此処は何処?
「ん、んん…」
鈴乃は目覚める。
そして驚いた。
何処だろう、此処は…。
さっきまでいたバラックとは大違いで、洋風な城の一室のようだった。
鈴乃が寝ていたベッドはクィーンサイズで、ボロい布切れとは全く違う。
服を見る…。…!
何だこれ…!
着物?
彼女は忍者のような着物を身に纏っていた。そして近くにあったドレッサーに身を乗り出す。
「な、何これぇ!!」
鏡に映ったのは鈴乃ではなくバケモノだった。
狐のような耳が生え、よく見てみると尻尾が生えてることがわかる。
黒く、ガサツだった髪は綺麗に整えられ、白く染まっていた。黒のメッシュがある。
「ご機嫌、いかが?」
美しい声色と共に現れた女性は今の鈴乃とは真逆で、真っ黒だ。髪も、ドレスも、靴も…全てが黒だった。
「ご機嫌いかがって…誰!?」
「私は鏖伽黒瑠。この城の主よ」
城の主…。そうだ、この人に聞けばこの状況を少しは理解できるかもしれない!
「此処は何処? 私はどうなったの? 何かしたの? 清美は?」
「質問が多いわね。まず此処は人間界じゃないわ」
「は?」
早々理解できない。人間界は私がさっきまでいた世界って解釈でいいの?
「ほら、貴方言ってたじゃない。もう一つ世界があるなら行きたいって。此処から見てたのよ。結構落ち着きのある子だと思ってたけど…結構反抗的ね」
「知らない! そんなのお前の勝手な解釈!」
「…はあ。じゃ次ね…。貴方はもう人間じゃないのは知ってるわよね?」
「…はい」
「だから、貴方はもう人間ではいられない。今から貴方は化け狐よ。それに名前も変わるわ。リンノ・クルットリアー。そう名乗りなさい」
「え?」
「貴方はもう藤崎鈴乃とは名乗れないわ」
「どうしてクルットリアーなの?」
「此処では『無名』という意味だからよ」
え? どういうことだよ…。
此処は…アメリカでもない? でも世界自体が違うって言ってたよな…。
「理解するのはまだ無理でしょう。これから慣れてくから、安心なさい」
私は納得はしてないが、黒瑠…という名前の女性が勝手に事を進め、異世界の生活が始まることになった。…化け狐として。




