3話 失った
双子の下の血に染まったシーツが、突如として波打ち始めた。
薄れゆくジャンヌの視界がその動きを捉えるよりも早く、消滅した怪物のきらめく灰色の塵が、まるで磁石に吸い寄せられる鉄粉のように床から跳ね上がった。それは肉体を形成するのではなく、ヨーカとヒノラの真下で、ギザギザとした漆黒のルーン文字が渦巻くヴォルテクス(渦)へと変形した。
アノマリー(異常存在)は最初からこれを計画していたのだ。最初の攻撃は彼らの**Bランクのコア**を枯渇させるための罠。精神支配はジャンヌを強制的に戦線離脱させるための罠だった。
「ま……ママ!」
闇の渦が自分を飲み込み始めると、ヒノラは小さな手を空中に伸ばして叫んだ。ヨーカも悲鳴を上げ、虚空が自分を暗闇へと引きずり込む中、その銀色の瞳を恐怖に見開いた。
ジャンヌは息を呑み、心臓が数百万の破片に砕け散るのを感じた。二振りの短剣が腹部をさらに深く引き裂くのも構わず、彼女は上半身を前に投げ出し、両手を広げて飛びついた。彼女の血に染まった指先がヨーカの毛布の柔らかい生地をかすめた――娘の腕を掴むまで、あとわずか一インチのところだった。
――パチン。
渦が閉じた。空間は虚しい、反響するような破裂音とともに遮断された。
双子は消えた。部屋は完全に、徹底的に空っぽになった。
ジャンヌの両手は、血に染まったマットレスの上に重々しく落ちた。すでに生存の限界まで追い詰められていた彼女の精神は、完全に崩壊した。自らつけた傷の肉体的な激痛など、彼女の魂に叩きつけられた、純粋な絶望の巨大で息の詰まる壁に比べれば無に等しかった。彼女は自らを刺し、我が子の安全のために自らの命を捧げたというのに、それすらも十分ではなかったのだ。彼女は失敗した。
「嫌……」
ジャンヌは囁いたが、それは喉の奥で消え入るような、小さく途切れた声だった。
かつて激しく屈強な光に満ちていた彼女のピンク色の瞳は、完全に濁り、虚ろになった。暗い霧が押し寄せ、彼女の意識を奪い去った。自らの血の海の中に頭が横に倒れる中、薄れゆく視界の向こうで彼女が最後に見たのは、今も床を這いながら必死に自分へと手を伸ばし、もはや彼女の耳には届かない声を上げて叫んでいるラッキーの姿だった。
荒れ果てた育児室に、重苦しく死んだような沈黙が舞い降りた。それを破るのは、ジャンヌの浅く、途切れ途切れの呼吸音だけだった。
ラッキーの精神は絶叫していた。部屋に満ちる絶望は彼の息を詰まらせるほど濃かったが、彼は闇に支配されることを拒んだ。彼のBランクの神経コアは今も火花を散らし、焼き切れたままだったが、そんなことはどうでもよかった。彼は壊れて割れた床板に爪を立て、皮膚を引き裂きながら、麻痺した肉体を一インチ、また一インチと苦悶に満ちた足取りで前へと這わせた。
「ジャンヌ……」
彼は声を詰まらせた。その声は生々しく、壊れた囁きだった。涙と混ざり合った血が顔を伝い、眼鏡を曇らせた。彼は肉体的疲労の絶対的な限界を突き破り、ただ腕を動かすためだけに、残された意志の力を最後の一滴まで絞り出した。
「耐えてくれ……お願いだ……持ちこたえてくれ……」
彼はついにベッドの端にたどり着いた。死に物狂いの、震える力で上半身を引き上げ、血に染まった手がようやくジャンヌの冷たく力ない指を固く握りしめるまで手を伸ばした。彼は彼女の腕に額を押し当て、彼女の腹部に未だ深く突き刺さったままの二振りの短剣を凝視しながら、胸を激しく上下させた。
しかし、先ほどのBランク同士の激突による恐るべき衝撃波が、気づかれずに済むはずがなかった。ジャンヌの放った運動エネルギーの嵐と、ラッキーの局所的な重力井戸の凄まじい力は、桜月幕府の屋敷の土台全体を揺るがす巨大な震動を伝播させていた。
下の中庭では、重い石灯籠が激しくガタガタと音を立てていた。
その異変は、この領域の最強の守護者たちを即座に覚醒させた。その日の儀式の準備をしていたヒミコは、即座に押し寄せるパニックとともに霊的な感覚を研ぎ澄ませ、宮殿の奥御殿へと目を向けた。全く同時に、織田信長の目が細まり、アノマリーの残存する混沌としたエネルギーを察知した彼の様は、瞬時に刀の柄へと手を落とした。
――ドガァーン!
