第87話 考察令嬢と港街に潜む嘘――歪んだ正義の行方
エレナは不気味な殺意を感じながらも、 重い足取りで案内されるがまま賓客室へ入った。
今日訪れた中央王都から来た客人であるこの二人が、良からぬ話を持ってきたのはこの屋敷にいる者なら誰もが気づいているはずだ。
エレナは反射的に顔を上げ、扉を見た。
何だろう、さっきの感覚。
ひどく落ち着かない気持ちで、胸の鼓動が速まる。
誰かがわたしを見ていた。
すぐ近くで。
それがなぜこんなにも不愉快で、ちぐはぐな感じがするのだろう。
あの向こう側で、誰かがわたしを見張っている。
人払いをした部屋。
従者や侍女は誰もいない。
お茶の用意も夫人が自ら申し出てくれたが、エレナたちはそれを辞退した。
「エレナ、この部屋、防音結界、念のために張っておくぞ」
クロフォードがエレナにそっと囁いた。
エレナが頷くと、クロフォードは小さい声で詠唱し、結界を展開した。
ほんの僅かだが、部屋がぐんっと引き締まったような緊張感が走った。
応接席に着くなり、エレナとクロフォードは、サンティエ夫妻についさっき起きた逮捕劇の話をする。
ここ、リオナーレ自衛警察団長のジャン・モルヴァン率いる上層部が、表の秩序を装いながら、裏では闇ギルドである[夜鴉盟約]と手を結んでいたことを――。
話し終えると、広間に重苦しい沈黙が降りた。
「……まさか、ジャンが……」
バルトロメは顔を蒼白にし、その声は震え、信じがたい事実だと言わんばかりに揺れていた。
頭を抱え始めるバルトロメに、夫人が慰めるように、彼の背中に手を添えた。
やはり、かなり衝撃的な事実だったようだ。
無理もない。
長い間信じていた者に裏切られていたのだから。受けたショックは、エレナには計り知れない。
「伯父貴、マジな話、これは早々に手を打つ必要がある」
クロフォードは前のめりになって、対面のソファに座るバルトロメを見据えて言う。
「闇ギルドと公的組織が繋がるということは、街の秩序そのものが腐敗しているのと同義だ。
守られるべき領民は逆に利用され、搾取される」
「ああ、分かっている。
公的な権威が裏社会に操られれば、正義と秩序は形骸化し、街は闇ギルドの思うがままに支配される……。
だが、そこまで腐敗していたなんて」
がっくりとバルトロメは肩を落として、言葉を切った。
「落ち込むのはよく分かる。
けど、前々から不穏な動きは何かあったんじゃないのか?」
クロフォードの声は、どこまでも冷静だ。
バルトロメはしばらく考えるように沈黙し、やがて、ゆっくりと重い口を開いた。
「……言われてみれば、確かに。
この前の橋のテロだって不可解な点がいくつかあったんだ。
なぜ、あの橋が西南地方の港湾のインフラの要だと敵は知ったのか……。
数年前から『秘密結社 黒の杖』がこの街で暗躍していたからこそ、中央軍部の命令で関係者に箝口令を引き、情報が漏れることがないよう細心の注意を払っていた。
だが、数々の情報漏洩があって、首を捻った覚えがある」
「それを言うなら、その橋でのテロ。
あれだって、黒の杖の奴ら、魔法騎士団が橋の爆発物除去作業のタイミングを狙って襲来してきたんだろ?
あれもタイミングが良すぎだ。
除去作業中に手元が狂って地面に落とせば、
バーン!
