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overcast  作者: 街幸カルト
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愛の晩餐

「さっきは辛かったでしょう。けどこの世界では日常茶飯事なのです」

「平和じゃない…」

「ええ。100年に一度、必ず戦争が起きますからね…」

「…」

愕然とした。逃げた先が、こんな地獄だなんて。最悪だ。

「クロウディウスは、どうやって死んだんだ?」

「? …フフッ。私は死んでなんかおりませんよ」

「?」

「私は所謂『先住民』です。此処に生れ育った。それだけです」

「じゃあ、親がいるんだな…」

「ええ、ですが死にました。…同じ境遇ではありませんが…。今は同じです」

「どういうことだ?」

「すぐに、わかります」

クロウディウスはただ笑うだけだった。


パタパタ…


「連絡鳥のキャメロットですわ。まあ、覚えなくてもよろしいんですけど。晩餐の準備が出来ました。食堂までお越しください」

そう言うとキャメロットは煙に包まれ消えた。

「行きましょうか、リンノ」

「…(この世界の食物はどんな感じなんだろ…)」



「まだ暗い顔ねリンノ」

「…」

「まあお酒でも飲んで忘れなさい」

「お酒飲めないし…」

「大丈夫よ。貴方鏡ちゃんと見た?」

「…え?」

「ダンタリアン!」

黒瑠の合図でダンタリアンがどこからか鏡を取り出す。

そしてその鏡を除く。…全然子供じゃない。おかしい。さっきまで9歳だった。けど、今はどうだ? 17歳ぐらいになっていた。

「幼いままじゃこの世界では生きてけないでしょ? だから世界が貴方を成長させたの」

「そんな超次元的な話信じられない。どうしたら9歳から17歳になるの? 科学で証明できるわけ?」

「さっき見たでしょう? 魔術。この世界は人間界とはまるで違う。世界が意思を持っているの」

「…」

何も言い返せない。だって、この世界の事全然知らない。ましてや、この人に…勝てそうには、ない…。

「今は…信じる」

「今だけじゃなくなるわよ。さ、食べなさい」

黒瑠が指差す所には豪華な馳走が並んでいた。色んなジャンルの料理が並び、真ん中にはターダッキンが置かれていた。

見ているうちに涎が垂れてくる。

「ゴクッ…」

太助がこっちを見て呼びかける。

「リンノー! ターダッキン喰えよ!」

そう言ってターダッキンの脚をもぎり取りリンノに差し出す。

リンノはそれを手に取り食べる。

「……。美味しい…」

正直疑っていた。それに、何週間も食べていなかったから余計美味しく感じる。

「…」

黒瑠の顔を見る。…この人は…信じてもいいのかもしれない。本気で私に信じてもらおうとしていたし…。どの道、この人を信じる他ない。

「…!」

次々と口に入れる。喉が詰まりそうになるほど。

リンノは笑った。久しぶりに。

そして訳もなく涙が溢れる。

黒瑠が肩を抱える。

「もう苦しむ事はないのよ。リンノ」

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