表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マリアの独り言  作者: 藤高 那須
第一章 始まりは産声から 幼少期編
21/40

正体不明

明けましておめでとうございます!

新年、『マリアの独り言』、よろしくお願いいたします!

「うぅ、ぐすっ」


 一寸先も見えない暗闇の中で、私は泣いていました。

 さっきまで私は、自分が見たことも聞いたことも体験したこともない出来事が頭の中に入ってきました。

 楽しかったこと、悲しかったこと、嬉しかったことなど、光景に応じて様々な感情までもが入ってきました。

 恋が成就したり、仕事が成功したり、良い光景もありました。そしてそれとまったく同じ数だけ、恨み、妬みなど、悪い光景もありました。

 そんなたくさんの光景がごちゃ混ぜになって、頭の中が壊れてしまいそうになりました。

 そんなことが、何度も、何度も、繰り返し起こりました。


「いやだ、いやだぁ……」


 私はただこうやって、泣きじゃくることしかできません。暗闇の中で、一人。私はとても寂しかったです。


「ぐす……う、あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 また始まりました。こうなっては、私にはどうすることも出来ません。痛いのと熱いのをひたすら我慢して、終わるのを待つだけです。


 やっと終わりました。いつもよりも時間が長かった気がします。気のせいでしょうか。

 とりあえず、私はまた痛いのが来る前に寝ることにしました。




「すー、すー。……ん」


 風が肌に触れるのを感じて、私は起きました。


「また景色が変わった」


 そこは、障害物となるものはなく、どこを向いても地平線が見える草原でした。空は真っ青で、雲は一つもありませんでした。


「涼しい」


 久しぶりに心が安らげるような場所になりました。

 ここに来てから何も起こらないので、私はうろうろすることにしました。

 歩けど歩けど景色は変わらず、草原と空以外まだ何も見ていません。


「行けども行けども地平線~♪ 

 広がる緑と青い空~♪

 向かう先は森か砂漠か

 さざ波響くうーみかな~♪」


 腕をブンブン回しながら、行き先もわからず歩き続けます。

 歩いてからどれくらい経ったでしょうか、視界の端に何かが入りました。多分、よく目を凝らさないと草原との違いがわからないくらい小さいと思います。

 進んでいくうちに、どんどん目的地がはっきりわかるようになってきました。

 また進んでいくと、霧が出てきました。『淫霧の森』のことがあって、霧が少しトラウマになっています。

 霧が深くなって、目的地がどこかわからなくなってしまいました。戻ろうと思いましたが、方向もわからなくなってしまったので、下に気をつけて、慎重に前に進みました。


 少しずつ霧が晴れてきました。前も数メートルくらい先まで見えるようになりました。出口が近いと思った私は、こんな視界の悪すぎる霧から早く出たくて、すぐさま走りだしました。


「どこ、ここ?」


 霧から出ると、さっきまで何もない草原だったはずが、木々が生い茂る森に着いていました。

 霧が現れてからそれほど時間も経っていないし、遠くまで移動できるはずもありません。なのに辺りは木だらけ。後ろにも木が生えています。

 さらにおかしなことは、森のさらに向こうに、とっても大きい木があることです。木の全長は雲に隠れて見えず、どれくらいか予想しようとしましたが、見える部分が木の幹だけで全然わかりません。

 とにかく、すごく高くて、すごく太いんです。

 ここで立ち止まるのもどうかと思い、私はあの木を目印に森の中へ進みました。


 森の中では動物や虫とよく遭遇しました。

 数回ほど、肉とかを食べる動物と遭遇することがありましたが、私を襲ってきませんでした。


「おい、おい」


 どこからか、お爺さんのような声が聞こえてきました。しかし、どこにも姿が見当たりません。

 ああ、そういうことですかわかります。このパターンは前にもありました。声の場所は


「うえっ!」

「下じゃっ!」


 下から叫び声がしました。見下ろすと、確かにいました。

 首だけのお爺さんが。


「……」

「わかっておる。だが今のワシはそれどころではないのだ」

「いやぁぁ!」


 私はお爺さんを叩きました。


「痛い痛い! 驚かしてしまったならあやまる。すまんかった!」

「はぁ、はぁ。それで、何で首だけなの?」

「まあいろいろあったんじゃ。お主こそ何故ここにいる」

「いろいろあったの」


 首だけなのには驚きましたが、話してみるととても良い人|(?)でした。

 首だけ老人の名前は『ムムル』と言って、しわしわの顔に長い白髪と白髭をたくわえ、私のお爺様よりお爺さんやってる人――面倒臭いので人と言っておきます――でした。


「それでマリアよ。お主はあの木に行きたいと言ったが、何故なのじゃ?」

「道に迷ったの。それで大きい木を見つけたから行くの」

「なるほど、じゃがの、あそこは、お主が思っているよりずぅっと遠いぞ。着くのに数十日、いやお主の足だともっとかかるじゃろうな。そこで提案なんじゃが、ワシも連れて行ってくれんかの? ワシはあそこへ行く近道を知っておる。お主なら、数日で着くじゃろうな。どうじゃ、のるか?」


 ……あの木って私が今見ているよりももっと大きいんですか。大きすぎて、私が思っていたよりずっと距離が離れているんですね。

 それなら話は簡単です。この首だけ老人は一緒に行けばもっと早く着くと言いました。私は首だけ老人、改め正体不明の老人ムムルさんと一緒にあの木へ目指すことにしました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