表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
正しい吸血鬼のなり方  作者: 冬月 葉
63/64

逃亡編 8

 あれ、待って。獣人の男の子をお姫様抱っこして運ぶ、幼い女の子。…絵面がおかしくない?


 ふと、立ち止まる。このまま、この獣人の男の子の親御さんにあったら、どう思われるか。


 ありがとうと感謝される?いやいや。私の身体は認めたくないが、小さい。この獣人の男の子の半分くらいの身長しかない。そんな子がお姫様抱っこで届けるなんて、不信感しかうまないでしょ。私だったら、警戒心MAXだな。


 …よし、ゴロゴロと喉を鳴らして擦り寄る男の子を正気に戻そう。酔っ払っているみたいだが、私の血を舐めたせいではない…はず。だって、血を吸うだけでもやばいのに、私の血に酒成分が含まれている…。うん。やばい。


 人間じゃあないのは、まぁ、仕方がないかな〜なんて思ってしまったが、悪魔一直線じゃないか。


 頭を抱えるのは一瞬で、生まれてきたからしょうがないと開き直る。生まれたのは、私のせいじゃないし、生まれてきた時からの食生活なんて変えようがないし。…親みたいなのが出てきたら殴りたい気持ちでいっぱいだが。


 よし、兄さんにやっていた起こし方をやってみよー。兄さんはこれで朝から笑顔で起きてくれた。


 お姫様抱っこのままではやりづらいので、木に酔っ払ってくにゃくにゃの身体を立てかける。


 触ろうと手をわきわきさせて、ふと我に返る。…セクハラじゃね?脇腹をくすぐろうとした手が止まる。裸を余す所なく見てしまったが、あれは不可抗力であったし、お姫様抱っこは運ぶための手段だった。


 意図して、触れるのは、セクハラじゃね?


 人としての倫理観に縛られて、動けない私。


 後ろから、カサっと音がした。かすかで、それでも私の耳にはっきりと聞こえた。


 とっさに、木の後ろに隠れる。そうだった。私逃走中。いつ悪魔狩りにあうか分からない身の上。黒チーターと戯れている場合じゃあなかった。


 体勢を低くして、足を開き、いつでも走り出せるように、紅い目を凝らす。夜行性の生き物は、私だけではない。音を殺して背後を取る事を簡単にできる生き物もいる。


 私は、緊張で荒くなる呼吸を長く静かにする。足の先まで神経を行き渡らせて、音を封じる。


 敵を、排除する。夜の闇の中は、私にとって昼間。木の後ろから大きく目を開き、見定める。


 カサ…カサと静かにでも確実に近づいてきている足音に、ナイフを軽く握った。


 余計な力は、動きを阻害することを、私は前世から知っていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