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ざいあくひげき  作者: Balance
セーヌ帝国編
61/222

61話 月光

リスが素早く駆け出し、小さな前足に真っ赤なみずみずしいリンゴを抱えて戻ってきた。そしてそれをジャンヌのすぐそばに置いた。鳥たちは枝へと飛び上がり、新鮮で甘いベリーや柔らかいプラムを落とした。ウサギとアライグマがそれらの果物を寄せ集め、二人のそばに小さくカラフルな食べ物の山を作った。


食べ物を集め終わっても、動物たちは立ち去らなかった。夜は冷え込んでいたため、彼らはその点でも助けとなった。


ウサギたちは近づいてジャンヌの脚に丸く寄り添い、柔らかく温かい毛布の代わりになった。小さな鹿は冷たい風を遮るように彼らのそばに寝そべった。リスはふさふさの尻尾を、ラッキーの青白い頬にぴったりと丸めて当てた。


彼らを守ってくれる強い教官も、光り輝く魔法の盾ももうない。しかし、隠された森の真ん中で、優しい動物たちの輪と新鮮な果物に囲まれたジャンヌとラッキーは、完全に安全だった。


ピクッ。土の上で、ラッキーの人差し指がほんの少しだけ動いた。


ゆっくりと、極めて着実に、重い瞼が震えながら開いた。白と黒だけで描かれた世界が、視界にぼんやりと浮かび上がる。そこには青白い光と暗い影しかなかった。いつものように、湿った森の土の匂いも、近くに積まれた甘い果物の匂いも彼にはわからなかった。


全身が強張り、感覚が麻痺していたが、彼は確かに目覚めていた。


頭を左へ動かし、次にゆっくりと右へ動かして、色のない視界で周囲の状況を確認した。


その時、彼は自分の隣で眠っている巨人を見た。


それは草の上に完全に意識を失って横たわる、巨大で異質な存在だった。信じられないほど長身で――頭から爪先まで少なくとも12フィート(約3.6メートル)はある――どことなく人間のような形をしていたが、何十種類もの異なる生き物がつなぎ合わされてできていた。


ラッキーは灰色の目でそれを見つめた。


厚い縞模様の虎の毛皮の下に、巨大な胸を守る硬く輝くドラゴンの鱗が見えた。力強い脚の先は柔らかく静かな猫の足だったが、休ませている手は鋭く致命的な鷲の爪だった。頭には、ねじれたカモシカの角の下から、長く尖ったエルフの耳が突き出していた。


その顔は異様だった。8つのクモの目を持ち、現在はすべて深い眠りの中で固く閉じられていた。口はわずかに開き、長くて鋭い狼の牙と、大きくて平らなウサギの歯が隣り合わせになった奇妙な混ざり具合を見せていた。広い背中には、羽毛に覆われた壮大なフェニックスの翼が2枚、静かに折りたたまれていた。


その怪物の最も端の部分では、生きた蛇の頭が尻尾として草の上に休んでいた。蛇の尻尾もまた眠っており、ゆっくりと静かな寝息を立てていた。


それは、誰もが想像し得る中で最も恐ろしく、ごちゃ混ぜになった怪物だった。普通の人間なら悲鳴を上げて逃げ出していただろう。


しかし、ラッキーは全く恐怖を感じなかった。


彼はパニックにならなかった。念動力を使おうともしなかった。そこに横たわって巨大な獣を見つめていると、温かく柔らかな感情が胸の中に宿った。上手く説明できなかったが、この恐ろしい12フィートのキメラ(合成獣)に、深く馴染みのあるような懐かしさを感じたのだ。たとえ暗い森で迷子になっていようとも、この奇妙な眠れる怪物のすぐ隣に横たわっていることで、ラッキーは完全な、絶対的な安全を感じていた。


「ジャンヌお姉ちゃん?」


ラッキーの口から、無意識のうちに言葉がこぼれ落ちていた。それは純粋で、心の底からの直感だった。


しかし、自分の声を聞いた瞬間、彼は瞬きをした。完全な混乱に眉をひそめる。「待って、なんで僕、あんなこと言ったんだ?」彼は自分自身に囁いた。


彼はジャンヌがどんな姿か知っていた。彼女は剣を持った人間の女の子であり、翼と牙を持つ身長12フィートのキメラなどではない!


しかし、彼のかすれた声が森の静寂を破ってしまった。


巨大な生き物が動いた。その8つの暗いクモの目が、全く同時に見開かれた。草の上から蛇の頭の尻尾が持ち上がり、それ自身の小さな目を瞬かせた。


ほんの短く、沈黙の1秒間、巨大な怪物はラッキーと視線を合わせた。


そして、それはパニックに陥った。


身長12フィートで重厚なドラゴンの鱗に覆われた獣にしては、恐ろしいほどの速さで動いた。バサッ! 強靭な猫の脚が土を蹴る。巨人は狂乱して後ずさりし、鷲の爪が草の塊を引きちぎりながら急いで逃げようとした。


