12話 庭園
三人の子供たちは、ローランドや他の疲れ果てた貴族の子供たちを残して、屋内訓練室を抜け出した。
ジャンヌの好奇心に従い、彼らは石造りの廊下を歩き回り、広大な裏庭にたどり着いた。彼らの前に立っていたのは、分厚いガラス板と白い鉄の骨組みで造られた、巨大なドーム型の温室だった。入り口の看板には『魔法生態・生物学施設』と書かれている。
「あーあ、ただの植物置き場じゃない」ガラスドア越しに中を覗き込み、ジャンヌはがっかりしたように呟いた。「伝説の武器庫か、秘密の闘技場だと思ったのに」
しかし、ラッキーの反応は正反対だった。ドアが押し開けられた瞬間、彼のオッドアイは星のように輝いた。湿った土の香りを運ぶ涼しい風が彼らを包み込む。中には何千種類もの植物が群生しており、ラッキーが物語の本で見たこともないような植物ばかりだった。ネオンのように光る花びらを持つ花、血管のように脈打つ這い回る蔓、そして土から数インチ浮遊している苔。
同年代の普通の子供にとっては、ただの奇妙な庭だった。しかしラッキーにとって、ここは知識の宝庫のように感じられた。
無意識のうちに、ラッキーは入り口でジャンヌとセリーナに見張りを任せたまま、奥へと足を踏み入れていった。彼は、リズミカルに脈打つ緑色の粘液の袋がついた蔓植物に近づいた。
ラッキーの好奇心が勝った。彼はそれを手で触ることはしなかった。代わりに、微小で信じられないほど繊細な『念動力の糸』を伸ばした――あの残酷な葉っぱバランス訓練の直接的な成果だ――植物の内部構造を「感じる」ために。
ラッキーの目がわずかに見開かれた。念動力の感覚を通して、彼は茎の内部の複雑なネットワークを感じ取ることができた。緑色の液体がどのように合成されるのか、根からのエネルギーがどのように防御細胞へと発現するのか、そして魔法タンパク質が構造的にどのように反応するのかが、手にとるようにはっきりと見えるかのようだった。
「すごい……」ラッキーは無意識に呟いた。「ネットワークシステムがすごく構造化されてる。この植物は土から水を吸収してるだけじゃない。空気中のエネルギー粒子を分解して、袋の中の連鎖反応で酸性液に変換してるんだ……」
彼の後ろに歩いてきていたセリーナは、純粋な驚愕とともに少年を見つめた。「ラッキー、あなた、魔物変異生物学の知識があるの?」
「え?」ラッキーはトランス状態から抜け出し、慌てて念動力の糸を引っ込めた。彼は気まずそうに頭を掻いた。「あ、いや! そ、そんな風に見えたから当てずっぽうで言ってみただけだよ! へへへ」
ガサガサ……ガサッ……
突然、ガラス施設の最深部から、葉が擦れ合う大きな音が響いた。風ではない。変異した茂みの中を、何かがゆっくりと、しかし重々しく動いている音だった。
すっかり退屈していたジャンヌは、即座に厳戒態勢に入った。青い短剣が彼女の右手に実体化する。「しーっ……あそこに何かいる」彼女は囁き、ラッキーとセリーナを庇うように前に出た。
紫色の葉を持つ低木の茂みの後ろから、巨大で恐ろしい影がゆっくりと這い出してきた。ジャンヌは戦闘態勢に入り、弟の命を脅かすものがあれば、直ちに前に飛び出して処刑する準備を整えた。彼女の隣では、セリーナの手のひらの周囲の空気が凍り始め、薄い吹雪を発生させていた。
しかし、その生物が施設のクリスタルランプの光の中に足を踏み入れた瞬間、彼らの緊張は即座に完全な困惑へと溶け去った。
『巨大な影』は、ネオンフラワーの光が引き起こしたただの目の錯覚だった。実際の生き物はかなり小さく、小型犬ほどの大きさで、体重は4、5キロしかなかった。狼の子供のように見えたが、毛皮の代わりに、その体は皮膚をカモフラージュする厚い緑の苔と小さな葉の層で覆われていた。
その生き物は低く唸り声を上げ、鋭い小さな牙を剥き出しにした。
「なんだ、ちっこいモンスターじゃない」ジャンヌは鼻で笑い、エネルギーの短剣を消散させようとした。「私が追い払って――」
「待って、ジャンヌお姉ちゃん! 攻撃しないで!」ラッキーは叫び、義理の姉の腕を掴んだ。
ラッキーのオッドアイがその生き物にロックオンされた。脅すような唸り声の裏に、ラッキーは何かひどく異常な事態が起きていることに気づいたのだ。小さな子犬の後ろ足が激しく震えていた。その不自然な震えは、尻尾の付け根まで広がっている。開いた顎の間で、その生物は強い悪臭を放つ深紅色の根の残骸を噛んでいるようだった。
「攻撃しようとしてるんじゃない。苦しんでるんだ」ラッキーは呟き、彼の分析の直感が再びフル回転し始めた。「心臓の鼓動が早すぎる。あの子が噛んでる赤い根……高濃度の興奮剤成分が含まれてるはずだ。あんなに小さな神経系じゃ耐えられない。あの子には毒になっちゃってるんだ」
