逃亡編 6
黒チーター(確定?)が、グリグリと頭をこすりつけるだけでは飽き足らず、赤く大きな舌を出してベロベロと私の胸を舐め始めた。
うっすいワンピースしか着ていないので、舌のザラザラ感が痛くすぐったい。
「こら、女の子の胸を舐め回すとは不届きな。ふっふふふ。やめなさい。」
胸に押しつけられている頭を、どうにか離そうとするも、ゴロゴロと機嫌が良さそうに喉をならされると抵抗がしにくい。…モフモフ好きにとっては大きなニャンコさんに懐かれているみたいでちょっぴりうれしいかったりもするのだ。
あれ、はて?違和感に気がついた。コア黒チーター(確定)が舐めているのは…服ににじんだ私の血の跡。私が寝る場所を手に入れるためにネズミ(大)と殴り合いをした際に、けっこう動かしたらピリッと痛みが走ったが、戦いの最中にそんな事にかまっていられるはずもなく、痛みなど無視して全力で殴りあった。…厳しい戦いだったぜ。
遠い目をして振り返る私。その戦いの後はぐっすり寝てたので記憶がなく、血がにじみ服に染み込んでいたなんて思いもしなかった。
その後は、夜の森をさまよい歩き小汚くなっていくばかりで、服の血なんて気づきもしなかった。
黒チーター(確定)が、私の血を舐める。
はぁ、コイツも私の身体が目的だったのね。私もあなたの血が欲しかったのだよ。
じゃあ、私の血をあげるから、あなたの血もくださいな。
鼻筋から頭を撫でて、首筋を優しく柔らかく触れる。首に手を当てて柔らかい毛並みをすくと、血の流れる鼓動が手の下に踊る。
首筋に顔を近づけると、獣臭いのに、皮膚の下の血の匂いもする。…香ばしいいい匂い。
カプリと口を大きく開けてかぶりつく。私の歯がむずむずして、噛むための歯が、できる。分かる。
できた歯を皮膚に差し込むと、ビクリと震える黒チーターの身体を短い腕で包み込む。大丈夫。少しだけ、私にください。ほんのちょっとでいい。
歯を皮膚から抜いた穴から、血を吸う。怯えさせないように少しずつ。少しずつ。
私が我に返った時には、黒チーターは、くったりと私に身体を預けていた。
…やばい。喰いすぎた。黒チーターの息は…ある。気を失っている?…いや、なんか、うっとりしてる?…あれ?…うん。やっぱり、私って人外なんですね。
わかっていたが、再確認。私もお腹が満たされて幸せ。、私の血を黒チーターが舐めたからか、それとも私が血を吸ってしまったせいか、腰が抜けたようになっている黒チーター(確定)を日の差さない場所まで、抱き上げながら複雑な気持ちで引きずって帰った。




