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白雪姫 2

語り部(院長)

『建国祭当日の朝早く、

 玉座の間で

 王妃様は仮面の王に

 勇気を振り絞って言いました』


王妃(妹)「式典には出ません、

      あなたの言うなりはもうごめんです」


仮面の王「それでは私が出なければならなくなるではないか

     醜い姿を晒せば王の権威は地に落ちる」


王妃「良いではありませんか。

   顔を晒したくらいで落ちる権威なら

   いっそなくしたほうがすっきりしましょう」


白雪姫(少女)

「おとうさま、おかあさま

 喧嘩はやめてください。

 わたしが出ますから」


王妃「いけません白雪姫、

   貴女には早過ぎます」


白雪姫「いいえ、わたしも王家の一人として

    つとめを果たします。

    それにおとうさまが表に出るとなると

    危ないことをしてくる人が出てくるかもしれません。

    わたしが出れば丸くおさまります」


仮面の王「おお、おお、さすがは我が子じゃ聡いのう、

     ちかごろはますます美しくなって

     父は嬉しいぞ、白雪姫、何でも願いを聞いて上げよう」


白雪姫 「本当ですかおとうさま、ではごにょごにょ…」


仮面の王「ふむ、ふむ……わかった」


王妃「気分が悪い!私は部屋に戻ります」


白雪姫「ああ、おかあさま!」


『王妃様は思い通りに運ばなかったものだから

 怒り心頭に発して自室に戻りました。

 不安にかられて

 またも抽斗ひきだしから鏡を取り出して問いかけます』


王妃「これはまずいことになった。。

   鏡よ鏡、この国で一番美しいのは

   この私であろうな」


鏡『否、一番美しいのは

  そなたの娘白雪姫なり』


王妃「そんな馬鹿な、

   昨日は私と言っていたではないか」


鏡『白雪姫は日ごとに美しさを増しておる。

  ちょうどただいま一等賞は白雪姫になった』


王妃「そんな、このままでは立場も美しさも

   白雪姫に穫られてしまう」


『王妃様が恐怖に駆られていると

 大臣が部屋の前に現れました』


大臣「王妃陛下!よろしいでしょうか」


王妃「ああ大臣、入ってください」


大臣(院長)

  「失礼します。

   王妃陛下、陛下に欠席する旨は

   お伝えになりましたか。

   いよいよ今日執行を…

   いえいえ、式典はもうすぐですが」


王妃「ああ聞いてください。

   陛下の代わりに白雪姫が出ることに」


大臣「なんと!」


王妃「それに陛下が表に出ると危険だから

   私が出れば丸く収まると…

   陛下はすっかり機嫌を良くされて

   白雪姫の願いを何でも叶えてやるとまで仰ったのです」


大臣「まずいまずいまずいまずい!!」


王妃「どうしたのですか、驚かさないでください」


大臣「いえ、これはとても良くないことです。

   王妃陛下、姫様は貴女を追放するおつもりだ」


王妃「なんですって!」


大臣「私たちは陛下の傲慢を諫めるつもりで

   いろいろと考えをめぐらしましたが

   どうやら姫様の方が遙かに腹黒かった。

   夫婦喧嘩を利用して王妃陛下の

   立場と財産をそっくりぶんどる

   腹積もりなのです。

   願いを叶えてやると言われて

   金と権力をのぞまぬ者がどこにいるでしょうか」


王妃「実の母に向かって…

   白雪姫、許せない!

   大臣、私はどうすれば良いのですか」


『大臣はふところから小さな瓶を取り出しました。

 中には妖しく光る液体が揺れています』


大臣「ここに眠り薬があります。

   これを姫様を飲んでもらい

   今日一日だけぐっすりと休んでいただきましょう。

   陛下はいよいよ出ざるを得なくなります」


王妃「それは良い考えですね、

   正午の式典まで時間がありません。

   早速やりましょう」


大臣傍白(本当は永遠に眠ってもらうがな…)


王妃「どうかしましたか?」


大臣「いえいえ、では朝食の時間になりましたら

   私の部下が配膳しますので

   姫様の食事にこれを混ぜておきます。

   王妃陛下は何食わぬ顔でふつうに食事をしていただき

   眠りこけた姫様の介抱をなさってください」


王妃「わかりました、これで万端上手く運びますね。

   頼りにしていますよ大臣」


『王妃陛下は食堂に向かうため

 部屋を出ていきました』


大臣「まずいことになった!

   王が表に出てきたところを狙撃し、

   あの世へ送って混乱を作り出し

   しかる後に到着した隣国の軍隊と

   協働して王国を一気に乗っ取るつもりだったのに…

   あの小娘が余計なことを…

   もう段取りを変える時間はない!

