22話 ディルス『宝玉の猛攻、悲哀の忘却騎士団』
「みんな、門から離れて!!」ラッキーは純粋なパニックに陥って叫んだ。
しかし、彼が叫んだまさにそのミリ秒、門のところにいた男が手を振った。ビジョンを完璧に再現するように。
**ドォォン!**
破壊的で高周波の目に見えない圧力が中庭を襲った。サイラス、ローランド、ジャンヌ、そして他の生徒たちは突然膝から崩れ落ち、ハリケーンの中の蝋燭のように、暴力的に意識を吹き消された。一人、また一人と、彼らは芝生の上に倒れ伏した。
立っているのはラッキーだけだった。彼は激しく喘ぎながら、無造作にこちらへ歩いてくる絶対的な暗闇の存在に、色のない目をロックオンしていた。
「起きているのは君だけか」男の声が、ラッキーの頭蓋骨の中に直接響き渡った。冷たく、虚ろで、感情の欠片もない声。「未来を目撃するために犠牲になった目、か……」
ラッキーは念動力を放とうと両手を上げようとしたが、大気圧のせいで体が1トンのように重く感じられた。
「抗うな、小さな者よ」男は今や、彼の真正面に立っていた。
男はマントの中に手を入れ、1枚の銀貨を取り出した。ラッキーの目には、そのコインは耐え難く、目を潰すような暗闇を放っていた。「教えてくれ、未来を視る者よ……今日、自分に何が起こるか視えるかな?」
ラッキーは歯を食いしばり、コアから最後の一滴までエネルギーを絞り出して、心を曇らせる灰色の霧の向こうを見透かそうとした。未来が見たかった。この歩くブラックホールからどう逃れればいいかを知りたかった。しかし彼の視神経は苦痛の悲鳴を上げた。この男を取り巻くタイムラインを覗き見ようとするたびに、真っ黒なベールがバタンと閉まり、視界を遮るのだ。
「君には私の未来は視えないよ、ラッキー」男は数インチの距離に顔を近づけて囁いた。「なぜなら私は、この世界に『存在してはならない変数』だからだ」
男が銀貨を弾いた。**チーン!**
金属的な高音が不自然に響き渡り、ラッキーの骨を激しく振動させる共鳴波を引き起こした。ラッキーは膝をつき、両手を土に叩きつけた。彼の灰色の世界の中で、中庭にあるすべての環境魔力が激しくコインへと吸い込まれ、息が詰まるような真空状態を作り出していくのを、彼は恐怖とともに見つめた。
「やめろ……」ラッキーは呻いた。彼は近くで微動だにしないジャンヌを見た。彼のお姉ちゃんは、生命力のない灰色の彫像のように見えた。ラッキーの胸の内に純粋な怒りの火花が点火し、目の激痛よりも遥かに熱く燃え上がった。
「ほう? まだ怒る力が残っているのか?」男は声を立てて笑った。「魅惑的だな」
ラッキーは屈服することを拒否した。もしこの男の未来が見えないなら、現在のこの瞬間を支配してやる。頭を引き裂くような痛みを無視し、ラッキーは体内でランクDの念動力を起動した。男を直接攻撃することはしなかった。代わりに手を伸ばし、中庭に散らばっていた何十個もの金属製の虚無のドローンを乱暴に引き寄せた。
「今だ!」
**シュンッ!**
何十個もの重い金属球が、弾丸のような速度でフィールドを横切って発射された――男に向かってではなく、ラッキー自身に向かって真っ直ぐに。それらが彼を粉砕する数分の一秒前、ラッキーは念動力をねじり、自分自身の体の周りに超高速の運動の渦を作り出した。球体は鋼鉄のハリケーンのように回転し、コインから放たれる抑圧的な周波数を物理的に切り裂く巨大なキネティック・シールドを生み出した。
背の高い男はわずかに後ろに下がり、本気で驚いた様子を見せた。「訓練用のドローンを運動信号の増幅器として使うとは。なんという創造性だ」
「みんなから……離れろ!!」ラッキーが咆哮した。最後の一撃、爆発的な押し出しとともに、彼は渦を起爆させ、金属球を散弾のように外側へ吹き飛ばした。
**ドガァァァン!**
爆発は巨大な土煙を巻き上げ、コンクリートを砕いた。その勢いを利用して、ラッキーはジャンヌに向かって必死に這い進み、自分の体で彼女を覆い隠した。しかし土煙が晴れると、男はまだそこに立っており、散弾の傷一つ負っていなかった。
中庭は死んだように静まり返った。ラッキーは空気を求めて喘いでいた。鼻と耳から温かい血がとめどなく流れ出し、彼の目には真っ黒に見える芝生の上にポタポタと滴り落ちていた。
「今日はこれくらいにしておこう」男が言った。声は大きくなかったが、それは死の鐘のようにラッキーの脳を打った。男は優雅にコインをポケットにしまった。
「私の名はディルス。『宝玉の猛攻、悲哀の忘却騎士団』の幹部だ。私の名を記憶に刻み込むがいい、ラッキー。今夜から、君の夢はもはや君自身のものではなくなるのだから」
ディルスは一歩後ろへ下がった。彼の体は門の影へと溶けていくように見え、空間の真空に吸い込まれ、完全に姿を消した。瞬時に、押し潰すような圧力が消え去った。ラッキーは肺いっぱいに空気を吸い込んでむせた。千里眼の絶対的な過労により、頭を斧で割られたかのように感じられた。
