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メビウスクエスト・エクストラ  作者: 如月 和
ギルドのあれこれ
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57/63

57.目指すは……

 砂漠の街の広場。

 私はそこで、見知った顔を探すために露店を冷やかしながら歩いていた。


「お、いたいた」

「あ、モカさん!」


 元気な笑顔を見せるヒナタと、その奥で目が泳いでいるカナタ。

 カナタが拠点を砂漠の街に移したと聞いていたのでやってきたのだが、ヒナタもそれにくっついて来ていたらしい。


 レジャーシートを引いてお菓子を食べている姿は、とても露店を営んでいるとは思えない。けれど、彼、カナタは装備の強化代行をしているため、特に設備は必要ないのだ。


「今日、今日はどんな?」


 オドオドとした調子でカナタが話す。


「武器についての相談。あ、ヒナタ。さっき広場で、タピオカミルクティーを売っている店があったんだけど……」

「さすがモカさん、お目が高い! 最近ですね、この街で流行中なのです。よかったら買ってきます? いえ、買ってきちゃいます! ヒナタも食べたくなってきたので!」


 元気な笑顔を浮かべて、ヒナタは席を立った。


「……結構、空気の読める娘だよねぇ」

「……」


 私がカナタと二人で話したい空気を感じ取ったのだろう。彼も彼でその空気をしっかりと感じているようで、一体何を話すんだと、気が気でない様子だった。


「一度、ね。素を見てしまうと見てらんないんだわ」

「情けなくて悪かったな」


 ムスッとした調子でカナタは言う。


「幼馴染み、って言ってたっけ? 二人は昔からこんな調子なの?」

「いや、……昔は普通に話してた。でも、小学校を卒業したあと、三年間、僕は海外に行っていたんだ。高校受験のために戻ってきたら、たまたま彼女も同じ高校を受験していて、試験会場で再会したら……」

「可愛くなっていて、びっくりした?」

「普通に話しかけてくるんだ。昔よりも、妙に近い距離感で。こっちは、こいつ、こんなに可愛かったっけ? なんて戸惑っていたのに」


 それでオドオドしてしまって、今に至る、と。

 ははぁ、これはどっちもどっち、といことか。


 久し振りの再会で、そう思ってくれる男の子は初々しくていいよねぇ。どこかの上司とは大違いだ。


「……どうすれば、普通に話せると思う?」

「気にしてるのは、気にしてるんだ」

「そりゃ、……普通に話したいさ」

「ふぅん。それなら――」


 丁度いいかもね。

 私の呟きと共に、ヒナタがにこやかに三人分のカップを抱え、「サービスしてもらいました!」と私達に手渡した。


「それで、武器の話は終わりました?」

「いや、まだ世間話をしていただけ。私の相談はちょっとアニメっぽいかもしれなくてね、カナタはそういうの、好きなのかなって」

「アニメですか! ヒナタもよく見ますよ。カナタくんとは漫画を回し読みしたり、趣味が合うと思います」

「ロボットものとかは? 私も身近に好きな奴がいてね。ちょっとだけ知識があるのよ」

「見ますよー。カナタくんはリアルな感じのロボットアニメが好きでしたよね?」

「あ、う、うん。ミリタリー感があるというか……」


 まだまだ、彼女の存在を意識してしまうらしい。


「それで一つ訊きたいんだけど、土精霊のマスターボーナスで、武器をゴーレム化できるんだよね?」

「う、うん」

「カナタはそれ、できる? 他人の武器もゴーレム化できるのなら、大変嬉しいのだけど」

「ひ、人の武器のゴーレム化は二段階目のマスターボーナスだけど、一応、僕もできる、よ」


 最高だ。その言葉に私は口の端を上げて、二人に私の企みを話した。


「――な、なるほど! 武器のゴーレム化と、冥浮(めいふ)を活用するのか!」

「そう。コア化して武器に組み込めば使いやすくなるし、思考操作で難しい面もあるかもしれないけれど、金精霊の強化魔法でスピードを上げれば、ある程度は誤魔化せると思う」

「そうか、そうか! 銃の実装で何か面白いことはできないかと思っていたけど、その手があったんだ。これは、僕も試してみたい。すぐに作ってみたいから、モカも他の準備を頼む」

「了解。とりあえず、武器は預けておくよ」


 先ずはレベルを上げて、ステータスポイントを確保する。

 ビキニな鎧のお披露目のために海フィールドまで赴き、ボスを倒してチケットのスキップは解放されているから、もしかしたらマスターボーナスを獲得できるまで上げられるかもしれない。


 腰を上げ、ひとまず神殿へ向かおうとすると……。


「あ、ヒナタもお供します!」


 慌てたように立ち上がる姿に、私は少し笑ってしまった。


「ねぇ、昔に戻ったみたいだった?」


 道すがら、ヒナタにそう訊いてみる。


「はい。カナタくん、久し振りに会ったときから少し、様子が変で。でも、さっきいつもの調子で話しているのを見て、ちょっと嬉しかったです。でも……」

「それが別の人とだったから、ちょっと寂しい?」

「はい」

「大丈夫だよ。これできっかけは作ったから、あとは自然にヒナタが会話に入れば、彼もきっと、その調子で話してくれる」

「そうでしょうか……」


 少し落ち込む彼女を励ましながら、私は神殿で用事を済ませてカナタの元へ戻った。


「遅い。こっちはもう完成しているから、あとはそっちの仕事」

「さすがカナタくん! 仕事が早い!」

「まぁね。僕もまぁ、テンションが上がっていたから」

「どんな感じに仕上げたんですか?」

「デザインにも凝ってみたんだ。やっぱりこの手のものは、分離のプロセスが格好良くないといけないからね」


 ほら、きっかけがあればこの通り。

 私はにこやかに話す二人を眺めながら、新たな武器を万全に使うための調整に入る。


 明日、ダンジョンのタイムアタックで、目にものを見せてやろうか。


「モカ、終わったのなら早速使って見せてくれ。どんな出来になっているかを確かめたい」

「私も見てみたいです! みんなでチョコ狩りといきましょう!」

「良いね、盛大に打ち上げてやりますか」


 目指すはスターマイン。それぐらい弾けなければ、やっぱり楽しくないでしょ!

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