【裏】4.わらいら
あたしの名前は玄河エリ、FJKやってる感じ。
あたしと双子やってるマイタケは同じ日に生まれた親友まじ運命。
やばい怖がりなのに絶対あたしの話を最後まで聞いてくれる最高の女の子。
あたしなんかよりめっちゃ頭良くて美人で化粧も上手くて物知りでばちイケメン。顔もだけど魂がイケメン。
産まれたときからカッコよくて、あたしの憧れ。
唯一無二の大切なやつだから、あたしマイタケ守んの使命みたいな宿命てかあたしの覚悟。
小学校に上がるより前のことなんだけど?
いつメンで神社行くと――てか二人でいつメンとか言うのウケる。
神社的なサムシングに知らないチビ助が居たんだけど、あたしとマイタケって分け隔てずだから仲間入れたの。
したら帰り際そいつ【一緒に行っていい?】とか聞いてくっから、聞くまでもねーじゃんって思ってオッケしたの。
んでも、ホントそんときマイタケやべえなってなったわけ。
あたしが「一緒に帰ろう」って返そうとしたら? 後からあたしの声を掻き消すぐらいの勢いで言った感じ。
あたし『それ』に気づいてなかったのに、マイタケってば、あたしを守ろうと前に出てたんね。
したらそいつ、急に白くなるわけ。綿飴状態。
んで? あたしがナニコレってなってる間にマイタケんとこに飛び込んだの。
マイタケなんか白目向いてガクガク身体震えて、あたし漏らした。あれ見て我慢は無理だって。
まじで何していいか分かんなくなって?
ああ、コイツやべえやつだったんじゃね? って気づいて? あたしのことマイタケが守ってくれたことだけは分かって?
じゃああたしはマイタケ守んなきゃじゃんって思うじゃん。
だからマイタケの手握ってあたしも走ったの。
マジで頭おかしい奴じゃん。逃げなきゃじゃんって思ってさ。
つってもそいつマイタケの中だし? マイタケと一緒に走ってもそいつマイタケと一緒じゃん。
んでも鳥居くぐろうとしたら、めっちゃマイタケ拒否るわけ。わけわかんなくね?
で、あたしも気づくわけ。ははん、これ出てったらマイタケ助かるんじゃね? って。
マイタケも必死であたしを引き止めっけど、あたしもマイタケのこと引っ張って、綱引き発生。
したらマイタケ白目向いたまま喋るわけ。
【このまま出て行ったら死ぬぞ】
いやマイタケの声じゃねえじゃんって。マイタケの口から声するけど、マイタケの可愛いキュンな声じゃねえの。
「マイちゃんを返せ!」
ってガン泣きしながら言ったんだけど、マイタケ白目のまま。あれ泣く。
あたしも引き下がれないっしょ?
泣きながらめっちゃ引っ張んだけど、なんかマイタケじゃねえマイタケが交渉してくるわけ。
【ならお前が代わるか】
「マイちゃんを返せ!」
【ならお前が代わるか】
「マイちゃんを返せ!」
【ならお前が代わるか】
「マイちゃんを返せ!」
【話聞けよ】
ツッコミ冴えてんの草なんですけど。
んでもそいつ続けんの。
【お前が身代わりになればコイツも助かるぞ】
「やだ!」
【じゃあ諦めろ】
「やだ!」
【ならお前が代わるか】
「マイちゃんを返せ!」
【壊れたラジオか】
マジなんなんコイツって感じなんだけど?
あたし的には必死なわけ。別にボケたつもりないわけ。そーゆー気持ちに水差すの萎えんだよね。
【いいか。私を受け入れた以上、コイツはもう死ぬ】
「やだ!」
【コイツを死なせない方法を教えてやる】
新手の詐欺っしょ。子供相手にアリエンティなんですけど?
結局あたしも口車に乗せられたわけ。マイタケ殺したくないし?
したらそいつ、マジでマイタケから抜け出してくれて、その瞬間にあたしとマイタケ一緒に鳥居走り抜けられたわけ。
で、そいつ、あたしのとこ来るわけ。マジで距離近くて無理だなって感じだったんだけど。
【その女は私の呪いを受けた】
【死ぬことには変わりない】
いや最悪じゃん? 騙されたーって感じじゃん。
えさっきの助けてやるとかなに。その場の良いわけ? DVクソ彼氏じゃん。
他人信用するのヤバいって勉強できたラッキーとはならんて。
【そいつを生かす方法はたったひとつ】
【そいつの心に畏れを忘れさせないことだ】
いや知らんて。畏れとか何? ワカランディじゃん。
なんだかんだ言って、結局騙して終わりみたいなのうざいなって思うじゃん。
したらそいつ、あたしの中に入るわけ。鼻とか耳とか口から。えっぐいの。あれ、プールで溺れたときの感じ。ゲロムカ。
マジ獅子身中の虫的じゃん。一緒に遊んで楽しんだのにクソじゃん。カスじゃんね。頼むから死ねよみたいな気分じゃん。
気分落ち込み最悪曇天空模様。
けどパンドラ的ひらめきがあって思いつくわけ。
あっ、そういえばこんな話を聞いたなって。
「ねえねえ、マイタケって『お稲荷様の神隠し』って知ってる? 」
これあたしの閃きだと思ってたんだよね。最近までマジあたし天才って感じに自惚れじゃん。
踏切のこととか、保健室のこととかあって、あたしも流石に「あれ、これ、もしかして」ってなるじゃん。
あいつがあたしの中から影響与えてんじゃねって。
ピエロじゃん。全然気づかないあたしピエロじゃん。ヘイジョージじゃん。
高校上がってからそれが強くなってることには気づいてたんだけど。いやまさかねって感じじゃん。
聞いてた話じゃん。一応聞いてた話なわけ。あたしが話してるものって。
だけど、それが外にまで影響出してんじゃないのって。
もしかしてあたし、ずっとこいつを育てちゃってたんじゃないって。
でもさ、無理じゃね。
もう止まるわけに行かなくね。
あたしが話止めたらマイタケ死ぬじゃん。無理じゃん。あたしの代わりに死ぬとか無理じゃん。
だってそうじゃね? マイタケが前に出てくれなかったらあたしが呪われてたんじゃね?
だからあたしはやめることにしたの。マイタケのことだけ考えるの。マイタケさえ無事ならそれで良いの。
他に何が犠牲になっても、マイタケだけはあたしが守り続けなきゃいけないから。
だからごめんねみんな。
パパ、ママ、先生、クラスのみんな、ごめんね。
これからあたしもたくさん話していくから。たくさん皆に迷惑かけちゃうかもしれない。
でも、お願いだから恨むならあたしだけにしてね。全部あたしが悪いから。全部あたしの罪だから。
お願いね。
「マイタケー」
「なに、エリ」
「コヨイの話はここまで」
「は?」
「明日お話しする物語はコヨイのものよりもっと心躍りましょー」
「いや無理いらない。毎日とか無理。てかなんでそんな毎回出てくんの」
「天啓的な?」
「メシアか」
「へいらっしゃい」
「飯屋か」
今日もマイタケが元気そうに怖がってくれて、あたしは幸せです。




