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殿下!私が愛して差し上げます!  作者: KAE


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5/7

5:勉強は大変です

今日もイザベルに用意された執務室で歴史の講義から始まった。


スフィア帝国は建国350年。小国が次々に周りの国を吸収し大国になり現在のスフィア帝国ができた。

その歴史が編纂(へんさん)されて大判の皮の表紙で装丁された歴史本が35巻ある。


イザベルは、それを歴史の講義から講義の間に1日1巻読破しておくことを課されている。読破することも大変だが、その中から講師のキンケイドが選び出した課題についてレポートを書いて提出しなければならない。

歴史の講義の時間、キンケイドはレポートの課題を提示するだけで、講義らしい講義はしてくれなかった。

イザベルが提出したレポートを読み、添削をして、イザベルにしたら〈それは粗探しだ〉と思うような講評をして終わっていた。

疑問に思ったことを質問した事があったが、キンケイドは「歴史本の中に全て書いてあるはずなので、読み落とされたのではないですか?適当に流し読みをされるからこんな事になるのですよ!妃殿下になろうとされる方がこんな事では困りますね!」そう言ってレポートの課題を増やされた事があったので、2度と質問はしないでおこう、とイザベルは思った。


外国語の講義の時は、いきなり外国語で話されて、あたふたした。「これくらい聞き取れなくてどうするのですか?妃殿下ともあろう方がこんな事では我が国の恥になります!単語の意味くらいは把握されてください」と注意されたので、イザベルは知らない単語の綴りと意味、発音を必死で覚えた。

なんとか聞き取り、答えられるようにはなったが、

「微妙に発音が違います。よく聞いておいてください」と講師が発音してみせてくれるが、イザベルには違いがわからなかった。

しかし、イザベルは「ああ、そう発音するのですね…なかなか難しいですわね…精進いたします」と言ってその場をやり過ごしていた。

履修している外国語は3か国語でそれぞれ講師が違うが、どの講師もこんな調子だった。


他のどの座学も似たような感じで、(王族の方々は恐ろしいスピードで恐ろしいほどの量の知識を詰め込んでいるのだな…)とイザベルは自分の無力感に苛まれていた。


ただマナーのレッスンに関しては、たいした苦言も呈されずに済んでいたのは、ジークのテーブルマナーを真似たおかげだ…とイザベルは思っていた。


ダンスのレッスンは一番苦手だった。

イザベルは講師が手拍子でリズムを取るのに合わせてステップを踏む。そのあとはパートナー役の男性講師が現れて実際に音楽に合わせて踊る。

「イザベル様!足の運びがなっていません!次の動きを意識して滑らかに!」

「イザベル様!イザベル様は社交でいろんな方と踊らなければなりませんのよ!踊りながら会話できるくらい、すべての曲の動きを体に覚えさせてくださいませ!」

「あー!遅いですわ!もっと早いテンポで!もっとです!」

イザベルは汗だくになって踊り続けた。パートナーの男性講師も汗だくで苦笑いしている。

イザベルは(こんな激しいダンスなんて、いったいどこの夜会で披露するんだろう…)と思っていたが、余計なことは口にはできなかった。



1日の講義が終わり、復習をしていると、夕食の時間になる。

夕食の時間は好きだった。ジークと他愛ない会話を楽しみ、心のこもった食事に舌鼓を打ち、「ごちそうさま!美味しかったわ!」と言ってジークと共にダイニングを出る際は皆の笑顔に見送られた。

ふたりは少しの時間、サロンで食後のお茶を楽しむ。

ホッとする時間だった。


この頃になるとイザベルの希望で、ジークはイザベルを呼ぶ時に敬称をつけなくなっていた。話し方もくだけた感じになり、それがふたりの間の壁を取ってくれたようで、イザベルはジークとの時間に癒しを感じるようになっていた。


そのあとはそれぞれ執務室や私室に戻り、イザベルは講義の復習や予習、レポート作成に追われる。


深夜に及ぶことも珍しくないので、リラに頼んで、軽い夜食を頼んでいた。

リラは「こんな時間に大丈夫ですか?」と心配そうに尋ねてくるが

「何かを口にしていないと落ち着かないのよね…どうしたのかしら?」イザベルは今まで感じたことのないひもじさを感じていた。


サイドテーブルに夜食と飲み物を置いて、心配そうにイザベルを見るリラに

イザベルは「ありがとう!もう、頭がパンクしそうよ!王族って影でこんなに努力してるのね、外から見てるだけじゃわからないものね!」と笑ってみせた


「でも、そろそろお休みにならないと…」


「ふふ、そうね!今やっている分だけ終わらせてから休むわ!ありがとう。リラはもう休んで!明日もよろしくね、おやすみなさい」


イザベルがそう言う時はリラはそれ以上何も言えない

「では、お先に休ませていただきます。お嬢様もなるべく早くおやすみ下さいませね」と告げてイザベルの私室から下がった。


イザベルの私室の灯りが消えるのは深夜をかなり過ぎてからになるのが当たり前になってきていた。


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