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街かど宿屋のドラゴンさん  作者: 抹茶さめ
1話
30/93

25泊目

 


「......誰だお前」


 カチャっと剣を突きつけたサーシャに俺は戸惑った。


「サーシャ殿、あれはサテラ殿ではないか?!」

「気に入らないのは分かるが何も武器を構えなくてもいいんじゃねーのか?」

「......違う」

「何?」

「......アレはサテラじゃない」


 サーシャがそう言うとサテラが肩を震わせ、右手で顔を覆い笑いだした。


「ククク、ハハハハハハハ!! 獣人風情に我が『お前』、『アレ』呼ばわりか、こんなに面白いことはない......はぁ、ふざけるな!!」


 その瞬間、体が押し潰されるように重くなり膝と両手を付いてしまった。ケインズも同じらしく剣を支えにしており、サーシャはかろうじて立ってはいるが足が震えていた。


 パチンっと音がすると謎の圧力が無くなった。顔を上げるとスミカ殿が指を鳴らした姿のまま立っていた。


「ッチ......ふん、やはり貴方には効かないか? 入ってきた時には気づかなかった、そして今も気配を変えている。いや、力を抑えているのか? ククク、生きにくそうだな『血濡れ姫』よ」

「懐かしい愛称で呼ばないでくれる? それに慣れれば快適だよ? 貴女もどう?」

「クク、遠慮しておこう。我は力の制御が苦手で......な!」


 言葉を言い切る前にサテラ? が両手を下から上に振り上げると赤い赤い液体だった物が棘のよう尖り発射されスミカ殿にあたる寸前で粉々になり液体に戻った。


「『魔糸』か、相変わらずデタラメなことよ」


 やれやれとサテラ? が肩をすくめて首を横に降った。


「サテラ殿! 何故我々を攻撃するのです?! それに貴方はここにどうやって―――ッ!?」


 喋りきる前に足元から赤い棘が生え、俺の左頬部分の兜と擦れて金属音が鳴り火花が散った。後数センチずれていたら頭を貫かれていた。


「サテラ、サテラと五月蝿い劣等種が、我はサテラではない」


 腕を組んで不機嫌そうなサテラ? を俺は見ることしか出来なかった。するとスミカ殿が小さく息を吐いた。


「......彼女はディーネ、サテラの母親ですよ」

「「母!?」」

「......そっくり」


 サテラの母親だと? パット見は姉妹に見えるが。


「ふん、『血濡れ姫』に紹介されては仕方ない。我が名はディーネ、闇を支配し魔族を支配する『ヴァンパイア』の純血種、そして―――」

「......まさか、初代魔王?」

「クックック、その通りだ獣人。以外に学があるではないか」

「なんだと!?」

「おいおいマジかよ......とんだ厄日だぜ」

「だが証拠がないぞ! 初代魔王の記録は残っていない!」


 初代魔王が現れたのが数千年前だ。最早記録と呼べる物は残っていない。いや、残ってはいるが想像の産物、噂話のような物だ。正式に記録が残されているのは二代目魔王の『残虐非道の牛鬼』と呼ばれたミノタウロス族からだ。


「なんと、そうであったか。我も最早お伽噺の住人か、ならば此ならどうだ? 人間」


 ディーネが指を弾くと彼女の足元から何処からともなく一本の禍々しい剣が赤い液体を滴れさせながら出てきた。その瞬間ゾクッとした。あれは知っている、知らない者は居ないはずだ。


「まさか......魔神剣『カルドヴェルク』か!?」

「やはりこれは伝わっているようだな」


 ニヤリと笑うディーネに俺とケインズは一歩下がった。あれは魔王に代々伝わっている武器、一振りで千の兵士を殺したという言い伝えがある、五百年程前の魔王の記録でも書かれていた。


 漆黒の刀身に赤紫に光るヒビのような模様、柄と持ち手は羊の角が捻れた様な形をしている。魔王しか扱うことが出来ず、勇者しか扱うことが出来ない英聖剣『エリュトリオン』でしか太刀打ち出来ない魔の武器。


 体が小刻み震えているのが分かる、とてつもない力を持った勇者さえも深傷を負わせるという魔王。しかもその初代、SSランク冒険者のスミカ殿が居ると言っても倒せる保証はない。


 ん? 待て。さっきのスミカ殿と魔王のやり取り、少し不自然ではないか? まるで面識があるかのようだ。いや、面識があるのか? ディーネと名乗った初代魔王がスミカ殿の『魔糸』を知っていた。


「もう良いか劣等種よ? さて『血濡れ姫』いや、スミカよ、我をコロシテくれ」


 ディーネが『カルドヴェルク』を握る、彼女の背後には黒いオーラが立ち上っていた。



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