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胡蝶アオイ

二階堂とアオイは十七歳の時に初めて出会った。


子役から芸能界で生きる容姿端麗な二階堂は事務所の社長が急に連れてきた胡蝶アオイを自分とチームを組む様な女ではないと初めは見下していた。


プライドの高い二階堂だったが社長の決定には逆らえず二人はチームとしてレッスンを共に始める


歌 ボイスレッスン ダンス 楽器のレッスン はてはウォーキングのレッスンまで


長年スカウトをしてきた社長の目力は確かで胡蝶アオイのアイドルとしての能力は高く、凄い速度であらゆる事を吸収していく


胡蝶アオイは努力を惜しまなかった。イヤ やるしかなかったのだ。


彼女の両親は既に亡くなっていて孤児院で育つ。

孤児院では孤独と戦う毎日だった。


自分に期待してくる人間がいる。


胡蝶アオイは初め見つけた居場所に食らいつく。


プライドが高くプロ意識の高い二階堂けいも同じで居場所は芸能界しかなかった



二人は闘いながらも見事に大人たちの期待に答え トップアイドルに君臨する


二人が寝る暇もないハードスケジュールの中、短い睡眠を取れるのは移動中のタクシーの中だけだった。


ある日、いつものハードスケジュールの中 二人はタクシーに乗り、疲れ切った体は寝てしまう。


胡蝶アオイはそのまま消えてしまう。


誘拐だった


熱狂的なオカルトファンが無人タクシーのAiをカージャックし連れ去ってしまった。


胡蝶アオイは途中で誘拐に気づき、タクシーの窓ガラスを壊し、自分が逃げるより先に二階堂けいを車から投げ出し救う。

二階堂けいは大怪我を負ったが命は失わなかった。


胡蝶アオイも脱出しようとしたが、察した二人組の犯人がタクシーを急停車させ、胡蝶アオイは二人の男に別の車で連れ去られてしまう



防犯カメラなど警察の捜査は迅速におこなわれたが胡蝶アオイが救出されるまでには四週間の時間がかかってしまった。


胡蝶アオイは 四週間の間二人の男の隠れ家の地下に監禁され家畜のように鎖に繋がれ犯され続ける。


四週間後に胡蝶アオイが救出された時には、美しかった彼女の黒髪は真っ白に変わり果てていた。


胡蝶アオイは絶望し芸能界を引退し、療養生活に入る。


そんな中、療養施設で胡蝶は片足のない多少ボケた老婆と知り合う。


老婆はなぜか胡蝶がトラウマで狭い部屋と暗闇に恐怖すると正気に戻り


片足の老婆は毎日毎日、胡蝶を抱きしめる


ある日、胡蝶は老婆の過去を知る


老婆は三十年前

若い頃に403事件に巻き込まれ、移民収容所に収監された。彼女は犯され、虐殺を受け、片足を失ったが生き延びる。


内戦が終わると老婆は奮起し、次々と戦犯者を捕まえる伝説の賞金稼ぎになる


胡蝶が老婆の過去知ったときには老婆はこの世にはもういなかった。


老婆が亡くなり、何かが吹っ切れた胡蝶の体力と精神力は取り憑かれたように復活してゆく


そして胡蝶は久しぶりに街に出る。


街を行き交う人びとは笑っている者や無表情な者、うつむく者、何か新鮮に見えた。


胡蝶はさほど綺麗でない空気で深呼吸をする。


急に生々しいと言うか 血なまぐさいと言うか 生温かいと言うか 不快な臭いが鼻につく


そこからその臭いが気になって気になってしょうがない。


胡蝶はその場にうずくまってしまった。


このままでは埒がいかないと思った胡蝶はその不快な臭いを辿り歩き始める


幾人もの人が行き交う大通りから外れ裏通りに、裏通りからもっと奥の暗闇に。


ビルとビルの間の人が一人通れるほどの道とは呼べない隙間通りに辿りつく。


そこで胡蝶は男に馬乗りになり、包丁で滅多しにしている女を目撃する。


その女は


「これで私のもの」


と呟き、返り血だらけの笑顔から白い歯だけ光って見えた


胡蝶は熊にでも遭遇したかのように ゆっくりと後ずさりし、刺激しないように距離を取ってから全力疾走し腕時計型のキットから警察に通報する


後日、殺人女は指名手配犯で胡蝶は賞金を受け取る事になる 


胡蝶はこの日を境にこの不快な臭いに悩まされる事になる


電車でもバスでも映画館でもどこにいても、街中に不快な臭いがあり、耐えられない。


胡蝶は原因を探るために心を決め、より臭いの強い場所を辿る事に


そして、またも殺人現場に。そしてまた辿れば殺人現場に


彼女は色々な実験を重ね、確信する。


私には殺人者が分かる。


おそらく誘拐事件の後遺症だろう。彼女は極度の恐怖のためか。恐怖から身を守るためか。異常者の臭いが嗅ぎ分けられるようになってしまった。


その防衛本能は病気なのか、武器なのか


胡蝶はこんな状況でも何かに取り憑かれたように自分の能力を受け入れる。


アオイは自力で少し怪しいが力になってくれそうな、なんでも屋(防災防犯)の店トラビスを見つけ


趣味が悪い店主に嗅覚調整器を作らせ、趣味が悪いこのビアスをつけている


そしてアオイは何かに取り憑かれたように賞金稼ぎとなっていった。













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