表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メビウスクエスト・エクストラ  作者: 如月 和
ギルドのあれこれ
PR
55/62

55.チョコレート集め

 ハンバーガーで腹ごしらえをした私達は、サークルハウスを後にして草原へ出た。

 今はバレンタインイベントの真っ最中で、モンスターを倒せば専用の素材アイテムが手に入る。


 私達の役目は、サークルの機能を活かしながらイベントを進められるかどうか。それを調べることにある。


「草原で狩りをするの?」


 ロンドに問い掛けると、彼女は頷いた。


「草原って、見通しがいいでしょ? それに、比較的モンスターが固まって動きやすいんです」

「あぁ、そこを一網打尽」

「そういうことです。ロンドちゃんのガトリングは連射が効くので、纏めて倒しやすい。モカさんは魔法の連打が出来るので、ガイアが囮になって集めたモンスターを倒していくだけでも効率がいいと思います」


 モンスターからヘイトを稼ぐなら、ユキの存在が欠かせない。盾という防具にはそういう機能が備わるらしく、けれど嵩張るから人気はそれほどないらしいが、それさえあれば遠距離武器を持つものは、安全に攻撃ができるという。


 けれど、そんな盾役のユキは仕事のために不在。不在がちな盾に意味はあるの? なんて、ちょっぴり酷いことを考えてしまう。


「盾での攻撃はダメージを与えないから、弱いモンスターでも倒さずに注意を集めることができるんすよね。俺にはそれができないんで、地道に注意を引きつけてヘイトを稼ぐしかないんすよ」

「あ、それなら暗殺者ギルドの固有必殺技を使ったほうが便利かも」


 シャドウリストレイン。あれの影響範囲はラックのステータスに応じて変化をするから、金精霊の強力な強化魔法でなら、結構な範囲をカバーできるはず。


 広範囲のモンスターの動きを縫い止め、魔法を連射して殲滅をする。……どこが暗殺者だよ。


「うっわ、あの拘束技っすね。あれは嫌だったなー」

「そんな嫌な必殺技なの? まぁ、他のプレイヤーの邪魔にならない程度でなら使ってもらって、手分けをして集めていく感じで」


 会議を終わらせて、それぞれが持ち味を発揮できる場所を探して草原を彷徨い歩く。


 二人の姿はもう見えなくなり、ちらほらと他のプレイヤーの姿を見かけるようになる。みんな夢中でモンスターを倒していて、こちらに気が付く素振りを見せない。


(広範囲に魔法をばらまくとなると、やっぱり他のプレイヤーの邪魔になりやすいか)


 ある程度空いている空間を見つけたら、そこで陣取ることも考えたほうがいいかもしれない。


 点在する森や林では、陰に隠れた人がいるかも知れないから、そのような場所は避けるとして……と考えると、中々に選択肢が限られていく。


 乗り合い馬車を利用して街からだいぶ離れることで、理想的な場所を見つけることができた。


「群れのウルフが結構いるなぁ」


 モンスターはランダム的に群れを作るエリアを持つらしくて、そのエリアを見つけられたら儲け物。私はこの日、運が良かったらしい。


 これなら、『金甌無欠(きんおうむけつ)・コードルシフェリット』の魔法を使った回復アイテム連打のヤケクソ戦法を取らなくても、通常のサンメテオライトでも纏めて倒しやすい。


 早速、『閻浮檀金(えんぶだごん)』を使って自身を強化し、シャドウリストレインでウルフを拘束していく。

 拘束を解こうと藻掻くウルフに、サンメテオライトを浴びせる。


 ラックが高いと、三種類をいっぺんに獲得できたりはしないのだろうか。


 そんな期待をしつつインベントリを確認すると、残念ながら見事な偏り。『ミルクチョコレート』、『ホワイトチョコレート』、『ココアパウダー』の三種類がドロップする筈なのだけど、十体を纏めて倒して得たものは……。


「ホワイトが九、ココアパウダーが一。だいぶ偏るなぁ」


 運が良いのか悪いのか。

 こういう時、倒し方によってドロップが変わるのか、なんて試してみたい欲求に駆られるのは私だけだろうか。


 効率は悪いと思いながらも、刀を抜いて一匹ずつ倒してみた。


 ホワイト、ホワイト、パウダー、ホワイト。ミルクを挟んでホワイト三つにパウダー二つ。

 どうにも、ホワイトチョコレートがドロップしやすい傾向にあるようだ。


「ロンド、いま大丈夫?」


 通信を繋げてみる。


「大丈夫ですよー。何か問題がありました?」

「妙にホワイトチョコレートがドロップする」

「あー、ロンドちゃんはココアパウダーばかりです。人によって傾向が分かれるって意見があるんですけど、現実味を帯びますよねー」

「詳しく調べたりはしていないの?」

「武器とか種族で調べみたりもしたらしいんですけど、日によっても変わるらしいんですよねぇ。日にちの違い、種族の違い。調べだしたらキリがないので、それなら無心で倒したほうが早くない? って」


 みんな諦めたわけだ。


「じゃあ、交換できると嬉しいね」

「ですねー。帰ったらドロップ交換ですよ」

「それだけ聞くと、飴玉みたい」


 お互いに笑ってから通信を切ると、ここからは無心で狩りをすることになる。ガイアがミルクチョコレートに偏っていれば、だいぶ効率がいい。けれど、そんな都合のいいことは早々ないか。


 一体どんな結果になるのか。楽しみにしながら、私はひたすらウルフを拘束して、魔法を撃ち込んでいった。


 そして帰宅。


 サークルハウスに三人が集まり、クラフトルームに初めて入室をする。


 そこは作業台や棚が置かれただけのシンプルなもので、ここにシンボルと呼ばれる置物を置くことで、クラフト機能にちょっとしたボーナスが発生する、という部屋らしい。


「特定のステータスが上がりやすくなったりだとか、色々とあるみたいっすね」


 ガイアが窓を開けながら言う。残念ながら、隣の家の壁が見えただけだった。


「イベントのクラフトにも利用できるものがあるのかな」

「あるみたいですけど、シンボルを作るための素材集めもしないとですねー。あーあ、これを考えてモンスターを倒せばよかった」

「手持ちの素材で何とかならない?」


 落ち込むロンドに言うと、彼女は首を振る。


「今の手持ちは別のことに使いたいから集めているものなんです。デッドストックもありますけど、これは一応テストでやっているわけですし、身を削るのはちょっと」


 納得。


「それで、ガイアのドロップ具合はどうだった?」

「結構満遍なく揃えられましたよ。運が良かったっすねー」


 その反応を見て、私はロンドと顔を見合わせた。


「ミルクチョコレート不足だ」

「三つ消費のものを作れないと、レートは結構低いんですよねぇ」


 イベントアイテム交換機能も、ちょっと楽になる程度のものらしいね。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