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ざいあくひげき  作者: Balance
大和幕府編
72/217

9話 屋敷

ウサギは長く震える息を吐き出した。緊張していた筋肉がついに緩み、恐ろしいキメラの本能が彼女の魂の奥底へと消えていった。彼女は神聖な広間のその場に膝をつき、白い絹の袖をトラにきつく巻きつけて、激しく抱きしめた。


「何でもないの」ウサギは彼の肩に顎を乗せ、静かに囁いた。「ただ……あなたを失うのが怖かっただけ」


トラには神聖な魔法や女神の恐ろしい視線のことはわからなかったが、姉の腕のわずかな震えは理解できた。彼は即座に彼女を抱きしめ返し、小さな手で銀糸の刺繍が施された帯をしっかりと掴んだ。


「僕はここにいるよ、お姉ちゃん」トラは力強く約束した。「僕たちはどこへも行かない。ずっと一緒だよ」


義理の姉弟の間の温かく静かな時間は、突如として大きく、非常に意図的な咳払いによって破られた。


「コホン」


数歩離れた場所で、織田信長が閉じた扇子をポンポンと手のひらに当てながら立っていた。儀式の重く圧迫感のある魔法は聖域から完全に消え去り、抜け目なく野心的な商人が完全に復活していた。彼は途方もなく高価なVIPの服を着た二人の子供を見下ろし、そのふっくらとした顔に誇らしげで期待に満ちた笑顔を広げた。


「さて、これで血の契約が正式に始まりました」織田は声を出し、その声は蝋燭の灯る石の広間に小気味良く響いた。「このコラボレーションには大いに期待していますよ、私の小さなパートナーたち」


ウサギはトラを放して立ち上がり、傷一つない真っ白な着物を整えた。彼女の保護本能は安全にしまい込まれたが、普通の人間の目の中には、鋭く決意に満ちた火花が残っていた。


トラは彼女のすぐ隣に歩み出た。背中の巨大な純金の虎が揺らめく蝋燭の光を捉えるように胸を張り、完全にタフな商人のペルソナへと戻った。


「がっかりさせないよ、オダ!」トラは自信満々に宣言し、その甲高い声が壮大な祠に反響した。「大和幕府が今まで見たこともないような、最高の武器を作ってみせるから!」


織田はパチンと鋭い音を立てて扇子を開き、莫大な利益の約束に目を輝かせた。「素晴らしい! では、町に戻りましょう。桜月家には、築き上げるべきビジネスがありますからね」


並んで立ち、新たに名付けられた桜月姉弟は、ベールを被った石の女神に背を向けた。薄暗い聖域を出て明るい太陽の光の中へと戻り、彼らの樹齢百年の木の下駄の重い音が揃って響き渡った。舞い落ちるピンクの花びらの下を歩き出し、彼らの全く新しい生活が始まった。


何千段もの石段を下りる道のりは、登りに比べてはるかに楽だった。というのも、トラとウサギは文字通り有頂天になっていたからだ。彼らは家族名を持ち、破ることのできない契約を結び、ついに正式なビジネスパートナーとなったのだ。


完全に疲れ切ってはいたが信じられないほど幸せな気分で、馬車の柔らかなベルベットのベンチに座り直した時、織田信長は滑らかな動作で扇子を開き、次の巨大なサプライズを投下した。


「そうそう」織田は、まるで天気の話でもするようにさりげなく言った。「お二人のために屋敷を用意しました。執事付きでね。契約期間であるこれからの10年間、そこがあなた方の住まいとなります」


ウサギとトラは二人ともフリーズした。


「や……屋敷?」トラはキーキー声で言い、タフな虎の声は完全に裏返っていた。


「執事付き!?」ウサギは目を丸くして息を呑んだ。セーヌ帝国では、冷たく隙間風の吹く廃墟や汚い路地裏で寝ていたのだ。ただの家を持つことすら贅沢な考えだった。使用人付きの屋敷など、彼らの理解を完全に超えていた。


織田は商人の笑顔をしっかりと崩さずに頷いた。「いかにも。桜月家は今や私の最高級武器のサプライヤーですからね。泥の上で寝ている姿を見られるわけにはいきません。ただし」彼は指を一本立て、その目に鋭く動機付けをするような光をきらめかせた。「権利書はまだ私の名義です。ですが、もしビジネスが繁盛し、我々の契約から十分なお金を稼ぐことができれば、私からその屋敷を買い取り、一生涯そこに住むことができますよ」


