第30話 調査依頼
※28話における買取金額について※
何とも間抜けなことに、私の計算ミスでサイクロプス分の金額が丸々抜けておりました。
それに伴って、昨日修正を済ませております。
70736ギル→128306ギル
細かい部分ではありますが、変更前に読まれた方は頭の片隅にそっと留めておいていただけると幸いです。
ラウルさんと食事を共にした2日後、指定された通り朝方にギルドへ向かうと、まるでお決まりのように二階へと通された。
しかし、扉を開けた先に待ち受けていたのはダンカンさんではなく、本日の仕事仲間である『紅蓮の炎』のメンバー、つまりはフレイルさん達であった。
「あ!やっほー、シオン!」
「よう、元気してたか?」
「おはようございます、皆さん」
待たせてしまっただろうかと心配になったが、彼らもつい先程ギルドに来たばかりらしい。
気遣って言ってくれている可能性もあるが、そう言うのならと気にしないことにした。
「しかし、こんなにも早く一緒に仕事をすることになるとは。意外と縁が深かったようですね」
「サイクロプスを倒したって聞いた時は、正直驚いたけどな。フェリクスの目に狂いは無かったってことか」
「まあ、その件に関してはあまり信用してもらってないんですけどね」
「仕方ないわ。登録したばかりの新人がいきなりAランクの魔物を倒すなんて、そうあることではないもの」
「しかも一人で、だからな」
そこまで話が及んでいたのか。
確かに、その点も含めて精査しなければ、この依頼に参加したところで意味が無い。
冒険者における実力の有無は、そのまま生死に直結するのだから、精確な情報を得るためにも捨て置けないというのがギルド側の本音なのだろう。仕方の無いことだった。
彼らにしたって、真偽も確かめないまま情報に踊らされるような人達ではないだろうから、別段話をされて困ることは無い。
寧ろ、嘘と決めつけて馬鹿にするどころか、そうであって欲しいと期待されている節すらあるくらいである。心做しか、フェリクスさんやモーリスさんの眼差しが眩しい。
対するフレイルさんとコレットさんは涼しい顔をしていて、冷静に見極めようと言う気持ちが見て取れる。
この前会った時は、まとめ役は専らコレットさんの仕事だと思っていたけど、フレイルさんもリーダーを務めているだけあって、大事な所はきちんと弁えているようだ。
「全員揃ったようだな。今日はよろしく頼むよ」
扉がノックされ、中に入ってきたのは、ダンカンさんと初めて見る女性職員だった。
おそらく受付をしている女性なのだろうが、私はリーリアさんを贔屓にして他の人に受け付けてもらったことがないので、誰なのかさっぱり分からない。
どうやら彼女はお茶係のようで、カップを人数分を乗せたトレーを手にしていた。
立ったまま話をしていた私は、席に座るように促された。
それぞれの目の前にお茶が置かれ、女性職員が部屋を後にすると、ようやくダンカンさんが本題を切り出す。
「君たちは面識があるようだから、自己紹介は特にいらないね?早速だが、今回の依頼の内容について、今一度確認してもらおう。事前に話した通り、君たちに依頼するのは、サイラース森林における異常事態の原因究明。要は現場調査だ。その点に関しては問題ないかな?」
全員が頷いた。
それを受けて、ダンカンさんが話を続ける。
「冒険者達の話を纏めた結果、魔物全体が普段の生息地より手前側に移動していることが分かった。おそらく、何らかの原因で奥に生息する魔物が場所を移動し、それに押し出されるようにして他の魔物も移動しているのだろう。このままいくと、最悪の場合───」
「森の外にまで魔物が溢れかえる。そうだな?」
「フレイルの言う通りだ。街道が安全に使用できなくなれば、流通が滞りサイラースだけでなく国全体に影響が出てしまう。それだけは、絶対に避けたいところだ」
「なるほど。あまり長く時間をかけるわけにもいかないということですね。なるべく急いで来るよう頼まれたのも納得がいきます」
調査をするだけでも危険が伴うというのに、その上時間に制限まであるとなれば、かなり厳しい仕事になりそうだ。
私が参加して、果たしてよかったのか疑問に思うところだが、ここまで来たら全力を尽くすしかないだろう。
魔法の腕にはそれなりに自信があるけれど、彼らと仕事仲間として上手く連係が取れるか、そこだけが心配だ。
「確実に長丁場になるだろうから、準備は万全にしておいてくれ。君たちの安全が第一だ、具体的に期限を設けるようなことはしないが、市民の為にも早急な解決を望んでいる。それを踏まえた上で敢えてもう一度聞くが……この仕事を引き受けてくれるね?」
「勿論です。俺達は元より、そのつもりでここに来ました。今更気が変わることはありません」
「私も、問題ありません。全力で臨ませていただきます」
「ありがとう、とても助かるよ」
今日は一段と気を引き締めていこう。
フレイルさん達やギルドの皆に、自分の不手際で迷惑をかけることが無いように。




