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破滅の魔女は異世界を救う  作者: 藤川秋
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第47話 ロックイーター

本題に入る前のおまけの話。

魔物のランク分けの基準は何であるか?


ギルドにとって、魔物は狩りの獲物だ。

素材になるから狩る。

誰かが困っているから狩る。

狩ることが前提なのだから、どれだけ危険が伴うかを明瞭にしなければならない。

実力の伴わない者に行かせれば、死亡リスクは格段に跳ね上がる。

魔物のランクを定め、冒険者のランクを定め、適切にマッチングさせることで被害を減らしているのだ。

抜け道は多々あるし、不意の事故なども起こりうるので、0%とはいかないけれども。


つまるところ、先程の問いかけに簡潔に答えるならば、ランク分けの基準は強さだ。

倒しにくさ、とも言い換えられる。

パワーの強さであったり、スピードの速さであったり、基準は様々であるけれども、どれだけ個人やパーティーの技量が求められるかが、ランクの高さに比例している。


───ならば、依頼する側はどうだろう?


ランクが高ければ高いほど、頼む側も相応に困っているのだろうか。

危険であればあるほど、他の人も同様に脅威を感じているのだろうか。

───弱い魔物なら、大して困りもしないのだろうか?


答えは、否。

()()()()()()()()()

そしてそれが、今回の本題に繋がる重要なポイントなのである。





(うわぁ……)


正直、驚きや恐怖を通り越して、ちょっと引いてしまうくらいの光景であった。

奥に鎮座している魔物は、およそ爬虫類のような細長いしっぽと頭を持ち、手足全てを地面に付けてその場に立っている。

それだけならごくありふれた生物の姿でしかないのだが、実際はそうではない。

魔物の背中には、あらゆる種類の鉱物が生えており、甲羅のように身体を守っている。

その硬さは、傷付けようにも一筋縄ではいかず、Cランクに認定される大きな要因となっている。


魔物は、こちらに全く目もくれず、一心不乱に食事をしている最中であった。

いくら気配を殺しているとはいえ、随分と鈍いものだなと感心するが、その硬い外殻故に、外から攻撃されることをあまり脅威に感じていないのかもしれない。

先程からガリゴリと、何かが砕かれるような、すり潰されるような、鈍い音が辺りに鳴り響いている。


それもそのはず。

この魔物、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のである。


(分かりやすいネーミングだよなあ)


ロックイーター。

その名前の通りに、この魔物は岩を食べる。

鉱物もそのままに、種類も一切関係なく、ご自慢の顎で噛み砕くのである。

先に述べた例外というのは正にこのことで、野放しにしておけば仕事が停滞するどころか、資源がどんどんと無くなっていくのだから困りものだ。

下手に高ランクの魔物が現れるより、よっぽどタチが悪い。

真っ先に解決しようと精を出すのも、その事情を考えれば当然の成り行きであると言える。


しかしながら辺りは、岩が噛み砕かれる音を除けば、至って静かだ。

誰も、口出しする者はいない。

我先にと動く者もいない。

当たり前だ。

これはあくまで、私の試験なのだから。

ここに来るまでの間は問題なくとも、戦闘のこととなれば話は別である。

今はまだ魔物に気付かれていないのだし、私から指示しない限りはこの場の誰一人として動かないだろう。

ただ魔法が使えるだけでは、意味が無い。

状況を的確に判断できなければ、より強い魔物には立ち向かっていけないからだ。


「どうしますか」


ほんの微かに、言葉が聞こえた。

魔物に気付かれないよう、小さな声で試験官が話しかけてくる。

同行者は皆、私の出方を伺いながら、臨戦態勢に入っていた。


───申し訳ないけれど。

もう、既に事は終えている。

そう思うのと、爆発音と共に魔物が倒れるのは、ほぼ同時の出来事だった。

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