悪夢
本館に戻り、階段を上る。
もう足が棒になりそうだ、というところで修行する部屋に着く。
「…華鈴はまだ来てないようだな。おかしいな…時間きっちりに来るはずなのに」
そう言った瞬間、爆発音がする。
「!?」
「外の方からだな…おい、オヌシはそこで待っておれ」
そう言うとダンタリアンは一気に階段を駆け下りてく。
「…。待ってろって…どうすりゃいいの…」
丁度窓があり、外の様子を見れることがわかる。
見ると、黒い煙がもくもくと橋からたちこめる。
この城は湖で囲まれていて、それを一本の橋が繋いでいる…ということが分かった。
そして煙がやっと晴れ、人物が特定できる。
オレンジの髪の…男性?
あ、ダンタリアンが見えた。
ダンタリアンは唸る。
「誰だ? カラフの連中ではなさそうだ」
「何…俺の所属してる組織が吸血鬼嫌いだからさあ、まず親玉のココから潰そうかな、って思ったワケ」
ダンタリアンは王妃のように高笑いする。
「聖六道一族も舐められたものだ…。…こう言われてるが、どう思う?」
「とても、苛々するわ」
黒瑠が言う。
そして華鈴と思われる少女が相槌を打つ。
「全くだ…黒瑠様、さっさと片付けましょう」
ダンタリアンがまた高笑いをする。
「しかも、一人じゃないか! 本当に、勝てると思っていたのか!?」
そうすると流石に男もムッとしたのかイラついた口調で話し始める。
「るせえ! 行くぞ! 『牙狼羅』!」
「やはり人狼か…。『リオ・スレイブ』!」
男は魔力を身に纏い回転しながら華鈴に向かう。が、彼女は得意の剣魔術でそれをあっさり受け流す。
「くっそ! ナメてんのか! 殺す気で来いよ!」
「殺す価値もないゴミだから殺さないでやってるんだ。お礼の一つぐらいくれてもいいと思うけどな」
「このクソアマが! 『衝楼転』!」
男はさっきよりも速く回転し、華鈴に向かう。すると前に黒瑠が立ちはだかり弓を構え呟く。
「『一獄錦』」
そして矢を放つ。その矢は男に近付くにつれ水を纏いやがて山羊の頭に具現化する。
そして男とぶつかり、水は男を包み、水圧で
男を潰した。
「!?」
リンノは息を飲む。
水晶のように透きとおっていた水は男の血と内臓で赤黒くなって汚くなっていた。
これは…夢じゃない!
ずっと夢だと思っていた、でもそうじゃなかった! CG加工でもなんでもない、現実。
でも、夢だと思っていた。夢だと信じたかった。
頭を叩く。頬をつねる。いろいろ痛みを与えて夢から覚めようとした。虐待を受けてたからこんな悪夢見るんだ! 他の世界に行きたいって、逃げようとしたからこんな夢見るんだ!
そう、
思い続けて、
痛みを与えた。
でも、覚めない。窓から覗く。
黒瑠が、こっちを見て、目で訴える。
「これは、夢じゃない」と。




