逃走編 4
私、今、ストーキングされています。あれ?ストーキングって迷惑行為だったっけ?…迷惑しているのか?いや、視界の隅にチラつく影が、少し気になるだけなのだが。
今も木の上に登っていると、黒チーター(仮)が何かを恐れているかのように、頭を下げて警戒しながらも私のいる木の下をうろうろしている。
暗い闇の夜でも、艶のある毛並みが美しい。上から見ると歩くたびに、闇色の毛並みのうねりが芸術的だ。生きている獣の躍動。…うっとり。
ジッと舐めるように観察していると、私の視線に気がついたのか金色の瞳が、私の方を向いた。
目があった瞬間に、んばっと擬音語がつきそうなぐらい金色の瞳が開く。そしてすぐに尻尾を丸めて逃げていく。…逃げたはずなのに、数メートル離れた場所から片目だけ出して私をうかがってくる。
何がしたいのかさっぱりわからない。
血をちょっぴりいただいてしまった日から、数日後。私は日の光がま入らない洞窟の中に避難していた。洞窟といっても、小さくて小動物しか入れないぐらいの穴。岩と岩の間をくぐって通ると、私が立ち上がれるくらいの空間があった。
そこですぐに休めるかと言われればそうではなく、その穴を棲家にしていた私の顔ほどのネズミさんとの戦いがあったのだ。…私の動物好きも、ネズミさん(かなり大きく凶暴)までは許容範囲外で、精神的な疲労もピークだったため、手加減せずに追い出した。(殴り合いにて)
追い出したら、寝た。全力で。寝たというか気絶した。…どうやら、私もやばかったらしい。
何日寝たのかわからないが、起きて夜なのを確認して外に出たら、黒チーター(仮)が穴の前をうろうろしていた。
そこから、ストーキング?が始まったのだ。
森を歩くと、後ろをうろうろ。木の上にいると、下をうろうろ。目が合えば逃げるけど、隠れてうろうろ。
何がしたいのかわからない。殺気は無いので、喰いたい訳では無さそうなのだが。
…まあ、いいや。わからない事を考える時間が惜しい。私が、ここで生きていくための大切なことがあるのだ。
一番大切で生きるために切り離せない食糧問題が。私、何が喰えるのか?喰わないければ死んでしまうし、とりあえず喰えるものを探そう。ストーキングされても、喰われなければいいや。
問題を見なかったふりをして、喰えるものを探しに行こう。…服?服なんて、見てる人もいないんだし、破けようが汚れようが着ているだけでOK。前世の子供時代で鍛えられた。
寝る場所も、枯れ葉を集めて丸まれは寝れる。新聞紙か段ボールが欲しいところだが、仕方がない。
なんとかなる。前世もそうだし今世もそう。生きていれば、なんとかなるさ。
と、空元気を振り絞る。私。…けっこう辛い。




