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魔天道  作者: 外野透哉
31/38

第三十一話 ゲームオーバー

ー前回のあらすじ

 犬飼 魔虎は、ついに最上戒の魔戒と対面してしまう。

その頃、斑目 瞬が音波の魔戒を瞬殺した。

 そして梶 才牙は、反顛羅に苦戦を強いられる。

「前言撤回だ。相手にとって不足なし」


 その声を聞いた瞬間、反顛羅の口角がゆっくりと吊り上がった。獲物を見つけた獣のような、愉悦を隠さない笑みで言った。


「んじゃ続けよう」


――何か手があるはず……何か……


――だが、視界が上下反転してるせいでどうにも……


 反顛羅が一歩、踏み込む。間合いを詰める動きに、空気が張り詰めた。


輪廻解錠りんねかいじょう――虚実転置きょじつてんち


 拳が振るわれる。左から来たと思った衝撃は右に、上から来たはずの攻撃は下へ。殴打の感覚と視界が完全に食い違い、身体が判断を誤らされる。


――クソ……!


 才牙は後退しながら、即座に判断を切り替えた。近接では分が悪い。


輪廻解錠りんねかいじょう――紅嵐こうらん


 血が噴き上がり、殺傷性の高い赤黒い竜巻となって荒れ狂う。周囲の空気ごと引き裂くような威力。


 だが――


「あぶねぇなぁ……」


 反顛羅の身体は無残に裂け、両腕が吹き飛ぶ。それでも次の瞬間、肉が蠢き、何事もなかったかのように再生していく。


「間一髪」


「残念。核には届かなかったな」


――どうする……また、暴走ギリギリの紅血刃戯こうけつじんぎを使うか……?

――いや、この状況でそれはまずい……


 才牙は歯を食いしばり、思考を加速させる。


――上下が反転してるだけだ。位置そのものは変わらない。上に見えてるなら……少し下方向に攻撃すれば当たる


――ここはとりあえず、血の消費が少ない技で……


輪廻解錠りんねかいじょう――断罪だんざい(つるぎ)


 血が形を成し、刃となる。才牙は踏み込み、一閃。


 だが、刃はかすめるだけで致命には至らない。


「こんなもんかぁ?」


――クソ……


 反顛羅は間を与えない。さらに一段、追い打ちをかける。


輪廻解錠りんねかいじょう――裏眼りがん


「ッ……!!なんだ、これ……」


 視界が変わる。上下だけでなく、前後までもが反転する。前を向いているはずなのに、視界は背後を映していた。


――戦いづれぇな……


 反顛羅は、才牙の顔を殴る。しかし、感覚は後頭部から衝撃を受けたと錯覚し、身体は前へ崩れる。その勢いのまま腹部に追撃が叩き込まれ、宙を舞った。


――はぁ……はぁ……今度は……腹に……


――能力は自由にオンオフできるのか……


 地面に転がる才牙を見下ろし、反顛羅が嘲るように言葉を投げる。


「やはりどれだけ才能があって頭が良くても、結局は経験がものを言う。お前じゃ俺に勝てないよ」


 だが、才牙の瞳はまだ死んでいなかった。ゆっくりと立ち上がり、覚悟を固める。


輪廻解錠りんねかいじょう……」


「ん?」


無差別断罪むさべつだんざい紅血刃戯こうけつじんぎ……」


――コイツ……!


 血の刃が暴風のように周囲を切り裂く。木々は薙ぎ倒され、大地が裂け、反顛羅の身体にも無数の傷が刻まれる。


 それを見て、反顛羅は驚いたように、しかし不敵な笑みを浮かべた。


――こいつマジか……面白いやつ……


――死ぬ気で殺すってか?いいぜ、乗ってやるよ……


 笑いながら刃の嵐を捌き、反顛羅は一気に距離を詰める。そして、そのまま首を掴み上げた。


 血の刃が、止まる。


 使える血が、尽きたのだ。


「ク……ソ……」


「いやぁ良かったぞ。だがもう、使える血は残ってねぇだろ」


――こいつの言うとおり……使える血はもう使い果たした……

――これ以上は……死ぬ……


――クソ、クソ、クソ……!! ここまで……きて……


「お前は、もう終わりだよ」


――たまるか……負けて……たまるか!


――俺は……!!


 梶 才牙――敗北。


 ザシュッ

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