57話 助けて
*助けて。*
ジャンヌが立ち止まった。巨大な壊れた木材の山の下を見た。一般の市民――エプロンに小麦粉をつけたパン屋――が下敷きになっていた。重い梁が彼の脚に乗っている。
「時間がない」レオンが囁いた。「俺たちは逃げなきゃならないんだぞ」
「見捨てないわ」ジャンヌはきっぱりと言った。
彼らは王都が好きではなかった。ここの人々は無礼だった。しかし、Aクラスの面々は悪い子供たちではなかった。そのまま見捨てて立ち去ることなどできなかったのだ。
ユーゴが木材の山へ忍び寄った。彼は光を放たない。特別な力も使わない。ただ深呼吸をし、大きな手で重い木材を掴み、持ち上げた。顔は真っ赤になったが、彼は木材を高く掲げ続けた。
ジャンヌが手を伸ばし、パン屋を引きずり出した。男は泣きながら震えていた。
「シーッ」ジャンヌは唇に指を当てた。「静かにして。怪物に聞かれるわ」
ラッキーは地面を感じ取った。安全な、暗く小さな路地を指差した。「あそこへ行って。古い下水道のトンネルに隠れて。冷たいけど、怪物はいないから」
パン屋は頷き、素早くお礼を囁くと、足を引きずりながら暗闇の中へと消えていった。
彼らは進み続けた。閉じ込められている人を見つけるたびに――泣いている小さな子供、荷車の下敷きになった老婆、剣を失った衛兵――彼らは立ち止まって助けた。ガルドが岩を動かす。ユーゴが重いものを持ち上げる。ジャンヌとレオンが人々を引きずり出す。ラッキーが逃げるのに最も安全な道を教える。
彼らはすべてを完全な沈黙の中で行った。明るい光も、大きな音を立てる魔法もない。
彼らは疲れ果て、土埃にまみれ、恐怖に怯えていたが、燃える街の中をこっそりと進み続けた。ただひたすらに片足をもう片足の前に出し続け、巨大な街の門にたどり着き、ついに家に帰ることを目指して。
彼らは壊れた通りをこっそりと進み続けた。彼らが助けた怯える人々が、静かに後ろについて歩いていた。
突然、大きな破壊音が聞こえた。剣が重い岩に打ち付けられるような音だった。
彼らが崩れた壁の陰からそっと覗き込むと、そこにいたのはサイラス教官だった!
サイラスは、崩壊した大きな広場の中央にいた。服は引き裂かれ、ひどく疲れ切って見えた。彼は巨大な剣を振り回し、黒い怪物たちを叩き潰していた。彼の後ろでは、怯えた大勢の市民が泣きながら身を隠していた。
サイラスには助けもいた。輝く銀の鎧を着た『輝光協会』の戦士たち。その隣には、金と白のローブを着た『太陽神教会』の人々。皆、疲労困憊だった。鎧は汚れ、武器は刃こぼれしていた。
彼らは大ピンチだった。黒い怪物は影から次々と這い出してくる。サイラスが1体斬り捨てるたびに、さらに2体が這い出してくるのだ。攻撃は決して止まない。彼らを飲み込もうとする暗くうごめく波のようだった。
ラッキーは地面に触れた。太陽神教会の人々が、明るい治癒の魔法を使おうとしているのを感じた。
「あの魔法はダメだ」ラッキーは小さく言った。「怪物たちがその明るい光を食べている。それで怪物たちが大きくなっているんだ」
レオンは仲間たちを見た。先生を助けなければ。
ジャンヌが頷き、剣を掲げた。ルールは単純。魔法は禁止。筋肉と硬い金属だけだ。
Aクラスは壁の陰から飛び出した。叫び声は上げない。ユーゴが重く折れた木材を掴んだ。ガルドが巨大な石を拾い上げた。彼らは果てしない影を打ち砕くサイラスを助けるため、真っ直ぐ戦いの中へ飛び込んでいった。
ユーゴが最前線へ走る。彼は巨大な木材を野球のバットのようにフルスイングした。ドゴォォン! 黒い怪物が壁へと吹き飛んだ。
ジャンヌが剣を振るう。ズバッ! また1体怪物が砕け、ドロドロの黒い粘液になって溶けた。
サイラスが振り返った。疲れた目が大きく見開かれる。「お前たち、逃げろと言ったはずだぞ!」と彼は怒鳴ったが、その顔は彼らを見て嬉しそうだった。
「助っ人を連れてきました!」レオンが叫んだ。彼は火を使わず、重い金属の剣で怪物を強く殴りつけた。
ラッキーは太陽神教会の人々の元へ走った。彼らは手を掲げ、明るく温かい光を作り出していた。
「やめて!」ラッキーは叫んだ。「魔法はダメだ! 怪物がその輝く光を食べるんだ! 怪物を強くしてるだけだ!」
