復讐編 3
死体から売れるものを奪うのは、悪い事?
前世の人も物も食料も水もあふれていた世界に比べて、今、私が立っている場所のなんと不安定な事か。金のために、死んだ獣人から毛皮をはぐ事がおこなわれていても、誰も声をあげない。
これが、ここの日常なのか。
今、自分の立っている場所が、ふらふらと揺れている気がした。
人は、どこまでも、残酷になれる。
獣人を殺しても、ヘラヘラ笑っていられるあの男たちのように。そして、子供にまで手をかけようとしている。…はぁ。早く、逃げないと私もこうゆう人たちの獲物にされるのか。
「…なぁ、早く出してくれよ。殺してない…だろ。もう、お前らを狙ったりしない…から。」
目元を虫に食われながら、埋まった男が懇願してくる。
うーん。どうしよう。埋まっている男に残念なお知らせがあります。しゃがみこんで、目を合わせたら、怯えられた。当たり前か。
「穴が深過ぎて、出せない。」
私、幼女。シャベルもスコップもなく土を掘るなんて、できません。この小さな手で掘ろうにも限界がある事を分かって欲しい。黒チーター君がくるまで待ってくださいませ。…もうちょっとかかるかもな〜。あの怒りようでは。
「は⁈冗談だろ!何言ってんだ!」
声を荒げて、また怒鳴り始めた。水を飲ませてないせいか、声がガラガラ。でも、残り少ない力を振り絞って文句を言う。
我関せずな私。無理なものは無理だもん。
木に縛り付けて置いた男の方へ行くと、蛇がジッと私を見つめてきた。本来のかわいい幼女なら、キャーと悲鳴をあげて驚くところだか、そんな可愛げは前世から捨てている。
縄にしていた草をまだ持っていてよかった。
散歩のように蛇に近づくと、縄を首に引っ掛ける。男たちがもっといると想定して、多く作っていた縄が役に立った。素早く近づき、膝で胴体を押さえつけてナイフで首を切った。毒腺があるだろう辺りは、避けながら。
一分にも満たない鮮やかな殺し方に、男たちが目を丸くしている。
慣れているからね。…なんでかは乙女の秘密だから言わないけど。
木に縛り付けていた男の正面に立つと、逃げられないのに、必死に逃げようとする。…あれ?蛇よりも抵抗が激しくないか?あれ?助けたはずなのに。
「蛇に噛まれた?蜘蛛に刺されたの?」
とりあえず、聞いてみる。
「…噛まれて、ない…はず。」
そっか。頑張ったんだな。…で、こいつらどうしようか。逃したら逃したで面倒だし。私の事を教会やら、悪魔退治の人に売られたら困るし。よし。
「一人だけ助けてあげる。どっちがいいか話あって決めてね。」
私は、この人たちを試そうと思う。一本しかない糸によって。




