39話 消える
幾分かの間、《安宅船 II》の乗組員にとっての最大の脅威は、自分たちの反乱を起こした胃袋だった。暗い海の穏やかな揺れは、先ほど生き延びた終末的な試練に対する残酷な嘲笑のように感じられた。
その時、海が動きを止めた。
単に穏やかになったのではない。凍りついたのだ。うねる波が一瞬で平坦になり、水面は黒いガラスでできた完璧で恐ろしい鏡へと変わった。風が完全に死んだ。海風の周囲音さえ消え去った。
息の詰まるような、絶対的な真空の静寂が船を襲った。気圧の暴落があまりにも激しく、彼らの肺の中にある空気が物理的に喉元へと引っ張り出されるほどだった。
舵輪の前で、ヴァンス船長の鍛え上げられた直感が悲鳴を上げた。何が来るのかは分からなかったが、彼は海を知っていた。世界がこれほど深く息を殺す時、それは叫び声を上げる直前なのだ。
「衝撃に備えろ!!」ヴァンスが咆哮した。ジャンヌがエーテル・クォーツ駆動部に直接融合させた舵コンソールの重い光るレバーへ、彼は拳を叩きつけた。
ズゴォォォォン!
現実が引き裂かれるわずか一瞬前、船のコアの紫色エネルギーによってのみ駆動する巨大な幾何学状のイージス・シールドが展開し、超級戦艦を硬質光の輝く強化ドームで包み込んだ。
それは音ではなかった。絶滅事象だった。
推定1000デシベルの純粋な、世界を崩壊させる破壊的音響エネルギーが地平線全体で爆発した。その音量においては、音は単なる騒音であることをやめ、局所的な物理法則の圧殺的歪みと化す。
衝撃波は落ちてくる月ほどの威力で《安宅船 II》に激突した。紫色のイージス・シールドはあり得ない圧力のもとで即座に悲鳴を上げ、内側へと歪み、眩しいヒビの蜘蛛の巣を走らせた。シールドの外側では、海は水しぶきを上げるどころか――一瞬で原子化された。何百万ガロンもの海水が音波の絶大な運動摩擦によって一瞬で急速蒸気化し、周囲の海を沸騰する白い霧の眩しい雲へと変えた。
シールドの内部でも、エネルギーの99%が逸らされたにもかかわらず、残留した音響は悶絶するほどだった。
甲板が激しく振動し、ラッキー、ジャンヌ、ダンテの身体がリヴァイアサンの骨から物理的に一インチ浮き上がった。船酔いは瞬時に吹き飛び、耳を聾する咆哮が歯をガタガタと震わせ、鼓膜を破らんとする中、純粋で原始的な恐怖が彼らを支配した。補強されたコンテナの中で、アーニャとフィンは両耳を強く押さえて悲鳴を上げたが、その声は咆哮にかき消されて全く聞こえなかった。
ヴァンス船長は膝をつかざるを得ず、イージス・シールドの紫色の光が危険に点滅する中、鼻から血を流しながら舵輪を死に物狂いで掴んでいた。
「持ちこたえろ!」ジャンヌの急ごしらえの溶接が砕けないことを知る限りの神に祈りながら、ヴァンスが叫んだ。
そして、襲いかかってきた時と同じくらい唐突に、衝撃波の頂点が過ぎ去った。
耳を聾する音量は、船体を共鳴させる低い、骨を揺さぶる轟音へと減衰していった。イージス・シールドは猛烈な圧力が均一化するにつれ、ブーンという音を立てて安定した。外側では、蒸気化していた海が土砂降りの重い大雨となって船の上に降り注ぎ始めた。
ラッキーは甲板から無理やり身体を起こした。耳から垂れる一筋の血を拭うと、本能的に金色のオーラが燃え上がった。船酔いはアドレナリンによって完全に上書きされていた。
「何だ……今のものは何です!?」貴族的な気品を永遠に打ち砕かれ、銀の杖を使って身体を引きずり上げながらダンテが喘いだ。「リヴァイアサンか? それとも神か!?」
「島よ!」ジャンヌが叫んだ。足早に立ち上がり、船尾の方を見やった。攻撃を受けている場合に備え、彼女のピンク色のオーラが点火して船体を操る準備を整えた。「『ヘブンリー・パラダイス』から来たに違いないわ!」
だが、イージス・シールドの強化された紫色ドーム越しに外を覗き込んだ三人の戦士の血は凍りついた。
咆哮は今なお木霊していたが、彼らの後方へ去っていくのではなかった。彼らの「周囲」で響き渡っていたのだ。
「違う」恐ろしいほど静まり返り、濃霧に覆われた海を見回しながら、ラッキーが囁いた。「島からじゃない」
彼は暗く重い空を見上げ、そして船体の下の漆黒の海の深淵を見下ろした。咆哮の低い超低周波振動は頭上の雲から反響し、遠い地平線で跳ね返り、そして底知れぬ深海の手から立ち上っていた。
音は完全な「全方位」から発せられていた。どこにでも存在していたのだ。