教会の人々は混乱した顔をした。だが、Aクラスの戦い方を見た。ユーゴが棒を使い、ガルドが石を投げているのを見たのだ。教会の人々は光を作るのをやめた。すると突然、黒い怪物たちは先ほどほど大きくも速くも見えなくなった。
戦士たちが怪物を叩き潰している間、クラスの残りのメンバーは怯える人々を助けた。
ミアとリリアが泣いている子供たちを抱きかかえた。フレヤとセリーナが老人たちの手を引いた。彼らはサイラスのグループにいた市民全員を引き寄せ、Aクラスがすでに救出した人々の中へ合流させた。
「真ん中に留まれ!」レオンが命じた。「大きな円を作るんだ!」
全員が協力した。戦士たちは自分たちの体で強固な壁を作った。ユーゴ、ガルド、サイラス、そして輝光協会の騎士たちが外側に立った。彼らは剣、盾、そして大きな岩を使って影を押し返した。
怯える市民たちとラッキーは、円の中で安全に守られていた。
叩き潰す。殴る。押し返す。派手な魔法は一切使わない。チームワークと強靭な腕力だけを使った。少しずつ、彼らは全員を壊れた広場の中央の、一つの大きく安全な集団へとまとめ上げた。
黒い怪物は止まらなかった。サイラスや騎士たちが1体潰すたびに、壁のひび割れからさらに多くが這い出してきた。決して引くことのない暗い潮のようだった。
サイラスは顔の黒い粘液を拭い、激しく息をついた。彼は積み上がる怪物の死骸の山を見て、次に円の中央で縮こまる怯えた市民たちを見た。彼らの体力が限界に近づいていることはわかっていた。
「キリがないぞ!」輝光協会の騎士の一人が叫んだ。彼の盾は重い一撃を受けて歪んでいた。
サイラスは頭を向け、レオンと視線を合わせた。その表情は厳しく、すでに過酷な決断を下した指揮官の顔だった。
「レオン!」サイラスは道を切り開くために剣を振り回しながら咆哮した。「子供たちを連れて行け! 市民を連れてここから逃げるんだ!」
「嫌です!」レオンは剣を掲げて叫び返した。「まだ戦えます!」
「これは訓練じゃないんだ!」サイラスは怪物の爪を弾きながら怒鳴った。「ここにとどまれば全滅する。命令だ! 西の門へ向かえ! あっちの道の方がまだマシだ!」
ジャンヌが顔を青ざめさせながらレオンの腕を掴んだ。彼女は影の群れを見て、次に市民の集団を見た――自力では走れないほど弱り切った男たち、女たち、子供たちを。
「先生の言う通りよ」ジャンヌは震えながらも毅然とした声で言った。「人々を守る。それが私たちの任務よ」
サイラスは反論を待たなかった。他の大人たち――騎士と神官――に合図を送った。彼らは前に踏み出し、盾を合わせ、生徒たちと怪物の波の間に鋼と鉄の壁を作った。
「行け!」戦いの騒音を切り裂くように、サイラスが号令をかけた。
ラッキーは、何千もの怪物が近づいてくる地面の振動を感じた。サイラスや大人たちが自分たちについてくるつもりがないことに気づいたのだ。彼らは、立っていられなくなるまで広場を死守するつもりだった。
「先生!」混沌の中で失われそうな小さな声で、ラッキーが叫んだ。
サイラスは振り返らなかった。ただ巨大な剣を持ち上げ、盾の壁を飛び越えようとした怪物を叩き潰した。「振り返るな、ラッキー! 走れ!」
レオンは歯を食いしばり、剣の柄を握る手をきつく締めた。彼らに少しでも時間を稼ぐために、すべてを犠牲にしている大人たちを見た。彼はクラスの方へ向き直った。
「陣形を組め!」レオンが叫んだ。ついにその声は、サイラスが望んだ「リーダー」の響きを持っていた。「市民を守れ! 誰一人倒れさせるな! 走るぞ!」
Aクラスは怯える人々の集団の周囲に強固なブロックを形成した。彼らは動き出し、砕けた石を強く踏みしめながら、広場からできるだけ速く遠ざかった。ラッキーは頭を下げ、カバンを握りしめ、教官との距離が開くにつれて戦いの音が小さくなっていくのを聞いていた。
彼らは暗闇の中へ走り出した。自分たちを守ってくれる唯一の大人たちを、戦いの中へ置き去りにして。
彼らは全力で走った。ユーゴとガルドが疲れた人々を支えた。ジャンヌとレオンは先頭で道を示した。街の門は着実に近づいていた。
しかし、彼らの運は尽きていた。




