表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マリアの独り言  作者: 藤高 那須
第一章 始まりは産声から 幼少期編
24/40

木の外

「うぅ、いたい」


 草の上で仰向けになって、体をプルプル震わせながら呟きました。

 ムムルさんに言われた通りに、水の流れに従って移動していると、途中に木の外に出てしまい、地上数百キロのところから落下してしまいました。

 落ちた所が水面だったことと、ムムルさんのおかげで落下のダメージが軽減されたことで、体が少しヒリヒリするくらいで済みました。


「大丈夫じゃったろ?」

「うるさいっ」


 そこらへんに落ちていた木の枝でムムルさんを叩きます。まだ体がヒリヒリしていて、枝を持っている手がちょっと痛かったです。


「この川は目的地に通じている。川に沿って歩いて行けば着くぞ」

「まだ歩くの?」

「いいや、あれを見るんじゃ」


 私はムムルさんが向いている方向を見ました。


「ああ違う違う。こっちこっち」


 あっちこっちと指示してきてわからないので、結局ムムルさんを持ち上げて同じ方向を向くようにしました。

 やっとムムルさんの言っていた方向を向くと、その先には大人三人分くらいの大きさの葉っぱがありました。


「あれに乗って川を下れば、歩くより早く着くぞ」


 これまたムムルさんの力で葉っぱを変形させてボートのような形にしました。葉っぱのボートに乗るなんて生まれて初めてです。それに実際に乗ってみると頑丈に出来ていますし、結構楽しいです。


 川はゆっくりと流れていて、私が歩くよりも少し速いくらいの速度で進んでいます。確かに、歩いて移動するよりも速いですし、この川は目的地に通じているので、ある意味一番の近道かもしれません。


「これなら早く着くかも」

「うむ、時にマリアよ、ちと後ろを見てくれんか」

「何?」


 私は言われた通りに後ろを向きました。


「ほら、向こうを見てみぃ」


 私はあの大きな木があった方を見て、そして目を大きく開きました。

 あの木を目指していた時は遠くにいたので本当の大きさはわからなかったですが、近くから見て初めてあの木がどれほど大きいかわかりました。

 それは木、というより壁でした。茶色い壁が雲を突き抜けるほどの高さでそびえ立っていたのです。そこからたくさんある穴から水があふれ出し、滝のように下へと落ちていく光景は正に圧巻でした。


「すごい」

「そうじゃろう。あの木から出てくる水が川となり、やがて湖となり、最後には海となって流れるのじゃ」


 限りなく流れる水が落ちると、まるで火山が噴火したような音を出し、空気を震えさせます。震えは私の肌にまで伝わり、私に鳥肌を立たせました。

 私は空を見上げます。木の周りは雲がかかっていて見えません。いったいどれほどの高さがあるのでしょうか。


「さて、この先はとうとう目的地じゃ」

「……あれ? 目的地はあの木じゃなかった?」

「あれは通過点という意味での目的地で、ワシらが向かうのはその先にある泉じゃ」

「その泉には何があるの?」

「ワシの体と、マリアが帰れる方法」

「ホントッ!?」


 身を乗り出してムムルさんに聞きました。やっと元いた場所に戻れると思うと、頬が少し緩みました。


「本当じゃ。マリアが帰れる方法に、ワシの体、ワシが守っていた泉、そして」







 ワシを殺した、毒竜『ニズベルク』。

あと一、二話でこの旅は終わると思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