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街かど宿屋のドラゴンさん  作者: 抹茶さめ
1話
33/93

27泊目

 

「出来損ないと言うことはこれは全部スミカ殿が作ったのか?」

「......そう聞いてる」

「そ、それもそれで凄いが、さっきの魔法は剣を創造して降らせる魔法ではなく―――」

「......作った剣を取り出す魔法」


 つまり一種の収納魔法か、だが物凄い容量だな。騎士団全員分の武器が収納出来る容量だ。


 俺はざっと剣の海を眺める、およそ五千本か?


「収納魔法の類いか」

「はー凄いっすねぇ、でも収納魔法って滅茶苦茶マナを食うんじゃ?」

「ああ、収納容量が大きくなればなるほど消費マナは多くなる」


 スミカ殿に視線を向けると両手に剣を持って軽く二回ジャンプする。


「ふぅ......行くよ?」

「ッハ! 来るがいい!」


 スミカ殿が走り出す、無数の剣の間を縫うようにディーネに向かって走り出す。だがディーネが剣を持たない方の手を横に振るうと赤い液体が槍のように変化し五本発射された。


「よっと!」


 ヒュッ! ガキーン!


 風を切る音が鳴ったと思えばスミカ殿が左手の剣で赤い槍を砕く、左手の剣も同時に砕けるがスミカ殿は体を捻りながら右手の剣で二射目を砕く、また剣が砕ける。


 右手の剣を振るう前に近くに刺さっていた剣を左手で引き抜いていたのかまた赤い槍を砕く、剣が砕ける、直ぐに新しい剣に持ち変える、の繰り返し。しかも走りながらだ。


 赤い槍の攻撃をすべて打ち落とすと今度は指に挟むように両手に三本の剣が握られていた。それをディーネに向かって投げる、矢が風を切る様な音を鳴らしながら六本の剣がディーネに向かって飛ぶ。


「クハハ! 甘いぞ!」


 ディーネが手を振るうとあの赤い槍が六本現れ発射されると六本の剣は赤い槍と一緒に砕け、粉々になった剣の破片と赤い槍の水煙が合わさりキラキラとした煙が広がる。


 その煙の中に何の躊躇いもなくスミカ殿が突っ込む。


 ヒュッ! ドシュ!


「ぐぅ! ッチ!」


 その煙の中から一本の剣が突き抜けディーネの左腕を切り飛ばした。だが切り飛ばされた腕は霧のように霧散するとディーネの左腕があった場所に瞬時に移動して腕を復元した。


「邪魔だ!」


 ブオンッとディーネが『カルドヴェルク』を振るうと黒い軌跡を残しながら赤い煙を散らす、だがそこにはスミカ殿の姿はなかった。


「何処に隠れ、がッ!」


 ディーネの腹から血に染まった剣が突き出てきた。その背後にスミカ殿がゆらりと現れ剣を引き抜くとディーネは血に染まった腹部を押さえながふらふらと歩きながらスミカ殿の方に向いた。


「がふ......ゴホッ!」


 血の塊を吐き出して口元を拭うディーネにスミカ殿が砕けた剣の柄を放り捨てて左手の剣を突きつける。


「降参する?」

「我を舐めているの―――ぐ!」


 カルドヴェルクを握っていたディーネの右腕が肩から切り飛ばされるとカルドヴェルクがクルクルと回転しながら落下して突き刺さる。


 スミカ殿が持っていた剣が砕ける、それとほぼ同時にディーネの右腕が再生して左手を手刀の様に振るう。


 それを右手で切り飛ばす。剣が砕ける、ディーネが再生し手刀を振るう、切り飛ばす。剣が砕ける。それを繰り返す。


「凄まじいな、魔王と互角。いや、スミカ殿が上か?」

「......」

「サーシャ殿? どうしたんですかい?」


 優勢のはずなのに難しい顔をしたサーシャにケインズが話しかけた。


「ッツ! 危ない!」


 その時、サーシャの猫耳と尻尾がピント立ち上がり、普段の少し小声で間が空いている喋り方ではなかった。俺は視線をスミカ殿とディーネの戦闘に戻すとついさっき飛んでいって刺さっていたはずのカルドヴェルクが勝手に動きスミカ殿の右腕を切り裂いて鮮血を飛び散らした。


「ありゃ、こりゃ痛い」


 そう軽く言ってスミカ殿がディーネから距離をとる、赤いドレスは所々破け、ディーネの血で更に赤くなっていた。両腕が無くなっているが直ぐに元に戻った。


 再生した腕の感触を確かめるように両手を握ったり開いたりを数回繰り返してからディーネの目の前に浮かんでいたカルドヴェルクを握った。


「魔神剣に切られて痛いで済むものか。今頃は激痛が全身に広がり、勇者でさえ喚く痛みだぞ?」

「少し痛い位ですね」

「クハハ! 化け物めが」

「貴方に言われたくないです」


 そう言いながらゆらりとスミカ殿が背景に溶け込むように消えた。


「ふん 二度も同じ手は食らわんぞ......そこか!」


 ディーネがカルドヴェルクを何もない空間を切るように振るうと数本のロングソードが砕け散る、すると右腕から血を流すスミカ殿が現れた。


「やっぱり通じないかー」

「下手な小細工しおって、我が見破れぬはずがなかろう?」

「ですよねー」


 ダラリと下がった右腕からは今も出血している、だがスミカ殿が切られたであろう右腕の場所を左手でキュッと掴んで離すと傷どころか裂けた服さえも綺麗に治っていた。


「ククク、本当にどっちが化け物か分からんな」

「酷いなー人間じゃ無いけど、まともだよ? 私は」

「そうか、ならば我は本気を出さしてもらうぞ?」


 ディーネの背後に立ち上っていた黒いオーラが更に大きくなり、赤い液体がディーネに向かって引き潮のように引いていき集まる。


「ッ! それは駄目だディーネ!」


 スミカ殿が手を伸ばすが時すでに遅く、ディーネを中心に集まった赤い液体がカルドヴェルクごとディーネを包み込み黒くて巨大な球体になった。









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