   何としても式典が始まる

   正午までに白雪姫を亡き者にせねば!」


『式典を間近に控え

 王様と白雪姫、それに王妃様は

 家族水入らずで楽しい食事をとろうとしています。

 料理人たちがおいしそうなごちそうをつぎつぎと

 食卓の上に並べていきます』


仮面の王「さあ、式典の前の腹ごしらえだ。

     白雪姫、お前の好きな物ばかり用意したから

     たんと食べるがいいぞ」


白雪姫「わあい!おとうさま、おかあさま

    ありがとうございます」


王妃「あらあら、はりきりすぎて

   食べ過ぎてはいけませんよ」


『白雪姫はたくさんのごちそうを前に

 無邪気に喜んでいます』


仮面の王「ああそれとな、お前に言っておくことが…」


王妃「何でしょう?」


七人の小人(子供たち)「失礼!お食事はおやめください!!」


『王様が王妃様に何かを言おうとしたその時

 鎧兜とに身を包んだ七人の小人が入ってきました。

 みな体は小さくとも国に並ぶ物のない屈強な兵士たちです』


仮面の王「どうしたのだ!」


小人1「薬品の保管庫から

    毒薬がなくなっているとの知らせを受け、

    もしやと思い、急ぎ推参しました」


小人2「食事に毒が入っていないか

    調べさせていただきます」


小人3「この薬を毒の入っている食べ物にかけると

    色が赤く変わります」


『小人たちはテーブルに並べられた食事を

 少しずつ切り集めて、薬をかけました、すると』


小人4「ああ!姫様の食べ物が赤く!」


仮面の王「何ということだ!

     よりにもよって

     今日という日に

     こんな不届き者が現れるとは!

     すぐに犯人を探すのだ!」


小人5「しかし陛下、もうすぐ式が始まります」


仮面の王「ううむ、お前たち、

     白雪姫の側を片時も離れるなよ」


小人6「は!我ら身の丈三尺五寸なれど

    勇気は百万丈

    姫様は必ずお守りします」


仮面の王「まったく、とんでもないことになった…」


『食事は中止となり

 白雪姫は小人たちの持ってきた

 簡単な食料だけを食べて

 式典にのぞむことになりました

 王様は犯人を探して城を駆けずり回っています。

 王妃様は思わぬ形で目論見が失敗に終わり

 自室で大臣に問いかけます』


大臣「まったくとんでもないことになった…」


王妃「大臣!毒薬とはどういう事なのです、

   眠り薬ではないのですか!」


大臣「王妃陛下、それは誤解です。

   薬か毒かは量によって決まるもの。

   大量に飲めば毒になりますし

   適切な量であれば理想的な薬になるのです。

   私の部下は姫様の命に別状が無いよう

   ごく少量にしたのに

   あの小人たちが大げさに騒ぎ立てただけなのです」


王妃「そうなのですか?」


大臣「そうですとも、そうですとも」


王妃「そうですか。

   もうすぐ式典が始まります。

   時間がありません、どうしましょう」


大臣傍白(やれやれ、馬鹿な王妃で助かったわ)


王妃「どうしたのですか?」


大臣「いえ、いえ、なんでもありません。

   それより今。姫様の周りは小人たちが

   がっちりと固めていて近付くことすら難しい」


王妃「たしかに」


大臣「しかしそれは他人から見てのこと

   親子ならば何も問題はありません」


王妃「なるほど、私が出向けば良いのですね。

  しかし、どうやって薬を飲ませましょう」


大臣「ここに櫛があります。

   これに薬が塗り込んでありますから

   姫様の髪を梳かしてください。

   頭からでも薬は染み込んでいきます」


王妃「櫛で梳かすだけですか。

   大臣、貴方は頼りになりますね」


大臣「いえ、いえ、お安い御用です。

   ではお願いしますよ、王妃陛下」


王妃「まかせてくださいな」


『王妃様は小人たちに守られている

 白雪姫に声をかけました』


王妃「白雪姫、式典まであとわずか

   私が身繕いをしてあげましょう」


白雪姫「本当ですかおかあさま、

    ありがとうございます」


王妃「では私の部屋でやりましょう

   あなたたちはしっかりと見張っていて

   くださいね」


小人1「わかりました。

    私たちにまかせてください」


『王妃様と白雪姫は

 二人きりでお話をしています』


王妃「白雪姫、こうして髪を

   梳かしてあげるのも久しぶりですね。

   晴れの舞台なのですから

   目一杯おめかししましょう」


『王妃様は薬が行き渡るように

 何度も何度も

 白雪姫の髪を梳かします。

 白雪姫はとても嬉しそうです』


白雪姫「はい、式典が終われば

    家族みんなでなかよく暮らせるようになります。

    わたし、がんばりますね」


王妃「え、今、なんと言ったのですか…」


白雪姫「おとうさまが願いを聞いてくれると

    仰ったので、おかあさまをいじめないでくださいと…

    仲直りをしてくださいと…

    おと…さま…やくそ…く…して…


『毒の回った白雪姫は崩れ落ちてしまいました

 王妃様は全てを悟りました』


王妃「そんな…そんなことが!

