↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
破滅の魔女は異世界を救う  作者: 藤川秋
28/93

第27話 名のあるパーティー

魔力という概念そのものは、この世界にもあるのだろう。

魔法を使えばその分身体に疲労は溜まるし、保有する魔力が無くなれば魔法も使えなくなる。

それ故に、何かしらの力が働いていることは誰にとっても明白だ。


でも、ただそれだけ。

魔力がどういうものであるのか、具体的な知識として理解しているわけではない。

自分という身体を媒介に、魔法を使って初めて得られる感覚で、魔力という目に見えない何かを大雑把に掴んでいるだけ。

自らの内に感じる仄かな温かみや、森で感じたあの魔物特有の禍々しさすら、それが魔力の放つ気配であることを知らないのだろう。

風の流れは分かっても、空気そのものは目に見えないのと同じで、魔力も目に見えて分かる訳では無いのだから。


知らないのなら、気にするはずがない。

気に留めないのなら、気付かなくても仕方の無いことだろう。

あの森にしたって、何か空気悪いな、くらいにしか感じていないのではないだろうか。

それは、正直ちょっと羨ましい。


「あまり他人の事情を詮索するものではないわ、フェリクス」


「それもそうでしたね。失礼しました、シオンさん。私の言葉は忘れてください」


「全然気にしてないので大丈夫ですよ。似たような言葉は言われたことありますけど、その手の知り合いは皆無ですね」


「そうなのですか。前にも言われたことがあるということは、実力があるのは私の見当違いでは無いのですね」


「俺、シオンの魔法にすげえ興味あるわ。フェリクスがそこまで言うってことは相当だろ?本気でやったらどうなるのか、ちょっと見てみてえよな」


フレイルさんの言葉に、フェリクスさんの顔がほんの少しだけ輝いた。

口には出さないが、僧侶なだけあってその手の話に関心が強いようである。

魔法を見せるのは吝かではないのだが、本気と言われるとどのレベルの魔法を披露すればいいのだろう。あんまり大規模だったり複雑なものを使うと、墓穴を掘りそうで何だか怖い。


「魔法師と関係無いってことはさあ、王宮で働いてるわけでもないんだろう?シオンって、普段何してんの?」


「一応、私も冒険者ですよ。昨日試験に合格したばかりですけど」


「え、そうなの?なあんだ、俺たち同業者じゃーん!よろしくなー!」


明らかにハイタッチを狙った手と、飛び抜けて明るい態度につられて、反射的にモーリスさんの両手をぱちんと叩いていた。

何だろう、この、渋谷あたりに行けば出会えそうな軽すぎるノリは。

つくづく顔と中身が噛み合っていない人だ。


「俺たちたぶん、暫くこの街に滞在しなきゃなんないからさあ、どうせなら今度一緒に仕事でもしようぜ!」


「お、それいいな。別に、パーティーじゃないと一緒に動いちゃいけない決まりなんてないしな」


「ちょっと、モーリス。フレイルまで……」


何だか妙な方向に話が進んでいる。

フェリクスさんも、何も言わないだけでこの話に賛成のようだし、コレットさんも窘めはするものの、呆れたような、諦めたような顔をしてあまり強くは言わない。

これが日常茶飯事ということか。コレットさんが一番大変そうだな。

特に困ることも無いので別にいいのだが、彼女にはもう少しだけ頑張ってもらいたかった気もする。投げ出したくなる気持ちは理解できるけれど。


「滞在しなきゃいけないって、何か用事でもあるんですか?」


「ああ、ちょっとな。指名で依頼を受けたんだ。すぐ終わるなら別にいいんだが、どうにも時間がかかりそうな気がするんだよな」


わざわざ名指しで頼み込まれるということは、それだけ実力があるということだろう。

自己紹介してもらった時点で分かってはいたことだが、この分だとランクも余程高いに違いない。


そして、この時期に指名依頼とは。

それだけで、おおよその予想が付く。

何せ、つい先程その手の話を聞いたばかりだ。

もしや、ダンカンさんが言っていた、調査の依頼をした名のあるパーティーとは、この人達のことではなかろうか。

確定ではないが、可能性としてはかなり高い方だろう。まさか、たまたま入った店でこのような巡り合わせをすることになるとは、夢にも思わなかった。


一応、人違いだと困るのでその話は伏せておくが、それが本当なら私としてはとても有難い。

いざ承諾を貰ったものの、足元を見て手酷い扱いを受けたりしたら堪ったものではないと、そこだけが心配だったのだ。

彼らが相手なら、安心して仕事に臨める。

願わくば、この予想が当たっていますように。


「私も、ぜひ一緒に仕事がしてみたいです」


「本当か?じゃあ決まりだな!手が空いたら俺の方から声かけるから、待っててくれな」


私の言葉の意味など知る由もないフレイルさんは、先程の提案に対する返事と受け取ったようでそう答えた。

どちらにせよ、近いうちに一緒に仕事をすることになりそうである。

冒険者としては良い経験になりそうで、私も今からその時が楽しみだ。

読んでくださる皆様、いつもありがとうございます。

つい最近風邪を引いて痛い目にあったので、皆様も体調管理にはお気をつけください。

一日一本、バナナとコーヒーを一緒に食べると予防にとてもいいらしいです。

ちなみに私は実践していません。お察し下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。