トラとウサギは顔を見合わせた。一生涯。誰にも追い出されることのない、彼らだけの本当の、永遠の家。


馬車の車輪は町の通りをガタガタと進み、やがて背が高く揺れる竹林に囲まれた静かで平和な道へと曲がった。そしてついに、馬車は止まった。


「お帰りなさいませ」織田が告げた。


ウサギとトラが重く高価な絹の着物を着て馬車から降りた時、二人は完全に呼吸の仕方を忘れてしまった。


彼らは、巨大で伝統的な大和の屋敷の前に立っていた。滑らかな石と暗い木材で作られた高い塀が敷地を囲んでいる。壮大な正門の向こうには、息を呑むほど広大な庭園が広がっていた。


ウサギは、その鮮やかな色彩を絶対的な驚きとともに見つめた。完璧に手入れされた松の木、柔らかく明るい緑の苔の間を縫うように配置された飛び石、そして巨大な黄金色の魚がゆったりと泳ぐ、水晶のように澄んだ鯉の池。竹の筒から優しい滝が池へと流れ込み、空気を心地よくリズミカルなカコン……という音で満たしていた。


トラの白黒の視界においてさえ、その敷地は驚くべきものだった。石の完璧で調和のとれたバランス、屋敷の暗い瓦屋根の優美な傾斜、そして美しく作られた障子戸を囲む広い木の縁側が見えた。


入り口のそばで完全に静止して立っていたのは、染み一つない、パリッとした黒い着物を着た年配の紳士だった。彼らが近づくと同時に、彼は完璧な90度のお辞儀をした。


「お帰りなさいませ、若旦那様。お帰りなさいませ、お嬢様。私めがお仕えいたします」執事は、最大限の敬意を払って彼らを迎えた。


ウサギはトラの手をきつく握った。心臓が胸から飛び出しそうだった。冷たい研究所ではない。灰に覆われた廃墟の王都でもない。それは美しく、平和な楽園だった。


トラは巨大な木造の屋敷を見上げ、灰色の目を絶対的で燃え上がるような決意で輝かせた。彼は織田信長を振り返り、小太りの商人に向かって小さな指を真っ直ぐに突きつけた。


「10年だって?」トラは背中の金の虎が太陽の光で輝くように胸を張って宣言した。「待ってろよ、オダ! 俺たち、ものすごく素晴らしい武器をたくさん作って、1年でこの屋敷ごとあんたから買い取ってやるからな!」


織田は頭を後ろに反らせて笑い、小さな新しいパートナーたちの燃えるような闘志を心底楽しんだ。「その金を私に渡してくれる日を楽しみにしていますよ、桜月トラ!」


彼らは帝国の崩壊を生き延び、着物屋で大商人を騙し、女神と魂を縛る契約を結んだ。しかし、ウサギとトラが巨大な新しい庭園の飛び石に足を踏み入れたその時、本当の冒険がついに始まろうとしていた。


その日の午後、ウサギとトラは山登りの疲れなど完全に忘れていた。年配で信じられないほど礼儀正しい執事の案内で、二人の新米桜月姉弟は一日中、絶対的な驚きで目を丸くしながら巨大な新しい敷地内を歩き回った。


敷地の隅から隅までが、大和の建築の傑作であり、探索する間、執事はそれぞれの美しいエリアの目的を辛抱強く説明してくれた。


彼らが最初に長く足を止めたのは、広大な庭園のまさに中心だった。水晶のように澄んだ鯉の池は、近くで見るとさらに大きかった。巨大で優雅な魚たちが水中をゆったりと泳ぎ、その鱗が太陽の光を反射していた。


「こちらは大和の最高級の鯉でございます、若旦那様」執事は両手を後ろで丁寧に組み、滑らかな口調で説明した。「家に幸運と平和をもたらすと言われております」


「でっかい!」トラは、重い金刺繍の絹の羽織のまま池の水面ギリギリまで身を乗り出し、息を呑んだ。彼の白黒の視界では、魚たちは水面下を滑空する巨大で光り輝く銀色の影のように見えた。


池のすぐ横には、美しい屋外の休憩所があった。傾斜した杉の屋根の陰に作られた、広くて一段高い木製のデッキだ。ウサギはトラが落ちる前にその襟首を優しく引っ張り、滑らかな木の板の上に座らせた。お茶をすすり、竹の筒の「カコン」というリズミカルな音を聞きながら、壁越しに舞い落ちるピンクの桜の花びらの果てしないシャワーを眺めるには、まさに完璧な場所だった。

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