咆哮はしなかった。牙を剥いて攻撃することもしなかった。その代わり、怯えた小さなネズミのように飛び退き、背の高い松の木が密集している場所の裏へと飛び込んだ。


その隠れ場所はあまり良いものとは言えなかった。その生き物は単に巨大すぎたのだ。巨大で羽毛に覆われたフェニックスの翼が片側から無造作にはみ出し、ねじれたカモシカの角がもう片方から突き出していた。生きた蛇の尻尾が幹の後ろから顔を覗かせ、神経質そうにラッキーを見ていた。


その恐ろしく、無敵に見える怪物は、土の上に横たわる血まみれの小さな少年から必死に隠れようと震えていた。


「ジャンヌお姉ちゃん? 君なの?」ラッキーは再び声を張った。言葉を止めることができなかった。彼の論理よりも、直感が大きな声で叫んでいたのだ。


木の陰で、巨大な人型の生き物は激しく震え、その上の枝が揺れて数本の松葉が落ちてきた。


「ダメ! 放っておいて!」


森に轟いたその声は信じられないほど深く、かすれ、葉を震わせるほど強力だった。しかし、その怪物の咆哮の奥底には、彼にはわかる特有の音、聞き慣れたリズムとトーンがあった。


他の誰かであれば、恐ろしい獣が叫んでいるようにしか聞こえなかっただろう。しかしラッキーはただ咆哮を聞いたのではない。それを感じ取ったのだ。彼はその声を知っていた。


「ジャンヌ!」ラッキーは息を呑み、目を見開いた。「何があったの!?」


彼は筋肉のズキズキする痛みを無視した。顔の乾いた血を無視した。柔らかい土に手を押し付け、大きなうめき声を上げながら、無理やり立ち上がった。足はゼリーのように震えていたが、彼は一歩前に踏み出した。


「ジャンヌ、僕だよ!」ラッキーは、木々の密集した場所に向かってよろめきながら言った。


ドラゴンの鱗も、クモの目も気にしなかった。彼は手を伸ばし、影に隠れて震える巨人へと足を引きずりながら近づいていった。


密集した松の木から、巨大で重い涙が落ちてきた。それは普通の涙には見えなかった。リンゴほどの大きさがあり、草に水しぶきを上げ、小さな泥の水たまりを作った。


「私を見ないで! ただ……私を一人にして。お願い……」


声は巨大でかすれていたが、その泣き声はとても小さく、壊れそうに聞こえた。巨大な羽毛の翼が震え、蛇の尻尾は丸く縮こまり、木の幹の裏に隠れようとした。


「私……ただの怪物なの……」ジャンヌがしゃくり上げた。その泣き声が葉を揺らした。「私のことなんて忘れて、普通に生きて……お願い……」


ラッキーは振り返らなかった。逃げなかった。


代わりに、彼はふらつく、痛みに満ちた足取りでもう一歩前に進んだ。足は震え、再び気を失いそうだったが、灰色の目は隠れている巨大な姿にしっかりと向けられていた。


「普通に生きる?」ラッキーは尋ねた。声は静かだったが、とても確固としていた。「帝国全体が破壊されたんだ。お母さんもお父さんもいなくなっちゃった。僕たちは暗い森の真ん中にいる。今さら、何が普通なのさ、ジャンヌ?」


彼はもう一歩踏み出した。今や彼は松の木のすぐ隣にいた。彼女の巨大な鷲の爪が、神経質に土を掘り返しているのが見えた。分厚い虎の毛皮が、しゃくり上げるたびに震えているのが見えた。


「僕たちが街にいた時」倒れないように木の幹にもたれかかり、荒い息をつきながらラッキーは言った。「僕の魔法が完全に制御できなくなった時……皮膚が剥がれ落ちて、骨が砕けそうになった時……僕だって、怪物みたいに見えたはずだ」


彼はゆっくりと、血まみれの小さな手を差し出した。


「でも、君は逃げなかった」ラッキーは囁いた。「君は僕の血の水たまりの中に座って、僕を抱きしめてくれた。絶対に放そうとしなかった」


彼は小さな手を、彼女の巨大で鋭い鷲の爪の上にそっと置いた。巨大なキメラはビクッと身をすくませたが、ラッキーは手を引っ込めなかった。ただ、彼女の巨大な爪を優しく撫でた。


「クモの目だろうと、ドラゴンの鱗だろうと構わない」ラッキーは、身長12フィートの恐ろしい獣を見上げて言った。「僕にとって、君は怪物じゃない。君はジャンヌだ。僕の義理のお姉ちゃんだ。僕は君を置いていったりしない」


「ラッキー……」巨大なキメラはしゃくり上げた。その声は悲しみの雷鳴のように轟いたが、8つの目からこぼれ落ちる重い涙は完全に人間のものだった。


ラッキーは二人の間の距離を縮めた。小さく傷ついた腕を、彼女の太く鱗に覆われた腰に回し、胸の柔らかな虎の毛皮に顔を埋めた。弱く震える筋肉でできる限り強く彼女を抱きしめた。


「一緒にいるよ、お姉ちゃん」ラッキーは毛皮に顔を埋めて呟いた。

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