賞金稼ぎな人々
銀のカフェレーサーは都心の自動運転車専用道路 バイク専用道路 自転車専用道路 乗用ドローン専用道路 と分離された高速道路を降りて繁華街に向かって走る。
繁華街にある目的地に着くとアオイはバイクに厳重な電子ロックをかけて、ネオンの眩しいガラス張りの店の中に入っていく。
店の中央ではホログラムの裸のストリッパーがポールダンスをしている。
バーチャルのアダルトグッズを売るショップの受付にはスキンヘッドで全身タトゥーだらけのほぼ下着姿の奇抜な女が足を組みながら、時代的に珍しい紙の官能小説を読んでいる。
「赤髪戻ってる?」
アオイが奇抜な女に問いかけると奇抜な女は、人差し指と親指で輪をつくり、その輪の中に舌を出し入れした。
アオイは少し顔を歪めてアダルトショップの奥の部屋に向う
奥の事務所の中から女の喘ぎ声が聞えるのを確認すると、アオイはわざと事務所のドアを蹴り飛ばし、
壁に手をつかせ立ちながらコールガールとバックで楽しむ赤髪の快楽を阻止する
この赤髪拓郎という男は、アオイの上司であり師匠でもある。元公安調査官で確かに優秀なのだが、自己中心的であまり団体行動には向かない男で、何より儲け話にめがない。
それなりに借金もある男である
アオイとはひょんなことから知り合ったのだか、気が合うのか、それなりに上手い関係を保っていた。アオイには赤髪にたいして、さほど尊敬の念はないがビジネスパートナーとしては認め合う仲というトコロだった
この三十代中頃のいつも黒いスーツを来て、中肉中背の特徴のない何処にでも溶け込める男、赤髪とアオイの仕事は賞金稼ぎである。
賞金稼ぎといっても、犯罪者を追跡してハンドガンやショットガンで撃ち合い拘束するような仕事ではない。
というか賞金稼ぎを生業とする者はごく僅かで、それを専門にしているアオイや赤髪のような人間は特殊だった。
仕事内容としては警察や公安が懸賞金をかけている犯罪者の居場所を探し出し、通報し懸賞金を受け取るのが流れであり、これまで銃撃戦など皆無だった。
まっこの近未来の日本においても銃の携帯は違法なのだから当然の事である。
このような内容から
賞金首が逮捕されるのは偶然に近所や関わった人間による通報以外には
違法なハッカーのような人間がネット内で賞金首を追跡し、実際に本人確認までする者はほとんどいないのが現実だった。
現実社会で犯罪者の追跡は誰にでも出来る技術ではなく、赤髪はこの追跡に優れているアオイを金の卵だと思い、賞金稼ぎにスカウトしたのである
アオイが何処から情報を仕入れているのかは赤髪も知らない。当然、命綱の情報収集についてはアオイも赤髪には秘密にしていた。
「遅かったな」
もう少し時間が欲しいと思いながら赤髪は渋々コールガールを帰し、ベルトを締め直しながらアオイに自分のデスクのPCの暗号を解除し、空中にディスプレイを映し出す。
映像には移民人権機構の管理する戦犯の情報が出され
赤髪はディスプレイを操作し一人の男を指指す
「コイツがカモだ」
アオイは赤髪のデスクの椅子を軽く手で払うと座りディスプレイを見つめる
これから狩りの時間である。




