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破滅の魔女は異世界を救う  作者: 藤川秋
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第37話 言葉選びは大切

具体的な目標が決まってからの行動は、それは早かった。

というのも、目当てのものさえ見つけてしまえば、ひとまず今日の仕事はお終いだからだ。

大まかであるとはいえ、敵の位置はこちらからは丸わかりだし、戦闘する必要も無いのだから楽な話である。

勿論それも、しらみ潰しに探していたのでは時間がかかるけれど、何も丁寧に一体ずつ見て回る必要は私達には無い。


というわけで現在、私一人で優雅に空中散歩と洒落こんでいる。

どうやら、ゴーレムも中々に図体のでかい魔物であるらしいので、上から見渡してしまえば一目瞭然なのであった。

さすがに、全員で動くには非常にやりづらい移動方法なので、フレイルさん達には先に入口側へと戻ってもらい、魔物の処理に当たってもらっている。


「たぶん、あれがそうだよなあ」


見慣れた青い巨体が闊歩する中、それよりかは背が低いのであろうが、重々しい見た目をした魔物が幅を利かせて歩いている。

表面が全て岩で覆われているのだから、重いのは当然であろう。話に聞いた通りの見た目をしたゴーレムが、そこかしこに点在している。

特別争うことはしないものの、お互いに牽制し合いながら場所を取り合っており、とても他の魔物が居座る余地など無い印象を受けた。

間接的な原因としてゴーレムが存在していることも、根本的解決を望むためには必然、迷宮を調査しなければならないことも、これではっきりと証明された。


「私も戻るか」


フレイルさん達にこのことを伝えて、ギルドへ報告しに街へ引き返さねばならない。

目的を果たした私は、颯爽とその場から姿を消し、次なる目的地へと瞬時に移動した。





無事に合流を果たし、ギルドへ戻ってきた私達を迎えたのは、困惑の表情を浮かべる受付嬢の姿だった。


「あの、随分とお戻りが早いように思いますが、どうされましたか……?」


「ひとまず仕事が終わった。結果を報告したいんだが、支部長に取り次いでくれるか」


「え……!?は、はい……!」


冒険者として大物たる『紅蓮の炎』の皆を、待たせるわけにはいかないと思ったのだろう。頭で理解するより先に、とにかく支部長を呼ばなければと駆け出す受付嬢。

そのまま、いつもの客間へと先に通され、程なくしてダンカンさんが顔を出した。


「仕事が終わったと聞いたが、本当なのか?まだ昼になったばかりだが、早すぎやしないか」


「実を言うと、完璧に終わったわけじゃない。少し事情があって、一旦戻ってきたんだ。だが、ある程度原因を絞ることはできた」


「なるほど。詳しく聞かせてくれるか」


その問いかけにフレイルさんが頷くと、調査で分かったことを事細かに説明していく。

最終確認を行った私も話に加わり、全てを聞かせ終えると、難しい表情をしながらも納得したようだった。


「事情は分かったよ。正直、頭が痛い話ではあるが、それが分かっただけでも大助かりだ。早急に人を集めて、調査隊を組ませてもらおう」


「ああ。よろしく頼む」


「シオンのことについてはどうだ?君達の意見を聞かせて欲しいのだが」


メンバーの皆が顔を合わせた。

頷き合い、何かを確認している様子だが、それが何を意図するのか私には分からない。

彼らに評価を委ねる以上、この場で出来ることと言えば、いい結果になるよう祈るくらいしか無かった。


「そのことについてなんだが、早急にシオンのランクを上げるべきだと俺達は思っている」


「……そこまで凄いのか?」


「凄いなんてもんじゃない。はっきり言って化け物だぞ、こいつ。Fランクのまま仕事させてたんじゃ、ギルドにとって大きな損失になる」


その言葉に、思わず息を呑むダンカンさん。

褒めてるつもりなのは分かるのだが、本人の目の前で平然と化け物呼ばわりした挙句、誰もそのことを咎めない様子に、私としては複雑な気持ちでいっぱいだった。

言いたいことは分かるのだけれど、せめてもう少し言葉を選んで下さらないか。


「今回のことだって、俺達は敢えて何も言わずにいたが、本来ならご法度のはずだろ」


「そうなんですか?」


「彼の言う通りだよ。今回の依頼は、明らかに適正ランクが高いことは分かっていたのだから、それを新人である君に頼むなど、普通なら言語道断だ。あくまで必要性が高いと判断した上での、私の独断行動でしかない。何かあれば責任を負うつもりでいたよ」


「支部長の判断は正しかった。間違いなくな。シオンは、それほどにとんでもない逸材だ。それが早いうちに分かって良かったと思う」


「そう言ってもらえると助かるが……さすがにランクを上げるのは、私一人で決められることではないな。一度、本部にも掛け合わなければならないだろう」


「ああ、今すぐにでも知らせた方が良い」


彼らの間で、着々と話が進んでいく。

まだ結果は分からないが、どうやら早々にランクが上がるらしい。

こちらの世界でもまた、厄介事が舞い込んでくる未来が有り有りと見えてしまった。


そりゃそうだよな。

状況的に仕方無い部分もあったとはいえ、あれだけ開けっぴろげに魔法を見せびらかした私が悪いもの。

もはや、諦めるしか無さそうだ。

夜に更新するつもりが寝落ちしてしまったので、今回は二話分更新できればなと思います。

まだ最後の調整があるので、夕方頃に更新するつもりです。

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