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overcast  作者: 街幸カルト
8/26

心配

「あ…リンノ…」

「あ、呼び捨てはマズイか」

「いや、構わない」

「そうか、じゃあ華鈴。何でここに?」

「あ、ね…黒瑠様にお前を見るように言われただけだ」

リンノは冷めた目で華鈴を見つめる。

「な、何だ?」

「いや、姉妹だよね?」

「双子だ。見分けがつきやすいように私が髪を結んでるだけで…」

「なんで様付けなの?」

「…黒瑠様は聖六道一族の族長。身分を弁えないと…」

「…」

「…姉妹は、いたのか?」

「さっきの無愛想な態度とは打って変わって積極的だな」

「…! いろいろ聞きたいだけだ」

「へえ…。…。…妹がいたよ。多分まだ生きてる。けど、元気にしてるかわからない」

「……心配だな」

「ああ…けど、あんな親じゃ…!」

「なら殺せばいい」

「そしたら引き取り手はどうするんだ? 親はどっちも祖父母と縁を切っている…」

リンノは生きていた頃の記憶を思い出す。



「うるさいわねババア! もうアンタの娘じゃないの! 私が何しようと私の勝手! 赤の他人が首突っ込まないで!」

「またあのクソババアか?」

母が乱暴に携帯を切り父の質問に答える。

「ええ。ったく、しつこいわ…。ホント、うざったい!」

そう言うと母は私の髪を掴んで…。



「!!」

「…。無理に思い出さなくてもいい」

リンノは汗だくになっていた。…いつの間に。

「親がいなくなって、一人になって…。拾ってくれれば、今よりかはいいと思うんだ」

「…確かに、邪魔な存在だったら最初から拾わないもんな…でも、だからと言って殺すのは…犯罪じゃないか?」

「此処は殺すのが当たり前なんだ。それに、私達は化け物だ。人間に裁けるわけがない。それ以前に人間はこちらの存在を蔑ろにしている」

「…。そうか…。けれど、私は力はない…。それに、まだ怖いんだ。せっかく解放されたのに、って…」

華鈴は心配そうにリンノに言う。

「私も、殺した。人間の時に」

「!?」

「これがその証だ」

そう言って懐から錆びた果物ナイフを取り出す。にわかに血の匂いがした。

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