大爆発する」
クロフォードは爆発するような声で強調し、手を広げた。
「あそこで魔法騎士団が作業するのを知っていたのは、自衛警察団と特殊国境警備隊だけだ」
「ああ、そうだ。
自衛警察団が闇ギルドと繋がっていたら、すべてに合点がいく」
悔しそうにバルトロメは顔をしかめた。
黒の杖のように暗躍する者たちは、裏社会との繋がりが深い。
情報が漏れたのは、腐敗した自衛警察団上層部から闇ギルド、そして、黒の杖にもたらされたのだろう。
「一度、過去の逮捕者も、その罪状の真偽をすべて洗い直した方がいいぜ」
「逮捕者の? なぜ?」
「あいつらが勝手に悪人を釈放しているのは今回の逮捕で発覚した。
それだけならまだしも、誰か無実の人間を冤罪で投獄しているかもしれない」
「まさかっ」
「そうさ、その『まさか』だ。
けど、あり得なくもない話だ。
自分たちに都合の悪い奴らを冤罪で投獄、腐敗政治社会ではよくある話だ」
「もしそうなら大問題だな。
ああ、そういう者がいたら、新たな救済措置も用意せねばならない」
バルトロメは大きなため息をついた。
これからやることはまだまだある。
「ちなみに、すみません」
エレナは静かな声で尋ねる。
「ここに『魔力石』があることは、自衛警察団は知ってましたか?」
一瞬バルトロメは夫人と顔を見合わせ、逡巡する。
「え……いや、それは知らないはずだ。『魔力石』に関する情報収集は依頼したが、実物がここにあることは言っていない」
「そうですか」
じゃあ、あの身軽な逃亡者は、どうやってここに『魔力石』があることを知ったのだろうか?
エレナは慎重な声を出した。
「何者かが、『魔力石』がこの屋敷にあることを[夜鴉盟約]に伝えた。
そうとしか考えられませんが、思い当たる点はありませんか?」
「思い当たる……。
うむ、少なくともこの屋敷で働く私の腹心は全員知っていた」
「となると、内部犯が濃厚だな」
クロフォードが補足するように呟いた。
バルトロメと夫人は驚愕して、言葉を失う。
「伯父貴、屋敷内の従者を徹底的に洗い出してくれないか」
クロフォードがそう言うと、バルトロメの顔が蒼白になる。
「……まさか身内を疑わないといけないのか?」
バルトロメは、きつく眉根をひそめた。
夫人がそっと慰めるようにバルトロメに手を添えた。
「闇ギルドは何でもするのが特徴だ。
いくら古参で信頼が厚くとも、疑ってかかって調べれば、何か出てくる可能性が高い。
たとえば、奴らに借金をしていたとか、娘息子が闇ギルドに関係ある奴と繋がっているとか。
下手したら家族を人質にこの屋敷の情報を渡すよう脅迫されている場合だってあり得る」
「……そうだな。
相手は、非合法組織だからな」
「ああ。申し訳ないが、徹底的に身内を疑ってくれ」
クロフォードは、真っ直ぐバルトロメを貫くように見据えた。
「あなた、それは、わたくしが引き受けますわ。
女主人として従者を管理できなかったわたくしの怠慢です」
きつく眉根をひそめた夫人が、夫、バルトロメの手を握った。
「だが」
「いいえ、屋敷の従者を選ぶのはすべて女主人であるわたくしです。
わたくしの目が節穴だった可能性が高いです」
夫人の声は震え、顔も蒼ざめていた。
落ち込むと同時に、かなり反省している様子だった。思った以上に自分を追い詰めている、そうエレナには見えた。
(責任感の強い方なんだろうなあ)
「そんなことないです。節穴でも怠慢でもありません」
エレナは思わず声を上げていた。
一斉にみんながエレナに注目した。
「えっと、その……ここの従者の方々はちゃんと礼儀がなっていますし、お掃除も行き届いています。
ただ、相手が相手なので、ひょっとすると、初めから領主しか持ちえない情報を狙って巧妙に身元を隠して侵入した可能性だってあります。
あっちは、非合法な者たちです。
なんだってやります。
ですから、その……あまりご自分を責めないでください」
夫人は一瞬、驚き、嬉しそうに目を細めた。
「ふふ、ありがとうございます。ヴァービナス嬢。
そうね、今一度、素性の洗い直しと、現状何か困っていないか、確認してみますわ」
夫人はわずかにほっとしたような顔をした。