セリーナの目がわずかに見開かれた。「あれはモスパップ(苔犬)、低位の守護生物よ。そしてあれが食べたのは……『クリムゾン・ウェイク・ルート(紅覚根)』。普通は、極めて強力な眠気覚ましのポーションを作るために煎じられる植物だわ」
生物の足の震えはさらに悪化し、ついに横に倒れ込み、空気を求めて喘ぎながら弱々しく鳴いた。
躊躇することなく、ラッキーは前に進み出てその生物に近づいた。
「ラッキー、気をつけて!」ジャンヌは警告し、彼から一歩も離れずに高い警戒を保ち、生物が突然噛み付いてきたらすぐに攻撃できるように構えていた。
ラッキーは、軽く痙攣しているモスパップのそばに膝をついた。彼は物理的な手を使わなかった。その日の午後のサイラス先生の授業を思い出し、ラッキーは目を閉じて念動力を呼び出した。押し潰すような重みや鈍い打撃としてではなく、それを『水でできた、信じられないほど精密で柔らかい手袋』として視覚化した。
目に見えないエネルギーの波が、小さな生物の顎を包み込む。非常に優しく、しかししっかりとした力で、ラッキーは硬直した顎をこじ開け、まだ飲み込まれていなかった赤い根の残骸を取り出し、遠くへ放り投げた。
次に、ラッキーは手のひらを生物の胃の数インチ上の空中に浮かべた。彼は念動力を集中させ、外側からモスパップの消化管を繊細にマッサージし、先ほど飲み込まれたばかりの有毒な興奮剤を優しく上へと押し戻した。
ケロッ!
小さな生き物は、泡立った赤い液体の塊を湿った土の上に吐き出した。有毒物質が排出された瞬間、その速く荒かった呼吸がゆっくりと安定し始めた。後ろ足の激しい震えも徐々に収まっていく。
生物の黒い目がゆっくりと瞬きをして開いた。それは少しの間ラッキーを見つめてから、「ありがとう」と聞こえるような、高く柔らかい鳴き声を上げた。モスパップはよろよろと立ち上がり、苔むした鼻をラッキーの膝に愛情を込めてすり寄せた。
ラッキーは柔らかく笑い、生物の頭を優しく撫でた。「ほら、もう大丈夫だよ。次からはその辺の植物を適当に噛んじゃダメだからね?」
「見事だ、少年。まだ魔法生態学を受講してもいない1年生にしては、実に素晴らしい診断と治療だった」
突然、ガラスの入り口の方向から、柔らかい拍手の音が響いた。
ラッキー、ジャンヌ、そしてセリーナは驚いてビクッと体を震わせ、同時に振り返った。そこに立っていたのは、鼻の上に丸眼鏡を斜めに乗せた、背の高い痩せこけた男だった。髪は鳥の巣のようにボサボサで、白い白衣は泥と色とりどりの植物の樹液でひどく汚れていた。
男は温かく微笑み、近づきながら眼鏡の位置を直した。「私の名前はエララ教授。この施設の責任者だ。種子ラックの後ろからすべて見ていたよ。君の名前はなんだね、少年?」
「ラ、ラッキーです! 1年Aクラスです!」ラッキーはどもりながら、慌てて立ち上がった。許可なく施設に忍び込んだことで怒られると恐怖していた。
「サイラスのクラスか。エネルギー制御が奇妙でありながら極めて機能的だったのも頷けるな」エララ教授は chuckled (クスクスと笑った)。彼はしゃがみ込み、今やすっかり陽気な態度を取り戻したモスパップの顎を掻いてやった。「このいたずらっ子は、私がカッティングテーブルから落としたものをよく食べてしまうんでね」
エララ教授は立ち上がり、まるで珍しい標本を発見したかのように、目を輝かせてラッキーを見つめた。「生き物の体内での植物の化学反応を、症状を観察しただけで分析するとは……極めて稀有な才能だ。大抵の者は戦い方しか知らないが、君には生物学と魔法生命の構造に対する天賦の才がある」
風変わりな男はラッキーの肩をポンと叩いた。「来週から、この施設のドアは君に常に開かれている。時間がある時はいつでも来なさい。変異植物の解剖の仕方や、魔物の魔法タンパク質の分析方法を教えてやろう!」
その申し出を聞いて、ラッキーの目は即座に輝いた。「ほ、本当ですか!? ありがとうございます!」
ジャンヌは満面の笑みを浮かべ、後ろからラッキーの首に腕を回した。「当然でしょ! 私の弟は万能なんだから! 戦うのも得意だし、魔法の獣医さんとしても最高なのよ!」
彼らの隣で、セリーナはジャンヌの大胆な主張に無言で同意するように、小さく承認の頷きを見せた。
この予期せぬ午後の出会いは、ラッキーに苔皮の新しい友達をもたらしただけでなく、将来における彼の知識の最も重要な柱の一つへの道を切り開いたのだった。




