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ざいあくひげき  作者: Balance
大和幕府編
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22話 3か月後

安物の屑鉄は、彼女の魔法にまるで温かく従順な粘土のように従った。しかし、この高級鋼は激しく抵抗してきたのだ。それは頑強に自らの形状と物理法則を誇示していた。「朱雀」の傘を構成する365個の微細な歯車、張力スプリング、長短の刃へと強制的に分解・再構築するため、ウサギは自身のマナを恐ろしいほどの超高精度まで引き上げなければならなかった。


単に傘の形を「イメージする」だけでは到底足りない。すべての金属の糸を手動で誘導し、精神をすり減らすほどの絶対的な集中力をもって、その原子構造を一本一本編み込んでいかなければならなかった。


鍛冶場は、重苦しく軋むような沈黙に包まれた。今日の生産に、昨日までのスピード感は皆無だった。作業の進捗は、じりじりと焦れるような遅さまで停滞していた。


「朱雀」の傘の最後の刃がパチリと固定されたときには、太陽はすでに沈みかけており、鍛冶場には深いオレンジ色の影が伸びていた。日の出から日没まで丸一日を費やして、完成した成果物はたったの一品だけだった。


しかし、ウサギがその「真の朱雀の傘」を手に取った瞬間、その違いに驚愕した。


昨日の試作品は重く、微細な亀裂が生じやすかった。だが、いま彼女の手にある武器は「絶対的な完璧」そのものだった。漆黒の鋼の天蓋は周囲の光を吸い込み、内部の歯車は完全な無摩擦の静寂の中で回転する。その構造的な強度は、降り注ぐ流星の直撃にすら耐えうるのではないかと思わせるほどだった。


「1日に、1つ……」ウサギは激しく上下する胸を押さえ、金床にぐったりと寄りかかりながら呟いた。「この金属を使うと……私たちは1日に1つの設計図を仕上げるのが限界だわ」


トラは木製の床板にバタリと倒れ込んだ。完全に消耗しきっていたが、その目は驚きに満ちて自身の両手を見つめていた。


「ああ……でも、悪いことばかりじゃねえぞ」トラは疲れた笑みを浮かべて呟いた。彼が一本の指をすっと立てると、部屋の端に置かれていた重い鉄のハンマーが、恐るべき速度で、何の手応えもなく彼の手元へと飛んできて収まった。「昨日じゃ、あんなスピードで動かせなかった」


ウサギは自分の両手を見つめた。彼女の指先で踊る紫色のマナは、もはや激しく燃え盛るだけの炎ではなかった。それは限界まで引き締まり、完全に制御された、剃刀のように鋭いオーラへと変貌していた。


最高級の金属は彼らの生産速度を劇的に低下させ、ノルマを1日1つの傑作にまで落とすことを余儀なくさせた。しかし、高級鋼が示す凄まじい反発力は、二人にとって「究極の負荷トレーニングウェイト」として機能したのだ。適応を余儀なくされ、一度に扱う量を減らし、力任せではなく純粋な精度へと完全に意識を集中させた結果、彼らの能力の制御力は、全く新しい、恐るべき次元へと進化を遂げていた。


---


数日が経ち、それが数週間に変わる頃には、サクラズキ姉弟にとって外の世界など存在しないも同然になっていた。


オダ・ノブナガが提供してくれた広大で美しい邸宅は、もはや豪華な別荘などではなく、完全に外界から遮断された高機能な「戦争工場」と化していた。庭のししおどしが奏でる規則的な「カタン……パシャ」という風情ある音は、ウサギが放つ紫色をした創造魔法の激しい駆動音と、トラが何トンもの生鉄を念動力でねじ伏せる重苦しい金属の軋み声によって、完全に掻き消されていた。


二人は、逃れようのない深い労働のトランス状態へと没入していいった。


屋敷の高い木塀の向こう側に完全に隔離されていたため、彼らの耳に外の世界の不穏な噂が届くことはなかった。国境沿いの市場で飛び交う人々の悲鳴を耳にすることもなく、西の辺境から立ち上る黒煙を見ることもなく、進軍を続ける不気味なセーヌ帝国の不死者アンデッドの群れを目にすることもなかった。


ウサギとトラにとって、戦争とは血と骨を散らすものではなかった。彼らにとっての戦争とは、数字、台帳、そして原材料のやり取りそのものだった。


彼らが確実に把握していた事実は2つだけ。夜な夜なオダの部下たちによって門前に密かに運び込まれる鉄塊の山が日を追うごとに巨大化していること、引く手あまたな自分たちの量産武器への需要が天文学的な数字へと跳ね上がっていることだけだった。