「よろしくお願いします」
エレナは小さく頭を下げた。
この夫妻は、間違いなく善人だ。
それを逆手にとって、リオナーレ自衛警察団上層部は、領主を欺いていた。
そして、ここのどこかに潜んでいる内通者も。
エレナは、すべてが後手に回っている気がしてならなかった。
念のため、従者や侍女たちを全員下がらせ、防御結界を施しておいたから、ここでの会話は漏れないはずだ。
とはいえ、そもそも、こちらもこの地を訪れる前にもう少し下調べしておくべきだった。
自分の詰めの甘さが悔やまれる。
「なあ、伯父貴。
まずその『魔力石』の入手経路について教えてくれないか。
ここに何故あるのか。
そして、医療器具盗難事件についても。
根本的なところをちゃんと抑えておきたい」
クロフォードが、改まった声でバルトロメに言った。
「ああ、もちろんだ。
先程ヴァービナス女官にも簡単に話したが、詳細はこうだ。
アルヴェール領の自衛警察団である副団長レオン・カステル卿から届いた報告書にはこうあったんだ」
バルトロメはエレナとクロフォードに向き直った。
***
レオン・カステルは、目の前の地図と睨めっこをしていた。
彼は、アルヴェール領管轄 自衛警察団の副団長である。
自衛警察団は領地内でも、地域ごとにいくつも作られる。
レオン・カステルは、領地内のすべての情報を統括するアルヴェール領自衛警察統括部に所属している。
――すでにこの領地では、五件の療養所の高級医療器具盗難事件が発生している。
「何故、この五件の療養所だけに盗みが入ったんだ?」
街道の交易と医薬品の流通で栄えるこのアルヴェール領内には、数多くの療養所があった。
盗賊団の狙いが転売目的なら、もっと警備が手薄な庶民向けの療養所を狙うはずだ。
それに、最も転売で足がつきにくいのは薬だ。
通常の盗賊団なら、真っ先に盗むのはそこのはず。
それなのに、この盗賊団は――薬は狙わない。
狙うのは、高級医療器具や設備のみ。
しかも、おかしなことに警備の厳重な療養所ばかりに侵入するのだ。
そもそも、医療器具を転売するのはリスクが伴う。
医療機器の転売は、厳しい規制の対象であり、販売・流通には認可や登録が必要で、盗品を合法的に市場に流すのは困難に近い。
それに転売できたとしても、病院や診療所など特定の施設でしか使えない代物。
一般市場で需要が少なく、買い手を見つけにくいはずだ。
「危険ばかりで、実りが小さすぎる……」
だからこそ、この連続盗難事件は奇妙としか言いようがない。
レオンは首を捻る。
「それでも分かることは、ひとつ」
単なる転売目的ではない。
特定の組織や研究目的に、転売している可能性が高い――。
「じゃあ、狙われた病院の共通点は?」
――それは、すべて貴族の魔法使い専用の精神病棟だった。
魔法は奇跡の技であり、絶対的な力だ。
だが、リスクもある。
魔力の強い家系ほど精神疾患のリスクは高い。
魔法を使うのに必要なエネルギー、魔力は心が不安定になれば、揺らぎやすく膨大な魔力は暴走しやすく、大変危うい。
度重なる限界までの魔力過剰使用も、脳や精神に負荷をかけ、急性魔力欠乏症を促し、死に至るケースだってある。
さらに地方では、魔法使いは周囲から畏怖され孤立しやすい。
なにせ、魔法は、期待と恐怖の狭間で精神が摩耗し、やがて悪循環に陥り、心の病を患う者も少なくなかった。
これらの療養院は、そうした者たちを隔離し、癒す場として存在している。
(この領地にあって、まだ盗難に入られていない魔法使い専用療養院は……)
レオン・カステルは次に狙われる可能性が高い療養所を定め、自衛警察団は侵入してきた盗賊団を待ち構えた。
結果、彼らは計画通りに盗賊団を一網打尽にした。
――それが、この事件のはじまりだった。
***
「なるほど。そこで押収したのがさっきの書類と盗まれた『魔力石』ってことか」
クロフォードがバルトロメから一連の話を聞き終え、呟いた。
「ああ、そうだ」
大量の関係書類と、『魔力石』がひとつ、アルヴェール領地からそれらがここサンティエ伯爵領主邸に運び込まれた。
だが、リオナーレ自衛警察団たちはそのことを知らない。
じゃあ、どこから情報が漏れた?
