蟲の狂気
アオイは手首、肩の関節の痛みで目を覚ます。
吊るされていた。
全裸で吊るされていた。
天井に取り付けたフックに鎖が繋がれ、その鎖がかけられた手錠へと繋がれている。足が地面に届いていない。
まるで大きさな魚が捌かれるために吊るされているように、全裸で宙に浮いていた。
「全員殺せって言われてたんだけどよ、お前は連れて来たんだよ。内緒だぜ。」
妙に白い肌をした年齢不詳の山高帽を被った不気味な男が、
これもまた尖端に針のついた長い尻尾がある気味の悪い二匹のドーベルマンに骨を噛じらせながら陽気に喋る。
「お前の髪って真っ白だよな。俺の髪も真っ白なんだぜ。剃ってるから分からないだろうけどな。」
気味の悪い男はアオイに近づき、どんどん話を進める。
気味の悪い男の気味の悪い話だった。
「俺はさぁ 子供が欲しんだよ。 でもさぁ、俺の精子は特別で中だしした女はみんな、気が狂うか死んでしまうんだ。」
男の話にアオイは背筋が凍る。
この男は生まれつき特殊な血液と精液をしていて、毒性が強く、相手の体内に高濃度の血液、精液が入ると相手は大ダメージをうける。
これを知る本人は舌の裏に開閉ができる穴を施術で作り、口に含んだ水などの液体に少量の血液を混ぜ相手に吹きかける攻撃をする。まさに毒霧だった。
この血の毒は強力で水に混ぜた状態であっても一時間ほど視界を失うほどだった。
生での性交性などはまさに殺人行為である。
「お前は髪が白いだろ、俺と同じ人種だよな。
俺の子供産めるよな。俺はそう思うんだよ。」
「そしたら俺より強い子供がうまれるよな。そしたら、この血でもっともっと麻薬を作って、金稼いで、もっともっと子供を強く育てるつもりなんだよ。」
アオイの恐怖はMAXになる。
この気味の悪い男は ただ髪が白い それだけの理由であの場で殺さずに自分を連れ去った。
髪が白い ただそれだけの思い込みで。
気味の悪い男はまた、まだ肉片のついた骨を毒針ドーベルマンにかざすと、狂犬は喜び、主人と戯れる。
ドーベルマンを完全にコントロールしている。
アオイにある思いが過る。
「お前が青田郡司か?」
気味の悪い男はキョトンした表情を見せるとワハハはと爆笑する。
「青田郡司。お前はあのジジを探していたのか?あんなジジはとっくの昔に死んでるよ。嫌な奴だったぜアイツは。 お前、面白いな。ワハハは。俺は蟲て言うんだ。青田じゃねぇーよ。」
403事件の後、青田は身を隠すためにキルトーキョーに逃げ込んだいた。その青田郡司の事を蟲は知っているようだった。
「やっぱり愛だよな。愛がないと子供は産まれないと思うんだよ。なんだか、まだお前を愛せないんだよ。だから何日も経ってしまったんだ。
でもお前は面白いから愛せそうだよ。愛が燃え上がったら、いっぱい入れてやるから、もうちょっと待ってな。」
蟲はどんどんと自分の世界に入っていく。
自分は全裸で吊るされ、殺されそうになっている。、、、、
最悪の状態だった。
普通の女なら絶望し希望を失う状態である。
だが、彼女は賞金稼ぎである。
冷静に冷静に冷静に、、、、、
胡蝶アオイは脳みそを落ち着かせる。
逃げ出すチャンスはある。
この男はすぐ自分を殺すつもりはない。
そして、武器はまだ一つ残っている。
そう。この状態でも自由の効く足に隠す武器。
右足の内側、くろぶしから、ふくろはぎに彫ったハットを被った2丁拳銃のガンマンのTATTOOに隠した。ニードル型の細いナイフ。
この右足の細いナイフを左足で抜いて、なんとか口に加えてて、懸垂で手に。手錠を外す。
すきを見逃せない、チャンスを待つ。
アオイは焦らず蟲が寝るまでひたすら待ち反撃のチャンスを伺う。
アオイは知らなかった。彼女を助ける人間がいる事。親友から貰ったネックレスが命綱である事を
全裸で吊るされた賞金稼ぎの首につけられた十字架は音も立てずに救世主をまっていた。




