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闘技場①

遅くなりました!

 

「あ、そういや。」


 俺はここにきて重大なことに気づいてしまった。

 会場に結構な人数の人が入って、熱気を漂わせている。

 あと数十分もすれば、俺は大観衆の目にさらされる。


 目の前には5番の組みの少年二人が剣を交えている。

 名前は覚えていないが、相当の剣技であることは間違いない。


 そして、戦いに勝つために.....俺は自分自身のことを知らなければならない。

 俺の横には1回戦目の相手、筋肉質の男の子がニヤニヤしながら立っている。


 俺とあまり背が変わらないが、体重は3倍ぐらいありそう。

 俺も少年だが、死ぬ前の俺からすればまだまだ小ちゃいガキだ。


 嬉々とした表情で、前の組みの戦いを見ている。

 やだなあ、脳筋。

 どうやって戦おうかなあ、脳筋。


 俺はギュッと木彫りの剣を握り締めた。



 ☆☆☆☆



 とりあえず空いている椅子に腰を下ろす。

 部屋は結構大きい。

 皆見たことある人もいるし、いない人もいる。


 鎧を拭いたり、腹筋や、腕立て伏せをして体を温めている人もいる。

 俺もそれらしきことしといたほうがいいのかな?


「おっしゃ!」


 ビクッーー

 ちょ、びっくりするじゃないですか。

 急に叫ばないでくださいよ!


 パチンパチンーー「いやっしゅ!」

 ビクッーー

 なにその掛け声!自分の体を叩きながらだと少し気持ち悪いんだけど!


 さっきからどっくんどっくん心臓の鳴る音が頭に響く。こんなの緊張しないわけないだろ。

 だって、みんな基本......イカついんだよ!


 あと何分ぐらいで始まるのかなあ。

 ていうか、初戦って誰と当たるんだろうか。

 緊張してきたー。


 あ......トイレ行きたい。

 唐突な尿意が緊張のせいで湧き出てきてしまった。

 周りをぐるっと見回してみる。


 端の方にトイレットらしき部屋があった。

 そこへ、できるだけ体から音を出さずに扉へと近づく。

 絡まれたら嫌じゃん。


 トントンーーノックしても返事がない。

 ガチャリと開けると2つの扉が再び。

 右手には長めの棒のマークが。左には丸のマーク。


 俺は右手のドアをノック、返事はないので空いているということだ。

 ちなみに棒のマークが男性で丸のマークが女性。

 何を意味しているかは7歳にはわからないので、許してください。


 用を足すと蛇口のない洗面器の上で手を流す。

 生活魔法で自分で洗えと、そういうことである。

 風魔法で手についた水を吹き飛ばし、外に出る。


「「あっ」」


 すると女性用の扉が同時に開いた。

 お互い一声あげて、2、3秒見つめあった。

 目の前にいたのは.....


「あら?でしゃばり7歳のテルマッドくんじゃない?」


 父に似つかない可愛らしいピンク色の髪を弄るロザリーだった。

 小さい頃とあまり変わらずパチクリした目は健在。

 だが、幼い時と比べると、どこかツンツンしている。


「久しぶりだね、ロザリー。」


 ずっと学校と家を行き来してきたから、特に友達とも遊ぶ時間もなく......


「は?何その口の聞き方?もしかして団長の息子だからって強気になっちゃってない?」


 え?どうしちゃったんですか。

 いつも通りの話し方だったはずなんだけど。


「確か今あんた7歳よね?なんか学校に通ってるっていう噂を聞いたけど嘘でしょ?どうせ引きこもってたんでしょう。団長の息子だ、強いんだろうとかいじめられてさっ!」


 全くいじめられていないし、引きこもってもいませんけど!

 学校は確かにアウェーだが、生徒も1人だったし、誰にも見られていない。

 帰る時間も違うから引きこもりだと思われても仕方ないのかな。


「まあ、いいわ!あんたみたいな弱虫、私がボッコボコにしてやる!」


 言動は父に似てるんですね。

 厄介なところが似てしまったらしい。


「そ、そうだね。楽しみにしてるよ。」


 手を振ってさっさと失敬する。

 これ以上話を聞いてると俺の悲しい噂がどんどん入ってきて、ツライ。


「あっ!ちょっと!.....ボッコボコにされることを楽しみにしてるって意味よね、今の。」


 ん?

 今何か、失礼な勘違いが聞こえましたけど?


「う、う、うわぁあああ!テルマッドがついに変態に目覚めたあああ!」


「やめてえええええ!」



 ☆☆☆☆



 更衣室は先ほどの俺の噂が静まり、非常に静かである。人の噂も15分とはこのことか。

 咳き込む声や、ランニングをするときの足音だけが割と大きな部屋に反響している。


 き、気まずい......


 すると、そんな空気を察したのか察していないのか、バッガスさんがガチャリとドアを開けた。

 皆の視線が一斉に集まる。


「シード以外の奴らは皆大控え室に移ってくれ。」


「「「おっす」」」


 びっくりした。なんだ、この息のぴったり感は!