クロフォードはエレナを見た。
「どう思った?」
十中八九、この屋敷に内通者がいる。
さっきの殺意込められた視線も気になった。
恐らく、あれはその内通者の眼――。
クロフォードはそれを確信し、エレナに同意を求めている。
「う~ん……」
エレナがふと考え込む。その表情を三人が注視した。
偶然とはいえ、[夜鴉盟約]の初動手口は分かった。
まず、魔力がありそうな人間を街中で探し出し、密かに計測する。
そして、魔力があると分かったら、集団で誘拐する。
魔力を得るための採血は、誰でもできるように専用医療器具の指南書まで用意されている。
(その時点で、仕組み化され、計画的、組織ぐるみの犯行と言えるよね)
エレナはサンティエ夫妻に視線を投げ、姿勢を正した。
「まずは、[夜鴉盟約]という組織について、もう一度詳しく伺わせてください。
そこをよく知らないと先へ進めない気がするんです」
一瞬、サンティエ夫妻は目配せし合い、やがて バルトロメが考えながら言った。
「そうだなぁ、昔からある不良グループで、それがここ数年で肥大化し、闇の組織として機能し始めた、というのが分かりやすい表現かもしれない」
「ああ、やっぱりそうか。
俺がここに住まわせてもらったとき、そんな目立った組織化したようなヤバい連中はいなかった」
クロフォードは腕組をし、一瞬遠い目をして口を開いた。
「そう、本当にここ数年なんだ。
港街リオナーレを拠点に落ちぶれ者が急速に集まり出し、カネのためならどんな汚れ仕事にも手を染める連中になっていった」
「……ここ数年目立って大きくなった、か。
さては、ギルドのトップが交代したのかな」
「ああ、たぶん、そうだと思う。
ああいう組織のトップの交代はかなり大きい。
ましてや、いままで行き当たりばったりの不良グループが、ここまで組織化したということは、かなり頭の切れる人物が参入したとしか言いようがない」
バルトロメは静かだが、力のこもった声で続ける。
「最近は、薬や奴隷の売買、密売など悪行を極めた生業を主として稼いでいるようなんだ。
『魔力石』に関することもだが、その証拠すべて残っておらず、いまだ逮捕に至っていない。野放しの状態に近い」
「証拠が残らない――当然だ」
クロフォードが鼻で笑う。
「間違いなく、腐敗した自衛警察団上層部が握りつぶしていただろうからな。
領主の伯父貴まで、ちゃんとした報告がされていなかっただけに過ぎない」
冷ややかなクロフォードの声に、バルトロメは愕然としたように肩を落とした。
後悔と悔しさが表情に滲み出る。
だが、エレナもクロフォードに同意見で、これは明らかに領主としてのバルトロメ・サンティエ伯爵の落ち度である。
自衛警察団を信じてきたのは素晴らしい。
素晴らしいけれど、それでは領地運営は成り立たない。
どこか歯車がズレ始めていると薄々でも感じたのなら、それをすぐに解消しないと大きな事件へと発展する。
真面目ゆえに損をする――世の中はなんて不条理なのか。
「で、奴らの根城はどこ?」
クロフォードは抑揚なく尋ねた。
「ここ中心街を抜けて、港を少し行った郊外の橋の根本を中心にスラム街が広がっている。
そこに彼らはいるらしい。
最近は他国の奴隷たちの逃亡先となっているようで、移民も増えている」
バルトロメの低い声で呟くように言った。
ふと、エレナの脳裏に女将の台詞が蘇る。
――移民が増えてるからね。
この街は貿易が盛んだからか、モノだけじゃなく、人の交流も多いんだよ。
