↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
破滅の魔女は異世界を救う  作者: 藤川秋
51/93

第50話 帰ってきた

出発日を含め、述べ4日。

再びサイラースの街へと舞い戻る。

普通に報告書を届けたのでは、王都にすら着いていないのではないかというスピードで事が済んでしまったが、そのほとんどはテレポートのおかげである。

燃費の悪さ故に、短距離では使いたくないこの魔法も、長距離移動となれば頼もしいことこの上ない。

王都の熱気を散々浴びた後では、この街の程よい人気に気分が落ち着くくらいであった。


「あー!シオーン!」


「モーリスさーん、ただいまぁー」


「おかえりー!」


ギルドの中へ入ると、タイミングよくモーリスさんと出くわす。

久しぶりに会ったわけでもないのに、彼のノリが懐かしく感じられた。

『紅蓮の炎』はあれから、森林周辺の警備を行うためにこの街に滞在し続けている。


「おお、帰ったかシオン」


「おはようございます、フレイルさん。あれから森の様子はどうですか?」


「意外と落ち着いてるぞ。一応、万全を期して立ち入り禁止にはしてるが、魔物が外に溢れたりとかは特に無いな」


「じゃあ、後は調査隊のメンバーが集まるのを待つだけですね」


「そこが一番厄介でしょうね。支部長も必死に呼びかけてはいるみたいですが、迷宮を調査するとなると人選も大変でしょう」


「そうね。私達はたまたま街に居たからいいけれど、外から集めるとなるとそう簡単にはいかないわ」


手紙一つ届けるにも、人の足か馬で駆けるくらいしかないこの世界では、かなりの日数を要してしまう。

届いたからといって、すぐに人が集まるわけでもなし、完全に解決するまではまだまだ時間がかかりそうだ。


「本部の反応はどうだった?」


「いやもう、予想通りですね。行かなかったらアウトだったかもしれません」


行ったら行ったで、アルヴァンさんを苛つかせてしまったみたいだが、何もしないよりは遥かにマシだったろう。

手紙だけ寄越していたら、果たしてどんな反応を返されたことだろうと、想像しただけで背筋が凍る。


「試験はこれから受けるのですか?」


「いえ、もう受けてきました。準備に時間がかからなかったので。ラッキーでしたよ」


「マジで?カード見てもいい?」


「いいですよ、どうぞ」


モーリスさんに、貰ったばかりのギルドカードを渡す。

全員がそれを覗き込み、ちいさく感嘆の声が上がった。


「本当ね。ランクが上がってるわ」


「えー、Cランクにしかしてくんなかったの?本部ってケチなのな」


「仕方がありませんよ。大人の事情というやつでしょう」


「ああ。あんまり大きな声で言えたことじゃないが、無駄に頭のお堅い連中ってのは、何処にでもいるからな。貴族なんかは特にそうだ」


確かに、アルヴァンさんもそのような事を言っていた。

具体的に誰とは言わなかったけれど、どの世界にも厄介な連中というのは存在するらしい。

体裁の問題もあるからと、このような形で今回は済まされている。そこに不満は特に無い。

大人同士のしがらみというのは、兎にも角にも面倒くさいものだ。

不必要に拗らせるのは得策ではない。


「Cランクじゃ、森林には入れないよなあ」


「諦めなさい、モーリス。幸い、依頼はそこまで立て込んでいないのですから」


「森がどうかしましたか?」


「気にするな。ほら、今は森林が立ち入り禁止になってるだろ?既に出されてた依頼とか、常駐依頼に頼ってた素材が滞ってんだ。それを俺達が出来る限りで処理してるんだよ」


「ああ、なるほど」


普段と違い、Aランクの魔物に出くわす可能性も高い今の状況では、フレイルさん達くらいの実力が無いと森に入れさせてもらえない。

しかしながら、いつまでも放ったらかしの状態では、困る人も出てきてしまう。

警備だけでなく、依頼の処理も全て請け負うとなると、負担は相当大きそうだ。


「ちょっと、ダンカンさんに相談してみますよ。どちらにしろ、試験結果を報告しようと思って来ましたし」


「本当か?なんかすまんな」


「いえ、全然。力になれることがあるなら、是非とも手伝いたいので」


中に入るのは無理でも、警備くらいなら手伝わせてもらえるかもしれない。

一つでも仕事が減れば、多少なりとも気持ちが楽になるだろう。なればこそ、話を持ちかけるだけの価値はある。

こういう時こそ、自分の力をフルに使わなければ、宝の持ち腐れというものだ。


人の役に立ってこそ、生きている意味がある。

それを、あの村での一件で強く感じた。

何より、これ程の才能を持って生まれたのだから、それを正しく使うことこそ、私の負うべき義務でもあるような気がする。

私利私欲のためにこき使われるのはもうごめんだが、人々の生活のため、そして何よりギルドの仲間のためならば、喜んで仕事をしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。