happy...?
朝。いつもと違う朝。ホトトギスが優しい鳴き声でリンノを起こす。心地の良い朝だ。
「…ッ」
ここは何処だ? 見たこともない。あの城に和室があるとは到底思えない。
「お目覚めですか」
「!」
横を見ると綺麗な黒髪の女性がいた。よく見るとカラスの羽が生えている。…烏天狗のようだ。
「だ、誰…? ここは何処!」
「私は蘇鐘。村雨蘇鐘です。ここは金泊城です」
「こ、金泊城?」
「蓮の国を治める村雨子桜様の城にございます」
「…」
村雨子桜。聞いたことがある。地上の東西南北を治める四人…四天王の一人。彼女は南を治める。
なんでそんな人が私を…。
「なんで、私が…?」
「子桜様が貴方がとても気に入ったのです。とは言え、貴方の種族を」
「え?」
「ハハッ、自分の種族の価値を、知らないでいたのですか? お幸せですね」
蘇鐘は笑ったかと思えば、すぐにリンノを睨みつける。幸せ? 知らない事が、幸せなの? 知らない事が、怖くて、恐ろしい。なのに、なぜ幸せなの?
「貴方は、白の化狐です。白の化狐はかつてこの大陸を支配したことがあります。そして、他の化け物たちに労働をさせました。やがて反逆をされ、族長の白亜雲英を封印することで白の化狐は後退していったのです。貴方はその一族です」
「で、でも私は白亜じゃない…」
「クルットリアーは無名です。貴方もいつかどこか、一族につかなければならない。まあ、一人で生きていける自信があるなら自分の好きに名乗ればいい。他の方は一族の族長に認めてもらい一族の名を貰っていますがね」
「…つまり、なんて言いたいの」
「子桜様から伝言です。村雨に、入らないかと」
「村雨?」
「妖怪の者達が集う一族です。この蓮の国には妖怪しかいません」
「…」
村雨。妖怪。わからないことばかりだ。
「では、この件考えておいてください」
そう言うと蘇鐘は部屋から出ていった。
「黒瑠!」
ガタルが大声で黒瑠を呼んだ。
「どうしたの?」
普段冷静なガタルが焦っていたので疑問に思いながら返事をする。
「リンノが…いない」
「!? バカな、門番は何をしているの!?」
「外の門番もいないんだ!」
「そんな…! すぐに皆を集めて!」
……
「え、リンノが?」
クロウディウスが心底驚いた顔をして再度聞いた。
「本当よ。嘘じゃない」
「申し訳ありません、私がお側についていなかったために」
「あまり自分を責めないでクロウディウス。とにかく…」
「黒瑠様!」
賀助の声が響く。門番が帰ってきたようだ。
「申し訳ありません、でも、情報は、…ッ」
息切れしながらも賀助はなんとか喋る。
「どうしたの? 呼吸を整えて、情報を整理して言って」
「天狗がリンノ様を抱えながら飛んで行きました。腰に村雨のマークがありました…恐らく、蓮の国の連中です…」
「蓮の国? 何故リンノを? しかも、妖が直接来るなんて」
「それはわかりません、ですが、蓮の国は確かです。蓮の国に入る所を見ました」
「そう…」
黒瑠は賀助の肩から手を離す。
ガタルが問う。
「で、どうする? 突撃するか?」
「相手は四天王。気は抜けない。根性がある奴だけついてきなさい」
黒瑠はそう言うと会議室から出て行く。
ガタルはクロウディウスに近づく。
「クロウディウス」
「?」
「彼奴ら、試そう」
「…はい」