彼らは『ヘブンリー・パラダイス』にいる何かから逃げていたのではなかった。地下洞窟を破壊した時に覚醒させた何者かは、もはや島の中だけに収まってはいなかった。それは彼らと共に暗闇の外洋におり、たった今、全宇宙に向かって自らの存在を宣言したのだ。
蒸気化した海の土砂降りは次第に弱まり、重く不自然な雨は纏わりつくような濃霧へと変わっていった。ヒビの入ったイージス・シールドの紫色ドームの内側で、《安宅船 II》の乗組員は凍りついたまま、二度目の衝撃波が来ないか胸を激しく上下させて待っていた。
全方位から響く、骨を揺さぶる低音の轟音は、ゆっくりと絶対的で息の詰まる静寂へと消えていった。
「船長」低く切迫した声でラッキーが言った。「シールドを下ろしてくれ。コアを消費しすぎている」
ヴァンスは反論しなかった。震える手で重いレバーを引き戻した。紫色の硬質光が光る粒子となって砕け散り、黒い甲板が再び冷たく湿った海風に晒された。
ダンテは銀の杖に重々しく寄りかかっていた。顔色は未だ蒼白だったが、衝撃波の凄まじい恐怖が彼の船酔いを完全に冷まさせていた。彼は杖を一度一回転させ、凝縮された属性の風を吹き出させた。風は外側へと一気に広がり、視界を確保するために船から濃い白霧を力ずくで吹き払った。
「島の被害を確認する必要があるわ」顎から塩水と血の混ざったものを拭いながらジャンヌが言った。彼女は甲板を蹴って立ち上がり、後部手すりへと向かった。「もし今の衝撃波が『ヘブンリー・パラダイス』を直撃していたら、シンジケートの勢力は全滅しているかもしれない。引き返して双子を探す隙ができるわ」
「わずか1キロほどしか離れていなかったからな」ラッキーも船尾で彼女に加わり、同意した。金色の目を細め、晴れゆく霧の中をじっと見つめる。「火山煙がそこに見えるはずだ。断崖も。中央基地も」
霧が完全に晴れ、後方の地平線があらわになった。
ジャンヌは息を止めた。
ラッキーの手は、冷たいリヴァイアサン骨の手すりをゆっくりと握りしめた。高密度の素材が、彼の指の下でメリメリと音を立ててヒビ割れた。
「ヴァンス」感情の完全に欠落した声で、ラッキーが囁いた。「進路を確認しろ」
「進路は保ってるぜ、お坊ちゃん! 真西だ!」舵輪からヴァンスが叫び返した。彼は船のコンパスを収めた重い真鍮の羅針箱を見下ろした。ガラスを一度叩いた。そして二度。「地磁気が狂ってやがる。針がコマみたいに回っていやがるが、星も風も俺の頭に入ってる! 船は旋回しちゃいねえ!」
「なら、どこに行ったの……?」声を震わせ、ジャンヌが尋ねた。
ダンテがゆっくりと歩み寄り、船の後方で二人に並んだ。彼の銀色の瞳に、空の冷たい灰色の曇り空が映り込んでいた。
火山の煙など存在しなかった。天から降り注ぐ炎の灰もなかった。地下深淵を囲んでいた巨大なそびえ立つ石の断崖も消えていた。広大で強固に要塞化されていたシンジケートの港も消えていた。
『ヘブンリー・パラダイス』――数万人の傭兵、広大な地下洞窟、そして山脈を擁していたはずの島そのものが、跡形もなく消失していた。
瓦礫の山もなかった。漂流する残骸もない。押しのけられた海水が作る渦すら存在しない。ただ、地平線の彼方まで完璧に伸びる、恐ろしいほど平坦で無機質な暗い空の海が広がるだけだった。
「島が一瞬で沈むわけがないわ……」パニックでピンク色のオーラを激しく明滅させながら、ジャンヌは手すりから後ずさりして狼狽えた。「たとえ構造プレートが崩落したとしても、礁が残るはずよ! 水の移動があるはずだわ! 渦だってできる! マグマだけでも黒曜石に固まるまで何日もかかるはずなのに!」
「沈んだのではありません」杖を握る手に力を込め、ダンテが静かに言った。彼のいつもの傲慢さは、冷たく這い寄る恐怖に完全に取って代わられていた。
ラッキーは誰もいない無の海を見つめた。頭の中で、悪夢のパズルのピースがようやく一つに噛み合わさった。猛烈な地震。高さ50メートルの巨大津波。沸騰する海。指向性を持たない1000デシベルの咆哮。
「あの咆哮は、島から発せられたものじゃなかったんだ」甲板の下の暗い水を見下ろし、顔から血の気を引かせながらラッキーは悟った。「あれは……『何か』が島を喰らった音だったんだ」
寒々しい風が甲板を吹き抜け、超級戦艦の黒い帆をバタバタと揺らした。彼らはモンスターの島から逃れるために戦艦を造ったのだった。だが、その島自体が、遥かに、途方もなく巨大な「何か」によって丸ごと呑み込まれてしまったことに、今さら気づいたのだ。
そして今、彼らはまさにその怪物の領域の真真ん中に浮いていた。