   ああ白雪姫、死なないで!

   そうだ!鏡よ鏡!この国で一番美しいのは

   当然白雪姫であろうな!」


鏡『この国でもっとも美しいもの

  それはもうすぐ、そなたになる』


王妃「なんてこと…なぜ白雪姫だけが…こんな目に…」


小人7「どうされました!ん!?姫様!」


王妃「私は…私は…」


『異変を察し、王様も部屋にやって来ました』


仮面の王「何があったのだ!」


王妃「私が…白雪姫を…

   殺してしまったのです…

   眠り薬などと

   見え透いた嘘にだまされて…」


仮面の王「我が子を手に掛けるとは!

     気でも違ったのか!!」


王妃「ああ、お許しください」


小人1「王妃陛下!だまされたとは

    いったい誰に!?」


王妃「大臣です…」


仮面の王「大臣だと!」


『その時、扉を乱暴に叩き開け

 大臣が、数人の手勢を連れて

 押し入ってきました』


大臣「ばれてしまっては仕方がない。

   本来ならば陛下には式典の場で

   華々しく散っていただく予定でしたが

   こうも早くばれてしまっては仕方がない。

   この場で全員、姫の後を追わせてあげましょう!!」


仮面の王「全ての元凶はお前か大臣!

     下郎に遅れをとる私でない。

     皆のもの、かかれ!」


七人の小人「御意!!」


『雄叫びとともにすさまじい勢いで

 七人の小人はそれぞれの得物を振りかざし

 大臣の兵士を打ちのめします』


小人3「どおりゃあ!!」


兵士1「ぐええ!」

 

『王様もみずから剣を引き抜いて戦います』


仮面の王「遠慮をするな!

     毒の礼にこの刃をたっぷりと

     味合わせてやる!」


大臣」「うわあ!」


『みなは戦いに戦い、瞬く間に兵士たちを葬り

 大臣を捕らえました』


大臣「ふはははは!もう遅い、

   この国はおしまいだ」


仮面の王「死を前にして狂ったか」


大臣「手引きした隣国の大軍勢が押し寄せてくる。

   あと一時間もすれば何もかもが炎の中。

   白雪姫とともに灰になるがいいぞ、ぐぇっ!」


『王様は大臣を叩き斬りました

 王妃様は涙を流しながら王様に訴えます』


王妃「陛下、どうか私もお斬りください」


仮面の王「それは出来んな」


王妃「なぜです!」


仮面の王「白雪姫に仲直りをしろと言われた。

     娘の願いを反故ほごにするわけにはいかぬ」


王妃「へい…か…」


小人3「姫様が息をしておられます!」


仮面の王「白雪姫!」


白雪姫「と…さま…かあ…さま…どう…か…」


王妃「白雪姫、喋ってはいけません」


仮面の王「時間がない、早く解毒薬を!」


小人4「それが…大臣のやつめ

    解毒薬の入った瓶を全て割っていたのです」


仮面の王「ぐぬぬぬ!周到な奴め、城下にはないのか」


小人4「それが陛下、この薬は

    隣国でしか手に入らないものなのです…」


仮面の王「こんな理不尽が…

     殺しに来る相手に薬を恵んでくれと頼むのか…

     受け入れられるはずが…」


王妃「やりましょう陛下!

   すぐにここを発てば

   隣国の軍と鉢合わせするはず。

   私がお願いをしてきます」


仮面の王「危険過ぎる、私も行こう」


王妃「城の外に出られるのですか?」


仮面の王「娘と国がかかっておればな」


王妃「陛下…ですがお気持ちだけ受け取っておきます。

   私に万が一のことがあれば

   国を守れるのは陛下しかおりません。

   どうかここに留まってください」


仮面の王「うむ…わかった。

     ではこの者たちを護衛につけよう。

     お前たち、私の妻を

     敵陣まで送り届けよ」


小人1「これは何という無茶を…

    おまかせください!命に代えましても

    王妃陛下を送り届けて見せます」


王妃「ではみなさん行きましょう!」


七人の小人「御意!」

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