42話 悲劇の時代
威圧的なトーンに、ダンテは身をすくめた。ゆっくりと、苦悶を伴いながら、彼は震える手を下ろした。
彼は彼女を見た。いつも防壁として浮かべていた気取り屋の薄笑いは消え去っていた。彼の銀色の瞳は血走り、溢れ出んとする涙で満ち、あらゆる取り繕いや貴族の甲冑を剥ぎ取られていた。その虚飾を削ぎ落とされた無防備な一瞬の中、ジャンヌは不意にそれを「理解」した。
それは髪の色でも、瞳でも、属性能力でもなかった。アゴの形。頑なで必死な眉間の皺。ラッキーの心臓を動かし続けるために、自身の生命力を燃やして見せたあの絶対的で自己犠牲的な無鉄砲さ。
彼はラッキーと全く同じ頑固さを持ち、それがジャンヌ自身の獰猛で不屈な保護本能と完璧に重なり合っていた。
「何も言わないはずだったんだ」二人を見つめながら、ダンテは声を震わせて囁いた。「時間歪曲……こちらへ越えてくるときのエーテル・クォーツの共鳴……歴史のタイムラインには干渉せず、ただ二人を生かし続けることだけが絶対の命令だった……」
彼は頭を手すりに預け、乾いた自嘲の笑いを漏らした。
「だが、あいつが精神を引き裂かれるのを黙って見てなんていられなかった」意識のないラッキーの姿へ弱々しく手を向けながら、ダンテは掠れた声で言った。「もう二度と、父さんを失いたくなかった。もう二度と……二人を失いたくなかったんだ」
ジャンヌの頭が眩暈を起こした。奪われた双子。まだ見ぬ四つ子。時間。
「あなた……誰なの?」信じがたい現実がじわじわと染み込んでいく中、ジャンヌの声は震える呟きへと落ちた。彼女は自分の腹部を見下ろし、それから甲板で血を流す大人の男へと視線を戻した。「ダンテ……あなたは本当は誰なの?」
《安宅船 II》の船体に打ち寄せる大波の音は、完全に白く塗られたような環境音へと消え去った。
ジャンヌの息が止まった。彼女の手は本能的にラッキーの黒髪から離れ、自らのお腹をそっと押さえるように降ろされた。甲冑の革と鋼鉄の下には、四つ子の命が宿っている。わずか二週間ばかり。信じがたい旅のストレスに耐えながら生きようと戦っている、細胞の塊に過ぎない命。
彼女は目の前で跪く、大人の男性を見つめた。銀色の髪。属性の完全なる掌握。そして、彼の任務が背負う圧倒的で圧殺的な重荷。
「俺は今、お母さんの中にいるんだ」とダンテは言った。
「あなた……」ジャンヌの声は、冷たい海風に震える一筋の細い糸に過ぎなかった。「あなた、あの子たちのうちの一人なのね。私の……私の息子なのね」
ダンテにはもう、彼女の目を正視する力すら残っていなかった。船に気取りながら乗り込み、彼らの計画を嘲笑し、己の富を誇示していた貴族の用心棒は消え去り、悲しみに暮れる一人の切羽詰まった子供だけがそこに残されていた。彼は血に染まった頬に涙を溢れさせながら、痛々しく、引きつった動作で一度だけ頷いた。
「俺たちの時代では」ダンテは受け継いできた生涯の悲しみに声を詰まらせて吐き出した。「俺たちが生まれた時……一度も父さんに会えなかったんだ」
彼はジャンヌの膝の上で絶命したように横たわるラッキーを見やった。灰色の霧に薄暗く照らされる、念動力者の青白く傷ついた顔。
「お母さんは、父さんが死んだって俺たちに教えてくれた」自らの激しい震えを止めるように膝を抱え込みながら、ダンテは囁いた。「どうやって死んだのかは、絶対に教えてくれなかった。ただ、俺たちが産声を上げるより前にいなくなったんだって。アーニャ姉さんとフィン兄さんだけが……父さんを覚えていた。二人はいつも俺や弟妹たちに、父さんの話をしてくれたんだ。どんなに勇敢だったか。俺たちのために、世界全体とどう戦ったのかを」
ダンテは絞り出すような、荒いすすり泣きを漏らした。インフェルノとコキュートスを統べる達人には、およそ似つかわしくない音だった。「その話は、すごく綺麗だった。でも……いつだって結末は悲しかったんだ。いつも父さんが死んで、お母さんが泣きながら眠りにつくところで終わるんだ」
パズルの一片が一瞬にしてジャンヌの頭の中で激しく組み合わさり、この瞬間まで決して理解することのできなかった全貌を完成させた。
すべてに筋が通った。
なぜ名門貴族の精鋭属性使いであるダンテが、おかしなほどお尋ね者の船大工と指名手配犯の念動力者に執着していたのか。なぜ彼が雇われの契約など越えた狂暴さで、彼らとあらゆる危険の間に立ち塞がり、身を挺して守り続けていたのか。なぜ彼が今、ラッキーの心臓を動かし続けるために自らの生命力を燃やしたのか。
