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ざいあくひげき  作者: Balance
大和幕府編
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31話 不死者

甲州回廊を吹き抜ける風の音は、今や完全に異質なものへと変わっていた。それはもはや、数百万の腐った死体による混沌とした、心なき突風ではない。それは、生態系の頂点に立つ捕食者エイペックス・プレデターのみが放つ、鋭く、カミソリのように薄く凍てつくような、絶対的な窒息の重圧だった。


「なるほど、奴らが精鋭エリートというわけか」


織田信長将軍は、恐怖を一切感じさせない声で呟いた。それは冷徹で、客観的な観察だった。


彼は背後にある、エネルギーを使い果たして空になった巨大な『黄龍共鳴核』を振り返ることも、泥の中で涙を流す疲弊しきった前衛部隊に目を向けることもしなかった。あの機械は、なすべき役割を完璧に果たしたのだ。盤上から歩兵ポーンを一掃するという役割を。今や、セーヌ帝国のキング女王クイーンだけが残されていた。


「隊を立て直せ」


オダは命じた。その声はほとんど囁き声に近かったが、絶対的で、否定の余地のない威厳を伴って尾根全体に響き渡った。


「最悪の事態に備えよ」


将軍は鉄の荷馬車に置かれた指揮官の椅子から立ち上がった。彼が腰に手を伸ばすと、黄金の羽織の重厚で華麗な装飾が擦れ合った。彼が握ったのは、大量生産された刀でも、あの兄妹が最近造り上げた最高傑作マスターピースのどれでもなく、ヤマトの最も暗き鋼から鍛造された、彼自身の愛刀だった。


ゆっくりと、苦痛すら感じさせるほどに慎重な動作で、織田信長は刀を抜いた。


**キィィィィン。**


鞘から放たれた刃の音は、ただ反響するだけでなく、空気そのものを両断したかのようだった。


---


荷馬車の足元では、徳川将軍をはじめとする各国の有力な大名たちが、己の将軍を見つめていた。この戦争の間、彼らは徹底して指揮官として行動してきた。地図に線を引き、兵站を管理し、安全な尾根から前衛部隊を指揮する。実際の戦闘で筋肉を動かすことは一度もなかった。


しかし、ヤマト幕府は純粋な戦術的才覚や高貴な血筋だけで軍の階級を授けているわけではない。この帝国において、階級とは生々しく、恐るべき「個人の武力」と同義であった。


将軍が刀を抜くのを見て、指揮官たちは即座に理解した。自動防御の時代は終わったのだ。『虎』と『兎』の武器がこれらの異形アノマリーに通じなかったということは、この問題は自分たちの手で解決するほかないということを意味していた。


徳川将軍が前へ踏み出し、そのブーツが灰にまみれた泥に沈み込んだ。彼は腰を落とし、自身のサクラズキで鍛造された刀を抜いた。


刹那、傷だらけの将軍の周囲の空気が一変した。疲弊しきった前線の兵士たちはよろめきながら後退し、徳川の肉体から噴出した押し潰すような圧倒的なオーラに、息を呑んで喘いだ。彼は単なる戦術家ではない。人間の限界や精神的な圧力を遥かに超越した、**Aランク**の戦士だったのだ。


尾根の至る所で、他の将軍たちもそれに続いた。十二の**Aランク**のオーラが一斉に燃え上がり、目に見える熱波、弾ける静電気、そして局所的な重力の歪みとなって現れた。その力の集中は、目を眩ませるほどだった。


しかし、それらすべての**Aランク**のオーラも、荷馬車の上に立つ男の前には霞んで見えた。


織田信長将軍は鉄の輸送車から足を踏み出し、三十フィート下の谷底へと飛び降りた。彼は一切の音を立てずに着地し、そのブーツの直下の泥は瞬時に蒸発した。


彼こそが絶対的な頂点。**Sランク**の存在。


オダが遥か西の地平線に向かって最初の一歩を踏み出したとき、彼の精神圧スピリチュアル・プレッシャーがついに全開になった。それは熱や光としては現れなかった。絶対的で、圧倒的な「支配」として顕現したのだ。彼の上空の空は暗転したかのように見え、谷を吹き荒れていた突風は、彼の凄まじい意志の力によって完全にねじ伏せられ、一瞬で止んだ。生き残ったヤマトの兵士たちは、彼を直視することさえできなかった。彼らの本能が、地面に額を擦り付けろと悲鳴を上げていた。


