表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メビウスクエスト・エクストラ  作者: 如月 和
ギルドのあれこれ
PR
59/62

59.息抜き

「何か食べたいものはある?」


 私の質問に、ユキは腕を組んで考え始めた。


 ダンジョンのタイムアタックに挑戦したものの、その記録はテストの意味合いもあるため、勿論反映はされていない。

 それでも好タイムを出したため、お疲れ様の意味を込めて何か料理でもしようと考えたのだ。


 ついでに言うと、サークルメニューのなかのミッション。そのなかの料理をする項目を、少しでも減らしていこうかという考えもある。


「まだ昼にもなっていないから、ガッツリいく気分でもないんだよなぁ」

「だらしないなぁ。男だったら朝からステーキ行くくらいの気概を見せてみなさいよ」

「男だったら、とか。古臭いぞ」


 それは失礼。そう笑って、私はインベントリのなかに収めている食材を確認した。


「この前フライパンを使ったから、他の調理器具を使いたいよねぇ。ハンバーグをオーブンで仕上げたり」

「あぁ、あのふっくら仕上げるやつ」

「そうそう。テレビ番組で、オーブンから出てきたふっくらと膨らんだハンバーグ、見応えあるよね」


 そういうものを目指してみるのも、面白いだろう。


「中華の油通しって、揚げる調理に入るかな?」

「油通し?」

「食感とか、先に火を通すために食材をさっと油に通す調理方法」

「あー、多分揚げるに入る」


 あまり、細かい事は気にしなくても良さそうだ。


「……唐揚げでも揚げて、摘む?」

「……うん。それが丁度いいかもな」


 ストックのなかに仕込んだものを見つけて、提案すると即採用。早速キッチンに向かって、油の準備を始める。


「油の処分、ボタン一つで出来るの素敵だわー」


 インベントリに仕舞って、捨てるの項目タップで終了。ぜひ現実にも投入してほしい機能だ。


 唐揚げを揚げながら、受けたままになっているクエストをチェックしておく。


 目に付いたものを受けておいて、タイミングが合えばクリアをしていく。そのために、大量に受けたままになっているクエストがあった。


「あ、これもまた受けていたんだっけ」


 いつか受けた、父親の代わりにハンバーグを焼きたいという息子からの依頼。上手に焼くコツを教えて欲しいというものだったのだが……。


「ソースにもこだわってみたほうが良いとか、簡単な焼き方とか、色々教えたっけ」


 簡単に報酬が得られるクエストだから、何度か受けたのを憶えている。今回もいつも通り、適当に教えておこうか……と思った時に、ふと頭に過った考え。


(そう言えば、ガイア達が言っていたクエスト――)


 海辺で虐められている亀を助けたほうがいいのかどうか。そう問いかけるクエストがあった。

 これは助けたほうがいいと答えれば、回復アイテムが貰えるクエストだったのだが、その返答を変えると、状況は全く異なるものへと移っていく。


 俺が行くから待ってろ、みたいに、自ら参戦の意思を示して指定された場所へ向かうと、エクストラクエストが発生したのだ。


 つまり、このクエストにも何か発展するものがあるのではないか。


「作りに行ってあげようか、っと」


 入力欄に、そう記してクエストを進める。普段はすぐに結果が反映されるのだが、今回は少し時間を置かなくてはならないようだ。

 私は気持ちを切り替えるように唐揚げに向き合い、少々多くなったそれを、ユキと共に平らげた。


 ***


 午前中いっぱいはチョコレート集めに勤しみ、午後はサークルハウスにある自室の模様替えを体験してみた。


 部屋は六畳ほどで、そこまで広くはない。ベッドを置けば三分の一は占領してしまう恐れもあって、設置には慎重にならなければならないだろう。


 ベッドの様な大物を置くなら、それに合わせたレイアウトをしなくてはならない。

 テレビを置いて、ソファーを置いて。そうした生活感のある部屋にしようとすると、ベッドのサイズと要相談、といった具合。


「ふかふかなベッドに憧れはあるけれど、そういう生活感は捨ててもいいかな?」


 とりあえず、壁の一面に本棚を置きたい。現実に飼うには嵩張るし、値が張るアンティーク調の本棚を置いてみたい。


「地球儀を飾ると、なんか雰囲気が出る気がするよなぁ」


 チェストを置いてその上に設置をするか、本棚の棚の一部に置くか。そこら辺にセンスが出るのだろうか。


「ロココ調のソファーとテーブル、なんてものも良いかも」


 猫の脚のようなデザインの足が、可愛らしいのだ。我が家の愛犬の前もあって、なかなか猫のデザインのものは買いづらい現実。

 犬と猫の同時飼いというものに憧れはあるけれど、そこまで世話をしきれるかどうかは、今のところ自信がない。


 ならば、ここではいっそ、猫を意識してみるのもいいかもしれない。


 いや、でも――。


「この犬小屋、ウーフに似合いそうだなぁ」


 いつしか私は、カタログを見ながら妄想の世界に入り浸っていた。


 ウーフは窓から外を覗くのが好きだから、大きな窓があると嬉しい。室内飼いのため、買うことのなかった犬小屋に憧れがある。


 大型犬が歩きやすいよう、至る所にマットなどを敷いて、と。そういう作業も楽しかったけれど――。


「広い庭で遊ばせるのも、また夢だよね」


 今度、ドッグランにでも連れて行ってあげようか。


 そんな計画を頭の中で組み立て、部屋のレイアウトを決めていく。

 その完成度の満足感と、夕方の散歩ではしゃぐウーフを見て、私は頬を緩ませた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