その分、胡乱な奴らもいつの間にかやってきて、悪さを働く時がある。
ひんやりとしたものが空気に漂った。
バルトロメは自嘲するように、口角を奇妙に上げる。
「一応、今までは自衛警察団が毎日巡回をしているということだったが、奴らと手を組んでいる以上、それも意味をなさなかったということだな」
「ああ、残念ながら、腐敗した自衛警察団の上層部が報告してきた情報は、すべて疑ってかかるべきだ。
参ったなぁ、スラム街で移民、余所者の俺たちじゃあ、誰がメンバーなのか分からない」
クロフォードは腕を組んで憮然とした。
「大概彼らは昼間は皆漁をしたり、どこかで日雇いで働いているようだよ」
バルトロメは、すっと顔を上げてエレナとクロフォードに向き合う。
「数日おきに、抜き打ちで第8魔法騎士団の皆様に巡回しているからか、最近は犯罪件数が少し落ち着いているが、あの魔法騎士団でさえ、誰がメンバーなのかさっぱりなんだそうだ。
それに、スラム街は危険だ。
特に夜。女子供はもちろん、男も出歩いてはいけない。
魔法使いでも危ないと思う。
なにせ奴らは銃を使う」
「銃を?」
エレナとクロフォードは、ぎょっとした。
背中を波のような戦慄が駆け上がる。
「それは、魔法銃?
拳銃? どっちだ?」
クロフォードが身を乗り出した。
ついさっき、銃の攻撃があったからだ。より真剣で深刻だ。
「恐らく薬莢が残っていないから魔法銃だろう。
だが、魔法銃は魔力がそれなりになければ使えないし、あの一帯に魔法使いはいないはずだ。
巨大な魔力を感じたことはない」
「それは不可解だな。
魔法使いじゃなければ、あの銃は使えない。莫大な魔力が必要な武器だ」
「ああ、そうなんだ。
今まで自衛警察団にその辺りを任せっきりだったから、再度そこも探らなくてはいけない」
「だよな。もう最初からやり直すしかないだろ。
けど、……奴らは一体どこから入手するんだろう、そういう武器。
魔法銃なんて裏社会でもなかなか出回らないはずだぜ」
出回っても、魔法銃は銃弾一発撃つだけでも魔力をかなり消耗する。
そのため、撃ち合いには敬遠しがちな武器だし、下級魔法使い程度の魔力では使えない。
そもそも、銃は危険な武器ということで、魔法騎士団と特殊国境警備隊が厳重に管理している――。
そして、鉄で作られた拳銃は、誰もが弾丸さえあれば気軽に使える凶器ということで、火薬と共にこの国では持ち込みはもちろん、製造、所持を固く禁止されている。
「それこそ、手に入れるとしたら、闇ギルドが深く関わる闇オークションと呼ばれるところだろうな」
バルトロメが重い口を開いた。
「闇オークション?」
エレナは首を捻った。
「そう。奴隷、盗品、禁制品、違法薬物、禁呪の巻物や古代魔道書など、違法なものがオークション制で売買されているところだ。
もちろん非人道的なものばかり。
客層は国内外問わず富裕層ばかりらしい。
噂では不定期で仮面舞踏会という名目で、このあたり近辺のどこかで開催されていると聞く」
「じゃあ、そこに魔法銃や魔力石が出展されているのか」
「恐らく……」
クロフォードに向けられた銃、確かにあれも魔法銃に間違いない。
けど、何かがおかしかった。
拳銃に似ているが、魔力を帯びている奇妙な武器。
あれを放置しておくのは、危険な気がする。
だからこそ、闇オークションが次の鍵となる――。
エレナは氷の刃で撫でられたような感覚が背筋を走った。
次に向かうべき場所は、もう決まっている。