「子供たちが、戦場を綺麗にしてくれたな」


オダ・ノブナガは、跪く前衛部隊の横を通り過ぎながら、刀を無造作に脇に構えて言った。その目は、遥か彼方で微動だにしないセーヌの精鋭たちの影を見据えていた。


徳川将軍と**Aランク**の指揮官たちが、彼の背後に完璧で致命的な陣形を組んだ。


「彼らの贈り物を無駄にするな」オダはニィと笑った。恐るべき、偏屈な商人の顔は完全に消え去り、そこには軍神いくさがみが降臨していた。「行くぞ、我が将軍たちよ。狩りの時間だ」


---


百キロメートルという距離は、行進によってではなく、速度と精神圧の壊滅的な閃光ブラーによって瞬時に踏破された。


織田信長将軍と十二人の**Aランク**将軍が、ついに精鋭のアンデッド・コロニーに激突したとき、その結果生じた衝撃波は海岸線の岩だらけの崖を粉砕した。それは戦闘などではなく、局所的な自然災害だった。


戦力比は十三対七十四。しかし、彼らは並の戦士ではなかった。


七十一の配下の精鋭たちは、恐るべき超高速で動いた。彼らが振るうのは錆びた鉄ではなく、純粋に凝縮された悪意であり、彼らの鎧は闇に歪んだ魔力マナで不気味に輝いていた。だが、ヤマトの将軍たちは人間の戦争の最高峰だった。


「道を切り開け!」


徳川将軍が咆哮し、彼の**Aランク**のオーラが燃え盛る業火のように激しく揺らめいた。


彼は防御的な戦いをしなかった。彼と他の十一人の武将たちは、自らの安全を投げ捨てて生きた血まみれの楔となり、敵の群れへと文字通り突撃した。剣と剣がぶつかり合うたびに耳をつんざくような衝撃波が走り、彼らの精神圧の重みで空気そのものがひび割れた。将軍たちは追い詰められた獣のように戦い、凄惨な傷を負いながらも、その十倍の痛撃を返し、コロニーの中心を突き抜ける血塗られた混沌の回廊を力ずくで穿っていった。


彼らは、己の「王」が玉座へと到達できるよう、七十一の敵を食い止めていたのだ。


蒸発した雨と血の霧を突き抜けて、織田信長将軍が前へと歩み出た。彼は将軍たちの混沌とした乱戦を通り過ぎ、刀を引き絞り、半径二十メートル以内のすべてを圧殺する**Sランク**のオーラを放っていた。彼は陣形の絶対的な中心へと到達した。


彼の前に立ちはだかったのは、残る三つの存在。指導者たちだった。


織田信長は足を止め、立ち込める塵が晴れていく中で鋭い目を細めた。彼の刀を握る手に、本能的に力がこもる。


甲州回廊の何百万ものアンデッドは、腐りかけたむくろや骸骨の騎士、突然変異した化け物ばかりだった。しかし、将軍の前に立つ三人の姿には、一切の腐敗がなかった。彼らの肌は青白く、磁器のように滑らかで、完全に完璧だった。彼らのコアから放たれる恐ろしく息の詰まるような暗黒がなければ、人間の貴族と見紛うほどだった。


* **左側の存在:** そびえ立つ戦士。彼は胸当てを身に着けておらず、青白い大理石から切り出されたかのような肉体を晒していた。彼の周囲の空中には、闇の念動力によって浮遊させられた、何十もの伝説的な武器――槍、ハルバード、大剣――が静止していた。

* **右側の存在:** 優雅で引き裂かれた黒い絹を纏った女性。彼女は目を閉じており、その頭の後ろでは、闇に歪んだ治癒の魔力の後光ヘイローが静かに脈打っていた。彼女こそが、この精鋭コロニーの存在を維持し続ける「アンカー」だった。

* **中央の存在:** 最も高い岩の足場の上に立つ、将軍の注意を最も惹きつけた人影。彼は、薄暮トワイライトから織り成された重厚なローブを身に纏い、男性的で堂々とした風格を備えていた。その手に武器はなかった。必要なかったのだ。彼の周囲に渦巻く元素の魔力はあまりにも濃密で、重力を歪め、剥がれ落ちた小石や瓦礫を彼の体の周囲へとゆっくりとした軌道で引き寄せていた。

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