復讐編 5
黒チーター君と目を合わせて、私たちの呆れの感情が一致している事を確認して、こいつらにかまっている方がもったいないと確信した。
お前が、そっちのせいだろと言い合いが止まらない二人にとりあえず黙ってほしい。
「あー。もういいよ。二人とも面倒だから。」
大きな声で話をした事がない私の小さな声は、どうやら聞こえたようだ。てくてくと縛っていた男の後ろに回り縄をほどく。…あれ?ほどけない。あれれ?ほどけないようにと縦結びをしまくったから?
うーむ。悩んでいたら、黒チーター君が爪でザクッと切ってくれた。ありがとうの気持ちを込めて、喉の柔らかいところを撫で回す。
まんざらでもない黒チーター君。ゴロゴロと喉が鳴っていて可愛さに抱きつく。たまらん。
「…どうゆう事だ?」
解放されてなお、警戒心が消えない。一目散に逃げるのかと思っていたが、あぁ、そうか。座り続けた足はすぐに歩けるほど回復しない。自分の足ではないような感覚がするのだ。プルプルしているのだろう。うんうん。わかるよ。経験済みだからね。
「いや、なんかもう別にいいかなっと。」
正直に話す。それでも怪訝な顔をされたので、言葉を足す。…話すの得意じゃないんだよ。
「もうちょっとなんか相手を思い合って抵抗したり、どちらも黙ったりするのかな〜なんて思っていたんだけど。…どっちもかばう気がさらさらなくて…。」
一人だけやられたら、残った方は心が痛むかな〜って思ってだけど、この分じゃあせいせいするだけだよな。むしろ殺してくれてありがとう的な。
嫌がらせにもなりはしない。それじゃあやる意味がない。
「私たちの事を言いふらさなければ、もういいよ。好きにすれば〜。」
興味も関心もなくなった。ふらふらと立ち上がった男は、鳩が豆鉄砲をくらったような顔をしている。ぷっ。笑える。
「あー。そっちの埋まった方は、掘り起こして助けるも良し。見なかったふりをして処分するも良し。好きにして〜。あっ、燃やしておいてくれるとうれしい。」
あれだけ嫌がっていたんだ。離れたとはいえ約束したし。木の人の根っこにどこまで影響があるのかわからないし。
「あの、いいのか?」
焦った声が私にかかる。ん?振り返る。
「こいつは、口が軽いし、助かったと思えば後から逆恨みして酒に走ってグダを巻いて何を愚痴るかわからない。…俺は、話さないけど。」
「テメェ!何を言ってやがる!」
図星をさされたかのように声を荒げる男。…その返答ですべて肯定された。口が軽くて、酒に弱いのに酒が好きなんだね。そして愚痴ってグダ絡みするんだね。…ダメ男の典型だね。
黒チーター君が、心配そうに私を見る。目線でやっちまうかと言っていて、でも復讐以外で手を出されるのは私的に嫌なので。
ちょっと、脅しとこうかな。吸血鬼のやり方で。




