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マリアの独り言  作者: 藤高 那須
第一章 始まりは産声から 幼少期編
23/40

木の中

今回短めです。






 その後何回も移動と休憩を繰り返し、私達は目的地の近くにたどり着きました。

 近く、と言っても直線距離で、歩いても十数日もかかるくらい遠くで、しかも地面からかなり高い位置の所に着いてしまい、一旦引き返さなければならなくなりました。


「じゃが、あの水の流れに逆らって移動するのはちとキツい。移動距離が短くなるうえに休憩が長くなってしまう。場合によっては、歩いた方が早くなるかもしれんの」

「そんなに疲れるの?」

「うむ、じゃが、もっと簡単に移動できる方法があっての……」




 そして今、私達はこの大きな木の中を探検しています。


 ムムルさんによると、私達が通ったのとは反対方向に流れる川があるそうで、ここの近くにそこに通じる穴があるそうです。


「この穴を通って……あれ?」

「どうした、マリア」


 四つん這いにならないと通れないくらいの大きさの穴に入ろうとしましたが、何故か先に進めません。何かがつっかえているような……。


「通れないのか?」

「私そんなに太ってない」


 頬を膨らませて、お腹をつまみます。まだ子供なので少しぷっくりしていますが、穴が通れないほどではありません。

 しばらく考えて私はハッとしました。


「な、なんじゃ」


 私はムムルさんを持ち上げ、穴の中に押し込みました。


「いだだだだだだだだだだ!」

「やっぱり入らないぃ~!」


 やっぱり、ムムルさんの顔が大きすぎて入らなかったようです。


「えい! えい!」

「蹴るな蹴るな!」


 いろいろと試行錯誤してみましたが、入るどころか進みもしません。


「つかれた」

「まったく。顔が痛いわい。そんなことせんでも……」


 ムムルさんが何かを唱え始めまると、なんと穴がみるみるうちに広がっていきました。最終的に穴は私が立ったまま入っても通れる大きさになりました。


「最初っからすればよかったのに」

「じゃったらあんなことをするな」


 それにしても、まだ着かないんでしょうか。かれこれ二十分ほど経ったに、か川の流れる音すら聞こえません。


「着いたぞ」

「え?」


 辺りを見回してみましたが、どこにも川らしきものがありません。

 疑問に思っていると、ムムルさんに視線を変えさせられました。その先には、私が五人入れるくらいとても太い管がありました。

 管の中には確かに水が流れていました。ひよっとしてここに入るのでしょうか? 水は膜で包まれていて入れそうにありません。


「ワシならこれくらい余裕じゃ」

「そうですか」


 ムムルさんの詠唱がおわり、私は管の中に飛び込みました。


 行きの時は横に流されていたのでまだよかったのですが、上から下へ落ちる感覚に、どうしても恐怖心を煽られてしまいます。

 つまり、今私は、どうしようもなくテンパっていたのです。


「ブクブクブクブクブクブク!!」

「ちょっ、やめっ、暴れるな!」


 ムムルさんの髭を引っ張ったり、鼻を掴んだり、とにかく何かに掴まりたいと思っていました。


「落ちるぅぅぅぅ!」

「落ちない! 落ちないから離すのじゃ!」


 落ちてます! 今まさに落ちてますよ!


「ああ落ちとる落ちとる。じゃが大丈夫じゃ! 下に地面はあるが、そこにぶつかる前に下にある水が止めてくれる!」


 確かに、このまま下へ行けば必ず水が溜まっているところに落ちます。水面に叩きつけられるのはムムルさんが何とかしてくれるとさっき言ったので、まあ、大丈夫でしょう。


 一先ず深呼吸して、調子を整えます。そして眼前に広がる広大な森を見据えて――


「……森?」


 ムムルさんムムルさん、森が見えますよ。洞窟の中に木とか生えてたんですね~。





「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

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