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破滅の魔女は異世界を救う  作者: 藤川秋
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第51話 報告と相談

誰もいない部屋で、一人お茶を啜る。

ダンカンさんは仕事の途中で、区切りが付くまでは部屋で待機しなければならなかった。

リーリアさんとも、無事合格したことの喜びを分かち合いはしたけれど、彼女も彼女で受付の仕事がある。

とはいえ、一人が苦手かと言われればそうでもなく、寧ろこの方が慣れているとさえ言える。


「すまない、待たせたね」


「いえ、全然。お仕事お疲れ様です、ダンカンさん」


「ありがとう、君もご苦労だったね。疲れてるだろうし、嫌いでなければこれを食べていくといい」


有難くも、私を労ってか、この世界で親しまれているお菓子を差し出してくれた。

少し硬めのパン生地に、果物などを練りこんだ素朴なものであるが、蜂蜜の甘い香りと優しい味わいが気持ちを和ませてくれる。

果物の酸味も加わって、お茶との相性が非常にいい。


「美味しいです」


「それは良かった。好きに食べて構わないよ」


「ありがとうございます」


そうは言うけれど、さすがに遠慮はする。

切り分けられた内の、二切れだけを頂いた。


「今日は、試験に無事受かりましたので、その報告に。それから、これを本部から預かってきました」


「ほう?本部が一冒険者にそれを預けるとは、珍しいな」


「本部長直々のご指名でしたよ」


「それはまた……この短期間でそこまで信用を得られるとは、君は本当に凄いな。正直言って、少しばかり恐ろしいくらいだ」


「私から言わせれば、本部長の方がよっぽど恐ろしいと思いますけど。信用してもらえるのは有難い話ですけど、プレッシャーも凄まじいですよ」


「ははは!それは確かにな」


「頼むから、私がそんなこと言ったなんてばらさないでくださいよ?たぶん首が飛びます」


怒らせるとまずいタイプの人間はそれなりにいるが、アルヴァンさんはその中でも断トツだ。

あの手の人間は、一度やると決めたら行動に移すのが早い。ギルドカードの一件で、十分にお分かりいただけただろう。

その上、彼は本部長だ。少なくともこの国、このギルド内において、彼は絶対的存在である。

そんな人物を怒らせてもみろ。わざわざ考えずとも、辿る結末など見えているではないか。


「まあ、それはさて置き。厳重に保管はしておきましたけど、一応不備が無いか確認してもらってもいいですか?」


「うむ……開封された様子は無し。押された刻印も正式なものだ。何も問題は無いよ、確かに受け取った」


「了解しました。それで、一つご相談なんですけど。森林周辺のことで、私に何か手伝えることはありませんかね?どうしても、フレイルさん達の負担が大きいように思えて」


「ああ……それは、私としても悩ましい話だ。リスクの面を考えれば、AランクかSランクでなければ今の森に入るのは厳しいのだが、そもそもそのレベルの冒険者はそういない。加えて、今この街に滞在しているのは彼らだけだ。それでも何とかなってはいるが、君の言う通りではある」


サイラースは、比較的大きい街のはずだが、それでもフレイルさん達しか頼れる人がいないとは、そもそもの数がほとんど無いのか、それとも運が悪いのか。


「私はCランクまでしか上げてもらえませんでしたから、中に入るのは無理でしょうけど、警備くらいなら手伝えるかなと思うのですが」


「うむ、それはそうだな。警備の方は、現状Cランク以上の冒険者に交代で頼んでいるところだから、確かに君でも問題ないだろう」


「フレイルさん達の代わりに私を入れてください。気休め程度でしょうけど、少しは負担が減らせると思います」


「ふむ……いいだろう。人数比は釣り合わないが、君ならそれを埋めるくらいの働きは出来るだろうしな。シフト面に関しては、彼らに直接聞いてくれると助かる」


「承知しました」


前回の調査依頼では、必要性を考えて新人の私でも参加させて貰えたけれど、やはり緊急事態とはいえ、基本的にランクによる適正判断は怠らないし、それを無視するようなこともしないようである。

現状、そこまで切羽詰まった状況ではないことも、多少は関係しているだろうが。


「すまないな。君としては、森に入れるようにしたかったのだろう?」


「あわよくば、としか考えてませんよ。確かに、負担を減らすという意味では、それが一番直接的で効果があるんでしょうけど。それでダンカンさんの面子が潰れたら元も子もないですし、一つの方法に拘る必要もありませんから」


そう何度も一人の人間を依怙贔屓しては、周りから批難される原因になりかねない。

今はそこまでする必要も無いのだから、出来る範囲で精一杯やる他無いだろう。

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