彼は世界を変えるためや、壮大な戦争を書き換えるために過去へタイムトラベルしてきたのではなかった。
彼はただ、父親に会うために――父親を救うために、現実の理を引き裂いてやってきたのだ。
「ダンテ……」ジャンヌは息を呑んだ。
「もう、あの未来では生きていけなかったんだ、お母さん」ダンテは泣きじゃくった。「お母さん」という言葉が自然と漏れ出し、ジャンヌの胸を真っ直ぐに撃ち抜いた。「俺は十年間、エーテル・クォーツの時間共鳴を研究した。ここへ戻ってくるためにすべてを捨てたんだ。結末を書き換えるって、自分に誓ったんだ。父さんを守り抜いて、本当の家族になるんだって。なのに……あの精神攻撃……俺の力が足りなかった。もし父さんの精神が戻らなかったら……」
ダンテは震える自分の両手を見下ろし、指先で消えかかっている氷と炎の属性の火花を見つめた。「ここで父さんが死んだら……俺は失敗したことになる。時間そのものを破ったのに、それでも失敗したんだ」
ジャンヌの内で、天地を揺るがすような決定的な変化が起きた。
彼女を意識の混濁へと引きずり込もうとしていた疲労が一瞬で蒸発し、代わりに純粋で無垢な母性としての怒りが湧き上がった。宇宙はすでに彼女から多くを奪いすぎていた。故郷を奪い、さらわれた双子を奪い、そしてこの未来から来た泣きじゃくる男によれば、夫までも奪おうとしているのだ。
絶対に容認できなかった。
ジャンヌは身体の重みを移動させ、片腕でラッキーの頭を慎重に支えると、空いた手で迷わず手を伸ばした。彼女はダンテの台無しになった濡れたコートの襟元を掴み、強化された運動能力で力ずくで引き寄せた。
ダンテは息を呑み、甲板を引きずられて驚いたが、ジャンヌがラッキーのすぐ隣、自らの肩の上に彼の頭を押しつけるように抱きかかえて初めて止まった。
「よく聞きなさい」ジャンヌは激しく、絶対的な口調で命じた。彼女はダンテの震える肩に腕を回し、未来から来た大人の息子を、膝の上の意識のない夫と同じ強さで抱きしめた。
「あなたは失敗なんてしていない」ダンテの銀髪に顔を埋め、ジャンヌは烈火のごとく囁いた。「あなたはあの人の心臓を守ったの。チャンスを繋いだのよ。そしてあの人の心臓が動いている限り、そんな悪い結末なんて絶対に認めない。言っている意味がわかる!?」
ダンテは目を固く閉じ、この壊れた世界で初めて実母の肉体的温もりを感じながら、彼女の肩に顔を埋めて震える息を吐き出した。
「あの人は今日、絶対に死なないわ、ダンテ」果てしない霧を見つめながら、彼女のピンク色の瞳が微かに輝き、強烈な決意とともに運動エネルギーのオーラが再点火した。「あなたがどんな未来から来たなんて関係ない。私たちが新しい未来を書くのよ」
ダンテはジャンヌの肩からゆっくりと身体を離したが、胸は未だに激しく上下していた。告白によって彼の中のダムが決壊し、大切に隠し持っていた残りの秘密が、血に染まった甲板の上に溢れ出し始めていた。
「だから……俺も精神攻撃の打撃を受けたんだ」ダンテは告白し、銀色の瞳を濡れたリヴァイアサン骨へと落とした。彼は完全に敗北した顔をしていた。「俺はただの属性使いじゃない。Bランクの能力……『幻影』を持っている。父さんと同じなんだ」
ジャンヌは瞬きし、その事実を噛み締めた。恐ろしいほど辻褄が合った。怪物は活動中の精神シグナルを狙い撃ちにしたのだ。ラッキーの巨大で制御不能な念動オーラは避雷針として機能したが、ダンテの局所的で維持され続けていた幻影も、彼を激しい集中砲火へと巻き込むには十分な周波数だったのだ。
「常に発動させておかなきゃならなかった」貴族のコートの破れた端を握りしめながら、ダンテは呟いた。「獣の身体の部位を隠すために使っていたんだ。俺たちが持って生まれてきた変異を……」
あの絶望的な未来での恐ろしい出産の状況や、銀髪の貴族という美しく維持された幻影の下に何が隠されているのかについて、彼が詳しく語ることはなかった。代わりに、危険で絶対的な狂信性が彼の表情を硬くし始めた。切羽詰まった恐怖の子供は消え去り、命捨て身の目的を持って時間を超えてきた一人の男が再び姿を現した。
ダンテは片膝で力ずくで立ち上がった。彼はラッキーの蒼白で動かない顔を見下ろした。
「手段はどうあれ、父さんを救わなきゃいけないんだ」ダンテの声が一段低くなり、恐ろしいほどの決意を帯びて響いた。彼は手のひらにインフェルノの小さな火花を点火させ、ラッキーの胸へ再び生エネルギーを注入する準備をした。「たとえ俺の命と引き換えになっても。二人さえ生き残れば、俺の存在なんてどうでも――」




