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魔天道  作者: 外野透哉
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第四十一話 二分の一

ー前回あらすじ

 聖与に内通者がいることが判明する。

そして川霧かわきり 美里みさとが犬飼 魔虎に近づく。

 魔虎は、屋上の風を背に受けながら、少し距離を取って立っていた。


「で、話ってなんだ?」


 美里は一拍置き、フェンスに両手をかける。視線は校舎の向こう、空の遠くを見ていた。


「ちょっとね」


「え?」


 指先に力を込め、金網を軋ませながら、美里は静かに言葉を選ぶ。


「私さ……親友が、死んだんだよね……戦いで。かける そらっていうんだけどさ。私はそのショックで、聖与を辞めた」


 魔虎は言葉を失い、息を呑む。


「そうだったのか……」


 美里は一度だけ目を伏せ、そして顔を上げる。その表情には、迷いよりも決意が宿っていた。


「けど、ウジウジしてられない。空のために、私はもう一度戦うって決めたの」


 そう言って、美里は小さく微笑む。


「でも、なんでそれを俺に?」


 美里は一歩近づき、まっすぐに魔虎の目を見つめる。


「犬飼くんなら……話してもいいかなって思って……」


「いや、俺らさっき出会ったばっかだぞ?」


「うん。でもなんか……似てるんだよね。空に。性別は違うけど、どことなく雰囲気が……安心するというか……」


「なるほどな」


 魔虎は視線を逸らし、頭の後ろを掻く。


「あ、悪い。ちょっと用事思い出したから行くわ」


「うん。わかった。ありがとね!」


 魔虎はそれ以上何も言わず、屋上を後にした。



 二階の廊下。千智の部屋の前で、控えめなノック音が響く。


トントン


 扉が開く。


ガチャッ


「あっ」


 そこに立っていたのは魔虎だった。


「悪いな、急に」


「犬飼さん」


「お前、魔戒について調べてたろ?」


「あ、はい」


「悪い。ちょっと調べてほしいことがあるんだが……」


「はい……?」


 千智は一瞬戸惑いながらも、身体を横にずらす。


「とりあえず入ってください」


 魔虎は部屋に足を踏み入れ、壁一面に貼られた写真や資料を見回して目を見張る。


「にしてもすげぇ部屋だな。写真だらけ」


「調べてほしいことっていうのは……?」


「もちろん魔戒関連だが……どうも引っかかることがあってな」


 魔虎が耳元で小さく囁くと、千智の瞳が一気に見開かれる。


――ッ……!


「わかりました。調べてみます」


 千智はすぐにパソコンの前に座り、キーボードを叩き始める。


「その情報を基に、今までに調べ上げた魔戒のデータと照合します」


 画面を次々と切り替え、過去の記録を洗い出していく。


「これも違う……これも違う……」


「悪いな、面倒ごと頼んで」


「構いませんよ。僕は犬飼さんに救われましたから。()()()()()です」


 千智はそう言って、静かに微笑む。


 そして――


「見つけた……」


 魔虎は画面を覗き込み、息を呑む。


「コイツが……!!」




 翌日。


 魔虎は自分の部屋に、清と美里を呼び寄せていた。


「お、来たか。まあとりあえず上がっていいぞ!」


「おう!」


「お邪魔しまーす!」


 魔虎はキッチンに立ち、紙コップに水を注ぐ。


「ほい。今水しかなくて、お茶なくて悪いな」


「全然!ありがとな!」


「気が利くなぁ、犬飼くんっ!」


 魔虎が一口飲むと、それに続いて二人も水を口にする。


「いやぁ、色々授業の愚痴でも話そうや!」


 その一言をきっかけに、部屋は一気に賑やかになる。


 こうして、魔虎、清、美里による愚痴大会が始まった……。



 しばらくして、三人は解散する。


「楽しかった〜!」


「ありがとな!」


「全然!」


 清と美里は手を振り、部屋を後にした。



 一時間後。


 再び魔虎は二人を『話がある』と屋上に呼び出していた。

 清は美里の方を見る。


「なんだろうな、話って」


「んー、なんだろうねぇ」


 遅れて、屋上の扉が開く。


 ガチャッ


「遅れて悪い」


「お、来た来た!なんだ?話って」


「いや、ちょっとな」


 魔虎は表情を引き締め、二人の前に立つ。


「お前だったんだな」


 そう言ってゆっくりと清の方へ顔を向けた。


「え?」


「内通者って」

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