「ラッキー? ラッキー!」
耳鳴りを突き破って、サイラスのかすれた声が聞こえてきた。このベテラン教官は、純粋な肉体の耐久力でディルスの残留エネルギーを跳ね除け、誰よりも早く抑圧から立ち直ったのだ。彼は全速力で駆け寄り、少年が顔から土に倒れ込む寸前で、その小さな体を抱きとめた。
「先生……あの男が……」ラッキーは震える指で弱々しく誰もいない門を指差し、その後、ついに暗闇が彼の意識を奪い去った。
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**2時間後:アーサー校長室**
部屋の空気は、呼吸するのさえ困難に感じるほど重苦しかった。サイラスは腕をきつく組んで窓辺に立ち、エララ教授は死人のように青ざめた顔で魔法の監視モニターを見つめていた。
「魔法の再生映像には、絶対的に何も映っていません」エララは首を横に振り、声を震わせた。「カメラに映っているのは、ラッキーが突然叫び出し、全員が同時に倒れ、ラッキーが何もない空間に向かって野生のように必死の攻撃を仕掛けた後、気絶する姿だけです。視覚的にも、魔法的にも……ディルスという男は、存在していなかったかのようです」
「だがラッキーはあいつを見たんだ!」サイラスが激怒して目を燃やしながら吠えた。「それに、ラッキーの攻撃は盲目的なパニックじゃない。あいつは、俺たち全員を気絶させた周波数を弾き返すためにキネティック・シールドを展開したんだぞ。もしラッキーがいなかったら、俺たちはあの抑圧から二度と目を覚まさなかったかもしれない」
アーサー校長は長く、疲れ切ったため息をついた。彼の目は、机の上に残された唯一の物理的な証拠――ディルスが立っていたまさにその場所で見つかった、銀貨の砕けた小さな破片――に釘付けになっていた。
「『宝玉の猛攻、悲哀の忘却騎士団』……」アーサーは険しい顔で呟いた。「南部のカルト集団だ。存在と魔法こそがすべての悲しみの根源であり、歴史から完全に消し去られなければならないと根本から信じている組織。ディルス……奴の狙いはラッキーだ。現在のランクDの力ではなく、彼の『千里眼』が目当てなのだ。彼らは封印された『忘却の鍵』を見つけ出すために、『未来を渇望する目』を利用しようとしている」
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**ラッキーの夢の中……**
ラッキーは、果てしなく続く荒涼とした灰色の荒野の真ん中で目を覚ました。死んだような静寂。しかし、彼の夢の風景の空には、巨大なブラックホールが引き裂くように開き、冷たく無感情な目のように彼を見下ろしていた。
「この世界には色がないな、ラッキー」ディルスの声があらゆる方向から響き渡り、ラッキーの魂そのものに染み込んできた。「だが私と共に行けば、君はついに暗闇の向こう側にあるものを見ることができる。君のサイラス先生や、あの世間知らずのお姉ちゃんには決して理解できない真実を」
ラッキーは拳を握りしめた。この夢の世界では、杖は必要なかった。荒涼とした灰色の中でも、彼は背筋を伸ばして堂々と立っていた。「お前の歪んだ真実なんていらない! 僕は、僕のやり方でみんなを守る!」
突然、記憶の最深部に手を伸ばし、ラッキーは強制的に『何か』を呼び出した。純粋な青いエネルギーの刃――ジャンヌがいつも彼を守るために使っていたのと全く同じ武器――が、彼の手の中に実体化した。この抑圧的で灰色の悪夢の真ん中で、その刃は、眩く純粋な『青』を放つ唯一の物体だった。
「ほう?」ディルスの声に、虚無そのものが歪んだかのように、微かな苛立ちが混じった。「私の次元に『色』を持ち込むと? なんと大胆な」
ラッキーは剣を高く掲げた。色覚を失った彼の目は今、新しく得た揺るぎない決意で燃えていた。彼はある重要なことに気がついたのだ。視神経が焼き切れ、物理的な世界は灰色になってしまったかもしれないが、彼の魂は未だに、彼がこれまで感じてきた愛、希望、そして勇気のすべての色を、鮮やかに保持しているのだと。
「これは僕の夢だ」ラッキーは鋭く囁いた。「そしてここでは、僕が支配者だ!」
破壊的な青い光の一撃とともに、ラッキーは夢の空の息の詰まるような暗闇を切り裂き、自らの意識を暴力的に現実の世界へと引き戻した。
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**指揮者**
**医務室:朝**
ラッキーは目を開けた。窓から差し込む朝日が温かく感じられた。彼の手の目には、それがただ眩しく白く輝く光にしか見えなかったとしても。ベッドのそばでは、ジャンヌ、ローランド、そして1年Aクラスの全員が待っていた。彼らの不安げな顔が、即座に深い安堵へと溶けていく。