育児室の重厚な襖が内側へと粉砕され、数百万の木片となって飛び散った。
最初に部屋へと踏み込んできたのは織田信長だった。黒いマントを背後に翻し、そのオーラは空気を切り裂くほどに鋭かった。そのすぐ後ろから、ヒミコが煙を突き抜けて駆け込み、その壊滅的な光景を目にして銀色の瞳を純粋な恐怖に見開いた。
部屋は完全に崩壊していた。ベビーベッドは空だった。そしてそこに、広がり続ける真紅の血の海の中に、衣服を剥ぎ取られ、ボロボロになった両親の姿が横たわっていた。
「一体何てこと……!」
ヒミコは息を呑み、儀式の杖を投げ捨ててベッドへと真っ直ぐに全力疾走した。彼女の両手は、すでに必死な、狂乱の治療の光を放ち始めていた。
ヒミコは血溜まりの中に膝を突き、その両手の周りに高位の治癒魔法である銀色の神聖な輝きを瞬時に燃え上がらせた。ラッキーの不規則な呼吸と、彼のニューラル・リグから漏れ出す恐ろしい精神的負荷(精神的プレッシャー)を目にした彼女は、低下していく彼の生命維持機能を安定させるため、本能的にまず彼の方へと両手を伸ばした。
しかし、銀色の光が彼の肌に触れるよりも早く、ラッキーは絶望に震える手で彼女の手を払いのけた。そのオッドアイ(二色の瞳)は血走り、純粋なパニックに大きく見開かれている。
「違う! 妻を救え!」ラッキーは喉を引き裂くような悲鳴を上げた。彼は赤黒い血を吐き出し、文字通り最後の力を振り絞ってヒミコをベッドの方へと押しやりながら、身体を激しく震わせた。「僕を見るな! 彼女は自分を刺したんだ――死にかけている! 彼女を先に救ってくれ!」
ヒミコは怯んだが、その父親の瞳にある純粋で譲らない絶望は、議論の余地を一切残さなかった。「分かったわ」彼女は息を呑み、血に染まった床板の上で即座に反転した。
彼女はマットレスの上に身を乗り出し、ジャンヌの腹部に未だ深く突き刺さったままの二本の短剣の真上に、輝く両手をかざした。銀色の光が目も眩むようなドーム状に炸裂し、ジャンヌの青白く動かない身体を包み込む。消えゆく彼女の魂を強引に肉体へと繋ぎ止め、致命的な体内出血を食い止めた。
彼らの背後では、織田信長が惨劇のただ中に立ち、空になった揺り籠と、アノマリー(異変)の漆黒のエネルギーの残滓を見つめていた。彼の暗いオーラが、圧倒的で危険な熱を帯びて燃え上がっている。
「信長……」ラッキーは床から声を絞り出し、完全な敗北と絶望の涙を顔中に流しながら、その武将のブーツにしがみついた。「双子が……僕たちの赤ちゃんが、連れ去られた……」
傷の深さを察知したヒミコの顔が、見る見るうちに青ざめていった。ジャンヌのBランクの生命力が辛うじて彼女の魂を肉体に繋ぎ止めていたが、内部の損傷は壊滅的だった。通常の治癒魔法では、彼女を死の淵から引き戻すには到底足りない。
ヒミコは目を閉じ、深く鋭く息を吸い込んだ。「お許しください、大いなる母よ」彼女は囁いた。その声は低く、リズミカルな詠唱のトーンへと変わっていく。
彼女は血に染まった惨劇の真ん中に真っ直ぐ立ち上がり、粉砕された天井から覗く朝の空に向かって両手を大きく広げた。
「神降ろし(ゴッデス・ポゼッション)!」ヒミコは叫んだ。
瞬間、部屋全体の温度が凍りつくように下がった。天から巨大な神の圧力が降り注ぎ、ヒミコの肉体へと直接叩きつけられると、現実世界がその色彩を失ったかのようだった。彼女の銀色の瞳は目も眩むような神聖な白光を放ち、その髪はまるで水中にいるかのように上方へと浮き上がった。出産を司る守護者であり、荒野の女主人、そして夜の見張り番である――月女神の古代の原初のオーラが、彼女の人の身へと流れ込んでいく。
神を宿したヒミコは、優雅かつ轟然たる動きでジャンヌの傍らに再び腰を落とした。彼女は剣を引き抜かなかった。代わりに、白熱して輝く掌をその刃に直接押し当てた。彼女は短剣を引き抜かなかった。代わりに、白熱して輝く手のひらを刃の上に直接置いた。
「生きよ、銀の光の娘よ」ヒミコの唇から、神の託宣の重みを帯びた、二重に響き渡る声が轟いた。
銀色の輝きはジャンヌを包み込むだけでなく、彼女の体内へと激しく奔流となって流れ込んだ。腹部に突き刺さっていた二本の鋼の短剣は、内臓の急速かつ奇跡的な再構築によって肉体の外へと押し出され、純粋で無害な光の粒子となって霧散し始めた。腹部の深く引き裂かれた傷口はわずか数秒で塞がり、神聖な温もりの下で青白く滑らかな肌が再び編み合わされていく。
マットレスを汚していた赤黒い血溜まりが、清浄で甘い香りの霧となって蒸発し始めた。
命がその肉体へと強引に叩き込まれ、ジャンヌの胸が突然、激しく息を吸い込んで大きく跳ね上がった。伏せられていた白いうさぎ耳がピクリと動き、青白かった頬にかすかな健康的な赤みが戻る。彼女の生命維持機能は、女神の絶対的な権能によって瞬時に安定した。
凄まじい神の圧力は、訪れた時と同じくらい瞬時に消え去った。ヒミコは荒い息を吐き、目から眩い白光が消えると、完全に消耗しきって後ろによろめき、木製の壁に手を突いて辛うじて身体を支えた。
ジャンヌの瞼が震えながら開き、そのピンク色の瞳は澄んでいたが、次の瞬間には、連れ去られた我が子たちの生々しく苦痛に満ちた記憶で溢れかえった。ベッドの傍らで、ラッキーは未だに彼女の手を必死に握りしめたまま、純粋な安堵から途切れ途切れの嗚咽を漏らした。




