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殿下!私が愛して差し上げます!  作者: KAE


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4/7

4:新生活の始まりです

「お嬢様、おはようございます!良い天気ですよ」

イザベルを起こしにきたリラがカーテンを開ける。

朝日が差し込んできた。

「うーん!おはようリラ!」イザベルは起き上がってベッドの上で伸びをした。

気持ちの良い朝だった。


身支度を整えダイニングに向かった。


「おはようございます。イザベル様」ダイニングに入ると使用人達が一旦動きを止めて挨拶してくれた。


「おはよう。気持ちのいい朝ね!今日からよろしくお願いしますね」とイザベルが元気に言うので、皆虚をつかれたように一瞬止まってから「こちらこそどうぞよろしくお願いいたします」と口々にかえしてくれた。


暫くすると少し急いだ様子のジークがダイニングに入ってきた。


「殿下、おはようございます!気持ちのいい朝ですね!ゆっくりおやすみになられましたか?」イザベルが挨拶をすると


「気持ちのいい朝…あ、ああ…そうだね。確かにいい天気だ。待たせたかな?」ジークは窓の外を眩しそうに見ながらイザベルに尋ねた。


「いえ、今きたところでございます」


「そうか…よかった。ではいただこう」


ふたりで朝食を食べた。


(やはり殿下の所作は美しいわ…真似したい)イザベルはジークの所作を頭に叩き込んだ。


昨日と違うのはジークが朝食を食べすすめる横で、ウィルが今日の予定を読み上げている。


イザベルにもかなり過密スケジュールだと言うことがわかった。

しかし、イザベルに口を挟む権利はない。スケジュールを朗々と読み上げるウィルの声を聞きながら、イザベルも食事を続けた。


ジークをよく見ていると、所作は美しいが、食事を楽しんでいる様子はない。

次から次へと食べ物を口に運び、咀嚼し、飲み込む。そんな作業を繰り返しているだけに見えた。


最後の一口を食べ終えたジークはコーヒーを飲み干しナプキンで口を拭いイザベルに視線を送った。

「イザベル嬢。悪いが先に席を立たせてもらうよ…急ぎの仕事が回ってきてね…」


対するイザベルはまだ半分も食べ終えていない。

「ええ、大丈夫です。殿下、お忙しいのに私の時間に合わせていただきありがとうございます。ご無理なさいませんように」


ジークは少し目を見開き、そして破顔した。

「そんなことを言ってもらえると、体が軽くなったような気になるよ…ありがとう、じゃ、お先に…」


「はい、いってらっしゃいませ」イザベルはその場で立って何気なしに見送りの言葉を告げた。


歩き出そうとしていたジークが一瞬止まり、イザベルに「ああ。行ってきます」と告げてダイニングを出て行った。ジークの口角が上がっていたので笑っていたように思う。


一緒に見送ったウィルがイザベルに

「イザベル様、ありがとうございます。殿下が朝食を完食されたのは久しぶりでございます。それに笑っておいででした」


「ふふ、それはよかったです。殿下は大変お忙しいのですね」


「はい、お一人でいろんな仕事を抱えておいでです。陛下もそれは気になさっていらっしゃいますが…」


「そうなのですね」歯切れの悪いウィルにイザベルはきっと何か理由があるのだろうと思ったが、それ以上詮索することは憚られた。


「さて、今度はイザベル様のご予定ですが…」

気を取り直してウィルは今日のイザベルのスケジュールを読み上げ出した。


……………………………………


「はあ!疲れた!」午前の座学を終えたイザベルは私室に戻ってきた。

今からランチ休憩だ。使用人に「ダイニングと私室どちらにご用意いたしますか?」と聞かれて、


「殿下はどちらで?」と聞くと


「殿下はいつも執務室で召し上がっております」と言う答えがかえってきたので、イザベルは私室に運んでもらうことにした。


さすがにあの広いダイニングでひとりで食べるのは気が進まない。


しばらくすると扉がノックされリラが対応に出た。


リラがワゴンを受け取りどこからか出してきた、食事用のテーブルに皿を並べて始めた。

午後からダンスレッスンが待っているので、重くないものばかり用意されていて、料理長の心遣いが感じられた。


並べられた食事を堪能しながら、傍に立つリラに「そういえば、座学の時間リラの姿が見えなかったけど、何かあった?」


「いえ、ウィル様のご指示で侍女長に宮殿での立ち振る舞いと注意事項などのレクチャーを受けていました…伯爵家とは少し違っているだけだったので、明日からは東翼での原則的な1日の流れを教えてくださるそうです」


「そうなのね…リラ苦労かけるわね…」


「とんでもない!皆さん、お嬢様が宮殿に入られたのをとても喜んでいました。釣った魚は逃しません!という気概を感じましたよ!ふふふふ」


「まぁ!ふふふふ…それは喜ぶべきなのかしら?」


「きっと…ふふふふ」


ランチ休憩の後はダンスレッスンが待っていた。


イザベルは夜会などの社交から距離を取っていたので、なかなかリズムに乗れない…


講師の女性から「まぁ!イザベル様!こんな簡単なステップもできないのは困りますよ…。さぁ、最初から私の真似をしてやってみてください!さぁ音楽に合わせて…はい…」


ダンスレッスン室の音楽は途切れ途切れに流れ、その日は一曲通しで演奏が流れることはなかった。


「はあ!きついぃ〜!足がパンパンよ!」


「ふふ、お疲れ様でした、ディナーまでの間少しマッサージいたしますね!」

リラは蒸しタオルを用意してくれて足首からほぐしてくれた。


「今までサボっていたツケが回ってきたのね…ふぅ…いい気持ちぃ…」


そしてジークとのディナーの後は、今日の座学の復習と明日の予告されたところまでの予習時間に費やされた。


「イザベル様、そろそろおやすみにならないと…」

部屋に控えていたリラが心配そうに後ろから声をかける


「あら、もうこんな時間…そうね…もう休みましょう」


そしてベッドに潜り込み、リラにおやすみの挨拶をしたイザベルはあっという間に眠りの中に落ちていった。

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