4つの最高級の傑作——「朱雀」の傘、「玄武げんぶ」の笠、「青龍せいりゅう」の杖、そして「白虎びゃっこ」の鎧——の鍛造を通じて得た過酷な経験により、二人の能力の根本的な制御力は、すでに怪物染みた領域へと進化を遂げていた。


彼らが意識を通常の量産ノルマへと戻したとき、その成果は凄まじいものだった。かつては丸一日がかりで心身を消耗させていた作業が、今やわずか数時間で完了したのだ。トラは標準的な屑鉄の巨大な山を、精神の力だけで容易く圧縮・精製してみせた。彼の念動力は、まるで目に見えない完璧な大型工業プレスのようだった。ウサギの魔法は精製された金属の上で軽快に踊り、完璧なバランスを誇る何百本もの刀、強化長槍パイク、あるいは軽量かつ衝撃緩和に優れた胸当てを、ものの数時間で次々と量産していいった。


二人は、誰にも止められない「二人だけの量産ライン」と化していた。封印され、う高く積み上げられた最高品質の軍事装備の木箱は、真夜中になるたび、オダの息の掛かった無口な御者たちによって次々と馬車へ運び去られていった。


姉弟があまりにも深く日々のルーティンに没頭していたため、季節が移り変わり、鍛冶場の天井の通気口から新季節の心地よく冷涼な風が吹き込んでくるまで、どれほどの月日が流れたのかさえ失念していた。


茶屋で怯える商人たちの会話を盗み聞きした、あの運命の日から数えて、ちょうど3ヶ月が経過していた。


---


彼らが暮らす静かな竹林のはるか彼方では、ヤマト幕府はまさに国家存亡の危機、完全なる破滅の危機に直面していた。滅亡したセーヌ帝国の不死者の大群は、感情も持たず、決して怯まず、すべてを喰い尽くすイナゴの災厄のごとく進軍していた。並の国家であれば、わずか数週間で灰燼に帰していただろう。


しかし、ヤマト幕府は屈しなかった。


西方国境の泥と血に塗れた最前線において、押し寄せる不死者の津波は、文字通り「完璧なる鋼の壁」へと激突し、阻まれた。ヤマトの侍や徴募兵たちが手にする武器は、どれほど酷使しても絶対に折れず、曲がらなかった。兵士がサクラズキ製の刀を一閃すれば、限界まで鍛え上げられ硬度を増した鋼が、刃こぼれ一つ起こさずに腐った骨と錆びたセーヌの鎧ごと敵を両断した。不死の魔獣が飛びかかろうとも、超高密度の量産型装甲板がその衝撃を見事に吸収し、兵士たちの命を繋ぎ止めて次の戦いへと奮い立たせた。


オダ・ノブナガは、姉弟の作った量産型装備を幕府軍のすべての主要大隊へと行き渡らせていた。誰一人として二人の名も、その幼い年齢も知らないまま、トラとウサギはたった二人で、一国の戦争全体の天秤をひっくり返してみせたのだ。


予定されていた休息日、静かな食堂で鴨の照り焼きと蒸し野菜の豪華な料理をつつきながら、ウサギとトラは、自分たちがすでに「国家の救世主」と崇められている事実など微塵も知らなかった。手のひらに硬いタコを作った二人の疲れた子供は、商人からこの屋敷を買い取るだけの十分な蓄えがようやくできたかどうかを、静かに考えているだけだった。


ヤマト幕府が「サクラズキの鋼」という名の盾の陰で健在を誇る一方、世界のそれ以外の地域は致命的な出血を続けていた。

名前:ラッキー

性別:男性

潜在ランク:S+++

現在ランク:C+

負の状態:

色覚障害(千里眼の極度使用)

嗅覚喪失(念動力の極度使用による)

能力:

初期能力:念動力テレキネシス ― 物理的な接触なしに物体を操作できる精神能力

第二能力:千里眼クレアボヤンス ― 遠方を見通し、未来を予知する精神能力

第三能力:幻影イリュージョン ― 想像力・意志力・エネルギー源を糧に、現実に存在しない像や風景を具現化する精神能力。


名前:ジャンヌ

性別:女性

潜在能力:S+++

現在ランク:C+

能力:

第一能力:武器創造―想像力・意志力・エネルギー源に基づき、武器を具現化できる。

第二能力:防具創造 ― 想像力・意志力・エネルギー源に基づき、防具を具現化できる。

第三能力:アイテム創造 ― 想像力・意志力・エネルギー源を基盤として、支援のための道具を具現化できる。

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