盾にして防いでくれた。だけど最後の一本が私の回避した先に置かれるように射たれていた。
避けられない! でも避ける!
「ふっ!」
体を捻ってぎりぎりで避けた。つもりだった。
「いっ!」
太股を掠めた攻撃に身体中に激痛が走った。痛みで膝をついて動けない私を守る様にサラちゃんが前に出てノエ女王様に向かって走り出した。
「ッ! だ、ダメ! 戻って!」
私はサラちゃんを止めようとした。痛みで涙が浮かぶ目で見たノエ女王様がニヤリと笑っている姿が見えたから。
『グウ? ギャウウウウウ?! クウゥウウ......』
サラちゃんがノエ女王様の二メートル程手前であの青い魔方陣を踏むと何十本もの水の槍に貫かれて悲鳴を上げながら光の粒子になって消えた。
その瞬間、全身から力が抜けた。え、なにこれ......目眩がする頭を押さえなが何とか踏み留まる。
倒れちゃダメ! ここで倒れたら私の負けになる! 魔術学園に絶対に入学するんだもん!
「......凄い気力ね? 精霊がやられるとその代償でマナが殆ど無くなる筈よ? 立って居ることすら出来ないのに」
「はぁ、はぁ、はぁ......まだ! 負けてないもん!」
「そう、でもこれで終わりよ『ライトニングスピア』、楽しかったわ、ありがとう」
私に向け雷の槍が真っ直ぐ飛んできた。あー無理、避ける気力もないよ。痛そうだなー
目を閉じて衝撃に供える、パシンッ!っと破裂音が演習場に響き渡った。だけど痛くない、あ、あれ?
「え、う、嘘......」
ノエ女王様の声が何か震えてる? 私は恐る恐る目を開ける。そこにいたのは初めて会った時と同じ格好のスミカさんでした。
「お昼ご飯までに帰ってこないから様子を見に来たら、どういう事?」
「す、スミカ......さん?」
私が呟くとスミカさんがニッコリと微笑んだ。それを見たら脚から力が抜けちゃった。
「おっと」
ポフッと受け止められた。
「あらら、ボロボロ。頑張ったね」
「ふ、ふあい」
それを聞いて私の意識は途切れた。




