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マリアの独り言  作者: 藤高 那須
第一章 始まりは産声から 幼少期編
20/40

行方不明

ペース早めで文字数少なめ。でも全力です。

 なんだか頭が痛いです。それに体が熱い。

 辺りは真っ暗で何も見えません。


 確か私は、ハッシュの顔をボコボコにしていて、それで突然意識を失って、気づいたらここにいた。ということですかね?


『ルシファー、ルシファー』


 ルシファーを呼んでみましたが、反応はありません。これは、本当に危ない状況の気がします。

 それで、結局私は今どこにいるのでしょうか?

 やっぱりどこを見ても真っ暗。真っ暗すぎて、自分の体すら見えません。


 これはもう、ダメかな。と諦めかけたその時、頭が突然痛くなりました。

 頭の中で何か暴れているような痛み、それと共に体中が熱くなっていきます。


「痛い痛い痛い痛い痛い熱い熱い熱い熱い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱いぃぃぃぃ!!!」


 同時に起こる二つの感覚。私は泣きながら、体を丸くしました。時間が経つにつれ、痛いのか熱いのかわからなくなってきました。

 どれくらいか経って、頭痛と熱は治まりました。


「痛い、痛いよ」


 それでも、さっきの痛みや熱はまだ体に残っていました。私はその残った感覚が治まるまで、ずっと体を丸めていました。

 やっと体が自由に動けるくらいにまでは残った感覚がなくなりました。


「ここ、どこ?」


 目の前には、植物一つない荒野が広がっていました。空は黒い雲で覆われ、辺りは煙や腐ったような臭いがします。

 突然、左右から声が聞こえました。その声はだんだん大きくなり、怒号となって私のところに向かって来ます。

 目を凝らすと、鎧を着こんだたくさんの兵士が馬に乗ってこちらに来ています。反対からも、違う形をした鎧を着た兵士達がやって来ました。


『オオォォォォォォォォォォォォ!!!」


 私は急いで逃げました。でも五歳の子供の足では間に合うはずがありませんでした。互いの距離が近づくにつれ、声が大きくなっていき、とうとう矢が飛び交うような距離にまでなりました。

 矢の雨が止み、今度は馬の波が襲ってきます。

 左右の兵士が激突しようとした時、私は目を瞑りました。




 目を開けると、そこには青い海が広がっていました。

 嗅いだだけで舌がしょっぱくなりそうな臭い、波の音、涼しい風、私は混乱していました。


「ここはどこ?」


 私は誰? と繋げようと思いましたが、今の私にそんな余裕は持っていませんでした。


 景色が変わりました。何の前触れもなく、それに一瞬で変化したので、反応が遅れてしまいました。

 今度は真っ暗な部屋。最初のところに比べれば明かりもついていて、ここが部屋だということはわかりました。


「――――」


 何か音がします。あっちの方ですね、行ってみましょう。


「ヒトを――に――を――する――を――」


 一部分だけですが、確かに人の声でした。


「大丈夫だよ。心配ない。キミは運がいい……ん?」


 顔は見えませんが、人がいました。その人は私に気づいたのか、こちらを見ました。


「おやおやぁ、まさかここにいるなんて。こら、こんなところにいちゃだめじゃないか」


 その人は私の頭を撫でてそう言いました。

 その人は満足したような笑みを浮かべ、腕を私の顔より下当たりで横に振りました。

 何したんだろうと思うと、私の首から何か流れる感覚がします。そして言葉が話せなくなり、呼吸も難しくなってきました。

 その人を見ると、手にナイフを持っていました。


「じゃないと、こぉぉぉんなことになっちゃうよぉ」


 私は声にならない絶叫をしました。





 また、あの暗い場所に戻りました。

 この足に地面が付いていないのに、一種の浮遊感というものが感じられません。なんというか、全体が水の中に入ったようなものに近いかもしれません。


 頭の中で、いろんな光景が出てきました。

 国同士の戦争、国王の暗殺、どこかの商人の浮気、恋人の結婚、竜との戦い、村の飢饉。

 他にも、いろんなものが頭の中に入ってきました。私には全く身に覚えがないことなのに、何故か私はこのことを知っていました・・・・・・・


「何、これ。いや、いや」


 知りたくない、知りたくないのに勝手に頭の中に入ってくる。


「いやいやいやいやいやいやいやいやいや!」


 私は必死に叫びます。でもそれを無視してどんどん知らないことを知っていきます。


「やめて!」


 知りたくないのに知らされる。多分誰も味わったことのない恐怖を、今私は経験していました。


 こんなに、こんなにたくさんのことを知ってしまっているのに、私が今どこにいるのかは、知ることはできなかった。

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