 俺だけハブられている気分なんだが。


 ぞろぞろと外に出て行く男女。

 俺はその最後尾についた。出て行く寸前に後ろを向くと、何人かの子供達が眼を瞑ったり、筋トレしていた。


 彼らがシード選手か。

 さぞ強いんだろうなあ。7歳で勝てるわけないじゃない。


「よーし、じゃあ、一番前のパクさんとこの坊主。お前から順にくじを引いていけ。そんで、対戦表を確認して、10分後に闘技場控え室だ。」


 小さな机を前に、2人の男性が座っている。

 机の上には真っ白な箱。勿論中は見えない。

 あれがくじか。

 確か、くじで同じ番号に当たった人が1戦目なんだよな。


「では、引き始めてください。」


 徐々に最後尾の俺へと近づいてくる。

 なんだか、緊張するなあ。

 初戦は誰と当たるのだろう?弱かったらいいなあ。


「うっしゃ!俺の番号は6だ!最初の俺の相手は誰だ!!」


 叫ぶのはピリー家の次男、ルピー君だ。

 ここで先生たちも厄介だと称していたピリー家の兄弟を紹介しておこう。


 全部バラガさんに聞いた話だが、ちゃんと昨年の闘技場でも、その戦いを見させていただいた。

 長男で15歳、ベリー君は、単純に言えば、全てに長けた万能型と言うべきか。


 魔法もかなり攻撃力が高く、剣の扱いも非常に巧み。

 それに俊敏力も高いときたら、それはそれは厄介な子だ。

 ちなみに、去年彼は三男がいないおかげで闘技場を優勝している。

 それだけでどれだけ彼が優秀で、最強かを物語るのだから、闘技場怖い。



 問題の次男の14歳、ルピー君。

 彼は基本的に脳筋だ。


 去年も出場していたらしいが、序盤で速攻負けたらしい。

 相手が相手だと聞くが、まだマシと判断していいだろう。

 けど脳筋は苦手なんだよな、だって防御力と攻撃力に身を任せて突っ込んでくる。

 あくまで盗賊団だというのに、それでは野盗っぽい。

 あっ、一緒か?



 そして三男のケリー。12歳。

 もしかすると彼が一番手強いかもしれないと父さんが言ってた。


 昨年の闘技場では体調不良で不参加だったらしいが、その強さはバケモノ級だと聞く。

 何故なら、始めて闘技場に出場した2年前。


 目にものを見張る魔法で数々の幼い戦士たちを負かし、兄の2人さえも膝をつかせたという。

 すごいなあ。一人っ子だからわからないが、末っ子に負けるというのはプライド的にどうだろうか。


 そんなわけで、俺が引いたくじを見てみる。

 そこに書かれていた数字は……


「は、はい。僕です。」


「やったぜ、1回戦は楽勝で突破だな!!」


 6番でした。



 既に控え室の外では戦いが始まっている。一番を引いた女の子たちだ。

 どちらも杖を持っていたので、先程から聞こえる爆発音は魔法だろう。


 控え室に移ると俺たちは皆武器を2つ選ばされた。

 全て殺さないように木彫りのお手製感丸出しのものだ。


 それでも撲殺などのなぶり殺しは可能とのことだが、それをしようとすれば、あちらこちらにいる最強のおっさん、お姉さん方が上位の拘束魔法を発射するらしい。


 俺は無難に長剣と短刀を選んだ。

 武器の種類はたくさんあり、魔法使いでも近接を可能にするため、杖と長剣を。

 魔法も打てるようにするため、大剣と杖を。


 戦略によって、相手との向き不向きは出てきてしまうが、それも試練の一貫と捉えれば、父の考えそうなことだ。



 お相手の脳筋マンはお得意の大斧と、杖。

 まあ、セオリーなところだな。

 俺のように魔法媒体が入らない魔法使いの方が少ないらしいから。


 もちろん杖なしでも魔法の使用は可だ。

 1戦目は割と魔法頼りになりそう。

 近づけば、ぐしゃんだし。


「あ、そういえば……」


 凄く大事なことをいろんなことがあって忘れていた。

 というか4、5年の間忘れていたとは、どれだけ先生方のスパルタが、キツかったかわかるだろう。


『鑑定』


 自分の強さを計るのに最も大切なことは自分自身を知ることだと思う。

 そのために、自分を確認しよう。


****


テルマッド Lv.126


ステータス

攻撃力 : 102

防御力 : 69

俊足力 : 180

魔法攻撃力 : 223


職業 : 月光蝶見習い団員


所持スキル : 魔法使い 盗賊 鑑定士 剣士


所持魔法 : 火属性魔法上級(統合) 水属性魔法上級(統合) 雷属性魔法超級(統合) 風属性魔法中級(統合) 土属性魔法上級(統合)


【称号】 見習い盗人<!>・盗人<!>・盗賊<!>


****




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